第86話 ルーナの物語 ルーナ白銀ランクに昇格する
ルーナがアタランテからグランセルへ戻っているその頃。
グランセルギルドでは一組の冒険者チームがダンジョン第42階層のボスに挑むため集まって居た。
集まっているのは金剛鉄ランク冒険者に最も近い白銀ランク冒険者ジエガルを筆頭とする6パーティー34人の冒険者達。
ジエガルの他に白銀ランクが2人、残りの31人は全て金ランクだ。
グランセルダンジョン第42階層のボスは蛇竜皇と呼ばれる5首のドラゴン種。
蛇竜皇が発見されたのは今から約12年前。5年程前に、当時最強の金剛鉄ランク冒険者のヴュステ率いる4パーティー18人の冒険者チームが攻略に向かい、1人を残し全滅したのを最後に攻略に乗り出す冒険者は居なかった。
ジエガルは、当時ヴュステが攻略出来なかった原因を、ヴュステが冒険者ランキングの上位パーティーと即席チームを組み、上手く連携が取れなかった為だと推測する。
今回、ジエガルが率いているのは自身が作り育てた冒険者チームの上位34人だ。
何度も一緒にダンジョン探索を行っており、連携もスムーズに取れる。
ここ100日程は、蛇竜皇に挑戦して生き残った冒険者達が残した情報を元に、対蛇竜皇の訓練を行っているため、準備も万端だ。
「戻って来たら俺達が最強の冒険者チームだ! 気合い入れて行くぜ!」
「「「「「「「「「おうっ!」」」」」」」」」
ジエガルのチームは上は白銀から下は鉄ランクまでの総勢184人の冒険者の中で最大の勢力を誇るチームだが、やはり金剛鉄ランク冒険者リオンのパーティーに比べ、下に見られていた。
ジエガルが金剛鉄ランクに上がる事が出来れば、名実共に最強の冒険者チームを仲間達に名乗らせてやることが出来る。
田舎育ちの冒険者達が貴族からも一目置かれる存在になれるのだ。
そんな小さな望みを叶える為、攻略は不可能とまで言われた蛇竜皇に挑む。
ジエガル達は意気揚々にダンジョンへ入って行った。
━━ジエガル達が蛇竜皇攻略に向かい100日が過ぎたが、未だに誰1人戻って来るものは居なかった。
ジエガルチームの実力なら、これだけの日数あれば、成功していればもう、とっくに戻って来ている筈だ。
が、誰も戻って来ない。ギルドや冒険者達の間ではジエガルチームは全滅しているだろうと噂され、暗い雰囲気に包まれていた。
そんな中でルーナは、ジエガル達の事を全く知らず『なんとなくギルドに活気が無いな』とは思いつつも、いつも通りに受付でクエストを紹介してもらい、いつも通りにダンジョン探索をしている。
今日もルーナはクエストを受け、グランセルダンジョン第41階層に来ていた。
この時、ルーナが装備していたのは、親方が作った当時最高峰の装備。斧は金剛鉄、魔銀、少量の神鉄の合金で作られた戦斧。鎧は金剛鉄を下地に魔銀と碧鋼の合金でコーティングした対物対魔に優れた首から下の殆どを守れる鎧。普段は身に付けていないが鎧と同じ材質の兜と火、冷気、雷の属性耐性に優れたマントも収納魔法に入れている。腰には魔法式を刻んだ魔法武器、雷鳴の短剣。
魔法を覚えていないルーナだが、このダガーを使えば物理攻撃が効かないモンスターも楽々倒せるのだ。
いつものようにクエストで必要なモンスターを狩り、ここでしか取れない鉱石や植物等を採取しながら探索を進める事、半日。
ルーナはお腹が空いた為、食事休憩を取る事にした。
今日は都合良く、ダンジョンの各フロアに数ヶ所あるモンスターが寄ってこない安全圏の1つである湖の近くに居たので、ゆっくりと水浴びをして、料理をしようと湖に向かう。
ダンジョンの広い部屋と部屋を繋ぐ間道を抜け、湖のある部屋へとやって来たルーナ。
『誰か居る』
ルーナが湖に向かって歩いていると、別の冒険者がそこに居た。男2人、女1人の3人組だ。
これまでの経験上、他の冒険者と一緒に居ると、大抵の場合、相手が嫌な顔をするので、休憩は別の場所にしようかと考えた。
