異世界前の現代生活
事業に成功した事自体のはよいのだが、新しい事業のベースの発想をしただけでノウハウなどの細かな事など全く考えてなかった俺はその事業自体は信頼できる仲間に完全に任せて(放り投げて)、俺自身は今まで通りなにも変わらずにうけた調査や雑務などの依頼をこなす忙しい日々を3年ほど送っていたが、ある日事業を任せていた仲間に久しぶりに呑みに誘われた。
だが呼び出された店に向かうと明らかに高級そうな高層ビル。というか高級感しかない。
しかも入口前にセキュリティーっぽい方が立ってらっしゃる。
えーと。このビルの前たまに通りますけどあなた方みたいなゴツい方々見たことないですけど?
間違いだろうと仲間に電話をすると分かったと言われ電話を切られる。
ん?セキュリティーの一人のスマホが鳴ってる。てか着信音ポップ!笑
駄目ですねー職務中に私用の電わ………ん?
なんで俺のほうに来るんですか?しかも二人も。あ、はい。確かにそれは自分の名前ですが……
え!?ちょっと待って?なんで両脇に立つの?!
ちょっ!腕痛ッ!潰れる!てか若干浮いちゃってるから!
確認された後は質問も完全に無視でビルの中へと連行された。
片方の腕が特に痛いと思ったら電話に出てたほうの人だった。
…ポップな着信音だったのを聞いて吹き出したのを見られてたみたいです。
ビルの中に連れ込まれて両脇を固められたまま強制的にエレベーターに乗せられ、ポップ着メロのセキュリティーが監視カメラをみながら無線で喋ると、階数も指定していないのにどんどん上に上がっていく。
全く揺れることもなくスムーズに上がっていくエレベーターの眼下に拡がる夜景を現実逃避気味に眺めていると目的の階に到着したのか扉が開いた。
ビルのワンフロア全てが店になっているようでエレベーター入口が開くと目の前に数人のセキュリティ。
その奥には今までの生活ではみたこともないような豪華な店構えがあった。
目的の場所に到着しようやく掴む力を弱めてくれていたポップ着メロのセキュ……ポップ君をチラッと見てみると意外と立場、能力共に高いようで入口に立っていた他数人のセキュリティと比べて持つ雰囲気が違っていた。
そんなポップな感情を着信音のみに詰め込んでしまったポップ君に腕を放してもらい愛想笑いの会釈をして、恐る恐るエレベーターを降りる。ポップ君は俺が逃げないようにしっかりエレベーター前で待機している。くそッ。
すぐそばにいた店のスタッフであろう女性が出迎えてくれて更に奥へ案内された。
2つほど角を曲がった奥にあった扉の前でスタッフが立ち止まる。
この部屋だということなのだろう。というよりも聞き覚えのある声がするので間違いない。
…入ったらまずは右腕に残った手の痕の抗議をしよう。
右腕をあげて声を張れるよう少し残った緊張を晴らすよう息を吸い込み中へ入った。