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Last Rotor - Resurrected as Kit -  作者: キット
An angel who has descended of Starry Night.
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episode 10【First part】

 握られた剣は腹の部分を中心に無数の亀裂が入り、後一撃でもくらったら粉々に砕け散る程に損傷していた。一方、ディセルの銃は外面的な破損は見受けられないものの、残り残段数は一とお互いに対等な不利ハンデを背負ってでの戦いにまで持ち込まれた。


 「あんたのその剣、あと一発でも私の弾丸を防いだら、終わりよ?その後は何で応戦するの?見たところ、武器はその剣 一本と思うけど?」

 「確かに武器はこれだけだが、ディセル、お前の武器も実質的には同じようなもんだろ?」

「何言ってるの?キット、あんたの武器は防御で終わるけど、私の銃は攻撃で散るのよ?」


 百発百中、それがディセルの誇る確実な内面的武器センス。対してこちらは、攻撃・防御共にどちらか片方を行えば、砕け散る、諸刃もろはつるぎ

 勝算は限りなく、0に近い。

 それでも、負けるわけには行かない。


 「その目、覚悟が決まったってことね。私に殺される覚悟が」

 「殺すのはルール違反だろ?」

 「それぐらいの覚悟で来いってことよ!それも分からないの?」

 「死は常に意識してるからな、そんな覚悟はするまでもないんだ」

 「言ってくれるわね。いいわ、なら思う存分 後悔しなさい」


 俺はディセルをディセルは俺を、ただ一人の敵を見据え、武器を握り直す。観客には俺達の声は聞こえない。故にこの場は擬似的にも戦場そのもの。静止し、何かが始まるのか?という緊張感が観客に浸透した頃、俺は____


 ________行くぞ。


 歓声と熱気が乱れるこの場所フィールドを駆け出した。


_____________________________________


 時間はディセルとの戦いが始まる少し前にさかのぼる。転異者エミュレーターの話を聞いた直後ぐらいだ。


 「ったく。何なんだアイツは・・・これじゃあ全然、落ち着けなかったぞ」


 鼻から逃げるつもりでここまで来たのに、ディセルにああ言われると逆に戦って、その態度を一変させたくなる。この時点で俺はあいつ(ディセル)の口車にまんまと乗せられてしまっていた。気づけたことは良かったのだが、俺の気持ちは先程までのモノとは違い、戦う意思がはっきり決まっていた。


 「こうなったら、何が何でも勝ってやる」


 俺は出口へ向いていた足を修練場へと向けた。


 「キットこんな時間になるまで戻って来ないから心配したよ?何かあった?」

 「いや別に何も・・・ただ、ディセルにあった」

 「ディセルに?それで何か言われた?」

 「何も言われてないよ」


 転移者エミュレーターとばれかけたと言えばレイスに余計な心配を負わせてしまう。ただでさえ、この戦いの事を心配している彼女にこれ以上の負担はかけたくなかった。


 「・・・・・・それならいいんだけど」

 「心配はいらないよ。少なくとも、今の事にはね」

 「わかった」

 「さ、行くとするか」

 「無理しないでね。傍付き剣士を認められなくても他に方法はあると思うから」

 「・・・今言うことではないと思うんだが?」

 「え?」

 「いや、別に何でもない」


 意気込みと傍付き剣士になるという第一の目標をあっさりと消された気がした。他に方法があるのだとすればその話をもっと早く言ってほしかったと思う俺であった。しかし、もう後戻りは出来ない。


 「きっと、倒して見せるさ」

 「うん、信じてる」


 俺への期待を感じさせるレイスの瞳に俺は勇気づけられた。


 「本当はルール違反になるから、敵の不利になることは言ってはいけないんだけど・・・耳貸して」


 試合の場所フィールドへとおもむく俺にレイスは声をかけてきた。少しでも勝率を上げるためにレイスが起こした反則行為チートに俺は耳を貸した。


 「うん?なんだ?」

 「ディセルの腕は本物だよ。それに狙ったものへの照準は絶対にみだれない。それだけは覚えていて」

 「わかった。ありがとう」


 レイスに礼を言った後、剣を見た。副団長様レイスが直々に手入れしてくれたそれは陽の光を完全に反射し、暗がりの壁に光の線を引いていた。


 「頼んだぞ」


 俺は剣に思いを込めると、その時まで力を貯めておけと言わんばかりにさやにゆっくりと戻した。

 戦地への足取りは思っていたより軽く、聞こえる歓声も今はそれほど気にならなかった。事前のレイスとの会話が俺の心に落ち着きを付加させたのか、それとも心の何かなのかは分からないが、彼女レイスとの会話がそうさせたのに変わりはなかった。