しかし、ルーナに気が付いた冒険者達が嬉しそうに手を振ってきていた為、別の場所へ移動するのは止めた。
「やったぁ! 助かった」
「もうダメだと思った……良かった、本当に良かった」
「うわーん、よがっだよぉー」
ルーナは泣くほど喜んでいる冒険者達を見て不思議に思ったが、その装備を見てなんとなく納得する。
3人とも装備がボロボロなのだ。武器は手にしていない。
収納魔法にしまっているのかとも考えたがどうやらそうではないらしい。
「君、1人なのか? 他に仲間は?」
「…ん、誰も居な…い。私1人だ…よ」
「嘘っ!? 嘘よね?」
ルーナの答えに3人組が絶望的な表情を浮かべ、女冒険者がルーナにすがり付くように詰め寄る。
「嘘じゃない…よ」
ルーナがそう答えると、3人組は完全に意気消沈し、項垂れる。
ルーナは落ち込む3人組にどういう事か尋ねると、3人組は静かに話始めた。
この3人はどうやらジエガルチームのメンバーで、蛇竜皇攻略に失敗し、なんとか生き延びたのだが、武器が壊れてこの場から動けないでいたらしい。
他のメンバーは恐らく全員死んだと言うことだ。
詳しい内容は、ジエガル達は予定通り第42階層のボスモンスター蛇竜皇に挑戦し、情報や訓練のお陰で、犠牲者は出ていたものの、蛇竜皇を良いところまで追い詰めたらしい。
しかし、追い詰めたところで、辺りに異変を感じたジエガルが部屋から待避するよう指示を出す。
この3人は後方支援役の為、ボス部屋の入口付近に配置されていた為、指示後直ぐに部屋から出ることが出来たのだが、3人が部屋を出た直後に激しい爆発音が聞こえ、3人は爆風に飛ばされダメージを負う。
回復魔法や魔法薬で治療を終え、ボス部屋に戻ったが、熱気で部屋に入れなかった為、3人で42階層に止まるのは危険と判断し、戻ることにしたが、前衛役が居ない事で上手く戦闘が出来ず、武器を壊され、命からがらこの安全圏に逃げ込んだということだった。
ジエガルと2人の白銀ランク冒険者は、生き残った仲間を逃がすために蛇竜皇の足止めをするため、最後に部屋を出ると言われ、3人組はボス部屋の外に走り、外に出て直ぐに激しい爆発音と悲鳴が響き、3人は爆風で飛ばされたのだ。
そこからこの湖に来るまでの戦闘で武器は壊れ、元々支援を中心にしていた3人はこの場から動けなくなったそうだ。
「武器さえあれば帰れる可能性はあるんだけど……」
「武器ある…よ」
ルーナは収納魔法からダンジョンで発見して、売らずに残して置いた、剣、槍、杖、盾を取り出し幾つか3人の前に置いた。
「マジか! すげぇ、なんでこんなに持ってるんだ?」
「やった、杖がある」
「ゆ、弓はないか?」
「弓は持ってな…い、ごめんな…さい」
「いや、これで充分だよ。ギルドに戻るまで借りても良いかな?」
「…ん、良い…よ」
3人は嬉しそうに自分に1番合いそうな武器を手に取り……安心したのか、お腹が鳴り始めた。
「ご飯、食べ…る?」
ルーナはそう言って、ここに来るまでに狩ったモンスターを数匹、収納魔法から取り出し目の前に置いた。
「やったぁ、久しぶりの固形物だぁ!」
「に、肉だ……」
「んごきゅ……お、お肉」
3人は8日前から水しか飲んでいなかった為、モンスターを見た途端、唾液が口一杯に溢れだしたらしく、涎を垂らしていた。
調理は任せてくれと言われたので、ルーナは湖で水浴びをすることにした。
ルーナが水浴びから戻ると、モンスターは既に解体され、調理が始まっていた。
調理と言っても一口大に切った肉を調味料をふって焼くだけ。
調理器具は持っていたようで、ヒートプレートに乗せたフライパンでどんどん肉を焼いて、焼けた端から口の中へ。
8日も何も食べていなかった3人組は食後胃が痙攣を起こし、激しい腹痛に襲われる。
そんな失敗もしながら3日を掛けて体力を回復させ、ルーナを先頭にダンジョン脱出に向かう。