_____________________________________


 試合のルールが伝えられる


 ・相手に致命傷を負わせてはいけない

 ・負けを認める様な言葉を発した場合はその時点で試合終了

 ・場所フィールド上の物であれば何を使ても良い(観客席から投げ込まれた物は対象外)

 ・急所への攻撃は禁止


 『以上4つとなります』

______________________________________


重くなる足取りを無理やり動かし、戦地への一歩一歩を刻む。今の俺にはどんな声も届きはしなかった。自らの足音のみが響く。それだけが耳の正常を教えてくれる。


 「逃げずに来るとはね、そこだけは褒めてあげる」


 あやしく冷酷な声。


 「その気だったけど。さっきの言われ様でその気も失せたよ」


 乾いた声で返答する。


 「言うじゃない。ま、いいわ さっさと始めましょう?私はこんなことに時間を割く程、暇じゃないの」


 まるで、相手にされていない。


 「団長命令だろ?それなら、これも任務扱いになるはずだ」

 「それも、そうね。なら、任務としてやらせてもらうわ」


 ディセルの目の色が変わった。勝つためには手段を選ばないと言った目だ。


 「拡声器で聞いたはずだが、一応聞いておく ルールは分かってるよな?」

 「拡声器?もしかして、あれのこと?」


 ディセルは修練場の各場所に建てられている、柱の一つを指さした。頂点には青く光り輝く、クリスタルが取り付けられており、俺は最初、オブジェか何かなのかと思っていた。


 「柱がどうしたんだ?」

 「まさか、知らないの?さっきのルール説明の声の発生源はあそこからなのよ」

 「そうなのか?」

 「あれを通して話し手は自らの声を拡大しているのよ。拡声石と言われる輝石クリスタルに《万人への伝言(オール・ボイス)》と言われる、スキルを使ってね」

 「・・・そうなのか」

 「知らない・・・・・・か」


 もうほとんど、転移者エミュレーターだとばれているのだろう。けれど、俺は一つあることを決めた。それは、自分からは正体を決して核心《真実》は語らない事を____。


 『両者ともに準備が良ければ始めてください』


 アナウンスが入る。

 準備何てとっくに終わらせている。今更、確認する事でもなかった。

 ディセルの方を見ると、得意げにうなずいた。開始のタイミングは俺に任せると言いたげなその行動に俺はゆっくりと剣を抜いた。


 「遠慮はしない、だから、ディセルも本気できてくれ」

 「当たり前じゃない、この前の()()()がまだなんだもん」

 「お返し?」

 「・・・私を・・・私を押し倒そうとしたことよっ!」


 何故かこの声だけは修練場に鮮明に反響した。一瞬にして静まり変える、場所フィールドと人。次に押し寄せてきたのは、少女の「えーーーー!」や「きゃぁーーーー!」と言った悲鳴にも似た、キーの高い声の数々だった。


 「な、何を言ってるんだ!お、俺はただ壁に追いやっただけだろ!?」


 逆効果だった。


 「そ、そうだったわね・・・私の逃げ場を無くして・・それで・・・・・・あんなこと____」


 ディセルは俺の言った事実を肯定こうていはしたものの、その話し方と意図的に赤くした頬・それに胸に両手を置き自らを守るような仕草がさらなる誤解を招く。


 「脚色をするな!」

 「・・・だって____私、あなたに____」


 あえてつづきを言わないことで聞き手の想像力を膨らますと言った巧妙なスキルをディセルはこの場に居合わせた、少女、全てに使った。

 完全アウェイな状況がさらに悪化する。男性陣はともかく、少女たちの視線に怒りを感じる。


 「はっ____」


 俺は脳裏によぎった少女の方を見た。


 「・・・・・・」


 下を向いたままの白髪レイスはこのことをどう思ったのだろう。ディセルとの付き合いは長いはずだから、きっと彼女ディセルの嘘だと思ってくれているはずだ・・・思っていてほしい。


 「精神面から追い詰める・・・か。銃使いはそんな戦闘スタイルを取るのか?」

 「何のことかしら?」

 「あくまでしらを切るつもりか____らちが明かない、始めよう」

 「えぇ」


 周りのどよめきをものともせず俺は初撃を繰り出すため、足に力を入れた。この地を駆け抜けるための力を。


 バンッ!