向かってくるモンスターは殆どルーナが倒し、3人はかなり安全に帰りの道を進む事が出来た。
湖を出発して10日、ルーナ達はダンジョン第26階層の元ボス部屋に到着した。
「ここから…なら帰れる…ね」
ルーナはここまでの戦闘で、この辺りからなら3人だけでも帰れると判断しそう声をかけた。
「えっ? どういう事?」
「そりゃ、ここからなら問題ないけど」
「…ん、他に生き…てる人居ない…か探してく…る」
不思議そうにする3人組にルーナはまた41階層に戻ると宣言した。
「そんな、君が無理しなくても1度ギルドに戻って捜索隊を出してもらえば良いじゃないか」
「それに、たぶん……」
「でも、生きて…るなら早い方…が良いか…ら」
恐らく生きている者は居ない、しかし、そうは言いたくない3人組。ルーナは引き留めようとする3人組を背に再び深層へ向かった。
━━3人組と26階層に戻った時間の3分の1の時間で再び41階層にやって来たルーナ。
地図に載っている、安全圏を順番に見て回るが、41階層には誰も居なかった。
続いて、42階層の安全圏を見て回ると、傷だらけの冒険者の遺体を2人発見、収納魔法に入れて、最後に誰も居ないだろうとは思いながらもボス部屋の様子を見に行った。
入口から中を覗くと、壁のあちらこちらに黒い染みがあり、床には細かな炭のような黒い物体が転がっている。
蛇竜皇の姿は見当たらない。
ルーナがボス部屋内をくまなく見渡していると、部屋の奥に人らしき黒い影が立っているのを発見する。
ルーナは誘われるようにボス部屋に入り、その黒い影に近寄ると、そこにあったのは恐らく元は人だろうと思われる炭の塊。
頭部分は砕けたのか半分しか残っておらず、片腕は肩から、もう片腕は肘から失われ、鎧で被われていたであろう体と、両足は残っていた。
ルーナがせめてこの遺体だけでも持って帰ってあげようと、手を伸ばしたその時。
殺気と共に大きな影がルーナの頭上に現れた。
ルーナは咄嗟にその場から飛び退き、先程まで自分が居た場所に視線を向けると、その場には体長30mはあろうかという、巨大な多頭の蛇の姿があった。
蛇竜皇だ。蛇竜皇はルーナが連れて帰ろうとしていた人間であったものを踏み砕きルーナに向かって激しい殺気を放ったまま、ルーナを睨むように見つめている。
そんな蛇竜皇の姿を見てルーナは少し苛立ちを覚える。
せめてちゃんと黄泉に送ってあげたかった冒険者の亡骸。
それを目の前で粉々に踏み砕かれ、自分に殺気を放つ目の前のモンスター。
ルーナは戦斧を両手に持ち、構えると、一足飛びに蛇竜皇の下へ踏み込み、横一線に戦斧を振り切った。
固い鱗に阻まれ切れはしなかったものの鱗は幾つか砕け蛇竜皇の体は大きく後方へズレる。
一瞬驚き動きが止まった蛇竜皇だったが、直ぐ気を持ち直し、左から2番目の頭から雷のブレスを吐いた。
激しい閃光が一直線にルーナに向けて放たれる。が、ルーナの姿はもうそこにはなかった。
蛇竜皇が雷のブレスを吐く直前にルーナは再び蛇竜皇の下へ踏み込み斜め下から斬り上げる。
蛇竜皇の体は少し浮き上がる。攻撃を受けると同時に蛇竜皇はルーナに向かって尾の一撃を放ち、ルーナは戦斧を盾代わりに尾を受け、部屋の壁へと飛ばされ激突した。
自ら飛んだ為、尾の一撃でのダメージは殆ど無い、壁に激突したが、それも上手く受け身をとった為、ダメージは最小限に抑えることが出来た。
が、その直後、蛇竜皇の右から2番目の頭から冷気のブレスが放たれた。
ルーナは紙一重でその場を離れ、ブレスを躱す。
ルーナの居た場所は一瞬にして分厚い氷に被われ、冷気が床を伝いルーナの近くへも流れてきていた。
ルーナはあれをまともに受けたら耐えられないと判断し、蛇竜皇から距離を取り、収納魔法から兜とマントを取り出し素早く身に付ける。
この間、蛇竜皇への警戒は怠ってはいない。
しかし、ルーナに僅かに隙が出来たにも拘わらず蛇竜皇が攻撃を仕掛けてくることはなかった。
ルーナは少し違和感を感じたが、疑念を振り切り、再び蛇竜皇に攻撃を仕掛けた。
蛇竜皇の下へ踏み込み斧を奮うルーナ、蛇竜皇は3つの頭を使い、器用に前後左右から攻め立てる。
暫く攻防は続き、ふと、ルーナが体の違和感に気が付いた。
『おかしい、体が動きにくい?』
そう考えた直後、ルーナの目や耳、口、鼻から血が流れ落ちる。
『毒だ!』
毒に気が付き、ルーナに大きな隙が生まれる。
蛇竜皇はそれを見逃さず、尾を振りルーナを弾き飛ばした。
ルーナはそのまま部屋の壁へと飛ばされ今度は受け身が取れないまま激しく壁に体を打ち付けた。
そのまま床に倒れ込むルーナ。蛇竜皇は勝ちを確信し、あとは毒で勝手に絶命すると攻撃の手を止めた。
ルーナが受けた毒は麻痺毒と致死毒だ。
耐性の無い者であれば、一息吸い込んだだけで、動きが鈍くなり、2、3分で絶命する程の猛毒。
ルーナは高い耐性を持っているため、毒の効果が出るのに時間が掛かったのだ。
蛇竜皇の両端の頭は、左が麻痺毒、右が致死毒を吐き出す。ルーナが兜とマントを身に付けるている時には、もう吐き始めていたのだろう。
臭いは無いがよく目を凝らすと両首から黒い霧の様なものが漏れていたのだ。
普通ならこのまま絶命するのだが、ルーナは全く焦ってはいなかった。
ルーナの収納魔法にはエルフの村で貰った数種の魔法薬が納められている。
ルーナは体を起こし、2本の魔法薬(毒消しと傷回復)を取り出し、飲み干す。
すると、一瞬にしてルーナの体から麻痺毒も致死毒も消え去り、全身のダメージが無かったかの様に消え、力が漲ってきた。
ルーナは完全に油断しきっている蛇竜皇との距離を詰め、体を駆け上がり、真ん中の首と左の首の間に斧を振り下ろす。
一瞬固い鱗に阻まれたが、斧は鱗を突き破り、深々と蛇竜皇に突き刺さった。
滅多にダメージを受けることの無い蛇竜皇が始めて受けた深い傷。
蛇竜皇は痛みで全身を捩らせて悶え、転がり回る。
転がったことで低い位置に頭が降りてきた。
このチャンスをルーナは逃さない。
「我が魔力…を糧に敵…に轟け雷鳴…剣」
ルーナは腰の雷鳴の短剣を抜くと同時に起動句を唱え、蛇竜皇の目に突き立てる。刺さったのは1番左の頭の左目だ。
サンダーダガーの帯電時間は凡そ5分、その間に合計で、上級雷魔法と同等の雷が流れ続ける。
蛇竜皇の鱗はあらゆる魔法に対して高い耐性がある。しかし、目から体内に流れる電撃には全く意味がない、それどころか鱗の所為で外に出ていく筈の電撃が体内に止まり続けるのだ。
1番左の頭は完全に動きを止め、電撃で蛇竜皇の動きが鈍くなる。
ルーナは決着をつけるべく斧を奮った。
縦横無尽に動き回りあらゆる角度から斧を振り回し、秒間に数十の打撃を打ち込む。
蛇竜皇の鱗は砕け、剥がれ落ち、全身が血に染まる。
そんな中でも蛇竜皇の戦意は全く衰えていなかった。
蛇竜皇は首を起こし、1番右の頭から今度ははっきり見える程高濃度の毒を吐き出す。
ルーナは3人組の話を思いだし、マントの端を口に当て、全身をマントでくるみ、部屋の外へ待避しようと走り出す。
ルーナが部屋から出るより早く黒い毒の霧は部屋全体に広がり、直後、蛇竜皇の真ん中の頭から炎のブレスが吐き出された。
炎のブレスは毒の霧に引火し、激しい爆発を引き起こす。
ルーナは部屋から出るのが間に合わず、爆風に巻き込まれた。マントの火耐性のお陰で火のダメージは最小限で済んだが、爆発の衝撃は凄まじく、部屋の外まで飛ばされ、体の芯に痛みが走る。
ルーナは直ぐに収納魔法からポーションを取り出し、一気に飲み干す。
ダメージは回復したが、激しい熱気で部屋に入る事が出来ない。
熱気が収まるのを待ち部屋に入ると、自身の攻撃で全身を焼き倒れている蛇竜皇が居た。
恐らくは奥の手だったのだろう。