 走り出すタイミングと呼吸が整うタイミングが完全に合わさった瞬間、俺の行動は地面に空いた、数センチ程の穴と銃声に止められる。


 「遠距離攻撃はその場から動かなくていいから楽でいいわ」


 あざ笑うディセル。


 「逆に言えば近接戦闘は苦手なんだろ?」


 淡々と言い返す俺。


 「っく!」

 「図星のようだな・・・・・・なら!」


 俺は次の攻撃を気にすることなく、地面に弧を描くように剣を走らせた。右曲がりの曲線を描く。


 バンッ!バンッ!


 俺は放たれる弾丸を紙一重ですり抜け、走り去る。後を追うように聞こえる銃声は次第に近くなって____。それでも、動きは止めない。もし、止まったら確実に撃たれる。


 「逃げることしかできないの?ま、仕方ないわよね、今日まで治療してたんだから」

 「関係ないだろ」

 「だったら、その地面を削っている剣をちゃんと持ったら?」

 「そうだな、剣の持ち方 間違えてたよ。・・・でも、その前に____」


 バサッ!


 俺は握っていた剣を標準な向きに持ち帰るその瞬間、地面をえぐった。ディセルの視界をさえぎる様に起こる土煙。


 バンッ!


 咄嗟の出来事に思わず、銃を撃つディセル。これは計算外だったが相手の残り弾丸数を減らせたことには好都合だった。しかし、土煙で見えずらい視界は吹き抜けた風によりすぐにかき消された。再び、お互いの姿が鮮明に見える。


 「あんたも遠距離攻撃をするのね」

 「あいにくこっちは剣の使い方に慣れてないんでね」

 「なら____」


 ____バンッ!


 ____キィンッ________


 最初は何が起こったのか分からなかった。耳を突くような高い音。そして、細かく振動している右腕。確実に放たれた弾丸の行方を目で追った。だが、地面のどこを見ても、真新しい穴は開いていなかった。


 「気づかない?」

 「何がだ?」

 「右手」


 俺はディセルに言われた右手に目を向ける。すると、そこには軽くヒビの入った剣があった。


 「なっ____!」

 「剣の刃を狙ったのよ」


 ディセルの攻撃は間違いなく正しかった。対人戦において、もっとも大切なのは相手の武力をそぐこと。殺すという手段は簡単で一番手っ取り早い、しかし、それを簡単にしないのが武器だ。いくら、剣の名人でも鼻からそれが無ければ実力のほとんどが出せない_無に等しいと言った方が最適だろう。だから、ディセルは致命傷を負わせず、相手に敗北を確信させる的確な方法を取ったのだろう。


 「なるほど。そうきたか」

 「傷を負わされるのは嫌だから、武器を落とさせてもらうわ」


 このまま同じ攻撃を受け続ければ剣は亀裂から粉々に砕ける。そうなれば俺に残されたのは_敗北の未来だけだ。つまりは、レイスとの約束が果たされなくなる。


 (どうする?このままだと・・・・・・)


 ____ディセルの腕は本物だよ。それに狙ったものへの照準は絶対にみだれない。それだけは覚えていて____


 不意に思い出される、レイスの助言アドバイス


 (____これだ)


 俺は何も語らずただ、この戦地を円を描くように走り抜ける。


 「何今度は、錯乱?」


 ディセルの問いかけには応じない。


 「だんまり?なら、いやでも喋らせてあげる」


 バンッ!


 放たれた弾丸が左腕をかすめる。


 「____」


 緋色の液体が裂けた服から流れ出す。痛みはある。それでも歩みは止めない。


 (何、この感じは!?まるでさっきまでのアイツとは違う。この嫌な感じ、私____殺されるの?)


 ディセルは先程までの俺と違った雰囲気に感情がどよめいていた。今の俺はイラスト作業に入った時の様な尋常じゃない集中力を発動させていた。握っているの物はペンではなく剣、そして描いている場所は紙の上ではなく地面。全く違った場所だというのに感覚が似ているせいか、俺はどこか落ち着きを取り戻していた。


 「____ここだ」


 バンッ!


 撃たれた弾丸は確実に剣の刃の部分に命中した。右手が揺れる。


 「後、二発でも当たったらその剣は砕けるわね?」

 「二発もあるのかよ」

 「えぇ、残念なことに。後三発は装填そうてんしているわ」


 (____勝った)


 その瞬間、俺は勝利への道が見えた。


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