蛇竜皇の傷は目に見えて解るほどの速度で回復しているが、ダメージが酷く、動ける様になるまで暫くは掛かりそうだ。
しかし、ルーナは回復するまで待ったりはしない。
1つの首に数回斧を振り回し、5つの首を切り落とすと、蛇竜皇はその活動を完全に停止させた。
それと同時に激しい揺れが起こり、部屋全体が輝き始める。
光が収まると、蛇竜皇の死骸の前に金貨や宝石等の財宝と、多くの装備品が現れ、部屋の最奥には下への階段が、その横には祭壇の様なものが現れた。
ルーナは現れた財宝と装備品、蛇竜皇の頭を1つ収納魔法にしまい、祭壇らしき所へ歩いていく。
そこには台座に乗せられた1振りの剣があった。
「□□▽◇▽◇◇△△○□◇」
聞いた事のない言葉がルーナの耳に届き、ルーナは辺りを見回すが、誰も居ないし、なんの気配も感じない。
空耳だったのだろうと思い、目の前の剣を手にし、祭壇らしき場所を離れると、ルーナが離れた瞬間、祭壇らしき場所がただの壁へと変化した。
ルーナはその場で一晩、休息をとり、ギルドへ帰る。
13日後、ギルドに戻ったルーナ。
ダンジョンからギルドへの扉を開けると、助けた3人組と、ギルド職員、それと物々しい集団がルーナを見付けて騒ぎ出す。
「ルーナさん、ご無事だったんですね」
ルーナに最初に声を掛けたのは自称ルーナ担当受付嬢。
「良かった、無事だった」
「1人で戻るなんて無茶ですよ」
「本当に心配したんですから」
助けた3人組も駆け寄ってくる。
「大丈…夫、いつもの事だ…よ」
ルーナにとっては1人で探索はいつもの事。なんでもないと、軽く言い━━
「この人…達、送ってあげ…て」
━━と、ダンジョンで発見した2人の遺体を収納魔法から出し、3人組の前に寝かせた。
ルーナの予想通り、遺体は3人組と一緒に蛇竜皇攻略へ向かったメンバーだった。
「他の人…は見付からなかっ…た。ごめんな…さい」
そう言って頭を下げるルーナ。
「貴方が頭を下げる必要は無いです。むしろこちらが迷惑を掛けた事を謝りたい」
「そうです。自分達の責任で蛇竜皇に挑戦し、敗れたんです。仲間を連れて帰ってくれてありがとうございました」
「私達を助けてくれて、本当にありがとうございました。このご恩は一生忘れません」
3人組は深々と頭を下げ感謝を伝える。
この後、ルーナが蛇竜皇の首を収納魔法から取り出し報告したものだからギルドは更に大騒ぎになった。
それから数日後、魔道具の審査で、ルーナの報告は本当の事だと確定されたのだが、念のためという事で、ギルドの調査隊と共にルーナは蛇竜皇の死骸が残されたボス部屋だった場所へ戻り、下への階段が確認され、ルーナの偉業は冒険者中に知れ渡る。
この功績が認められルーナは冒険者になってたった1年半で白銀ランクへとランクアップしたのだった。
━━それから約半年の時間が過ぎ、ルーナがいつものようにクエストを終わらせ、グランセルダンジョン第32階層の湖の安全圏で水浴びをしていると、ルーナの後方から激しい水柱が上がり、そこには意識を失った1人の少年が浮いていた。
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「…で、見付けたの…がアステルだ…よ」
「……壮絶な話しだね。驚く事ばかりだけど、ルーナの事を沢山知れて嬉しいよ」
「うむ、面白かったのじゃ」
「エリーの話…も聞いてみた…い」
「それは良いのじゃが、我の話は5000年分あるからのう、要所要所を話すだけでも十数年はかかるのじゃ」
「ふふ、エリーちゃんの話も聞いてみたいけど、今日はもう遅いからまたにしましょ」
「あ、本当だ。もう寝なきゃだね」
「…ん、じゃあ寝…よ」
「そうするのじゃ」
「「「「おやすみなさい(なのじゃ)」」」」
次のお話から本編に戻ります。
個人的にはルーナの物語は満足出来たのですが、読者の皆様はどうですか?
満足して頂けたのなら嬉しいです。




