第71話 ルーナの物語 別れ、そして旅立ち
しんみりしたお話になります。暗い話が苦手な人、もしくは嫌いな人、ごめんなさい。
王都から帰って僕達はいつもの生活に戻った。クエストを受けダンジョンに入り、休日はルーナや家族と一緒に過ごす。そんな日常が続き新年を間近に控えた、ある日の夕食後。
「アステル、エリー、ユミリア、お酒付き合って…もらっても良…い?」
ルーナが珍しく、いや、出会ってから初めて、一緒にお酒を飲もうと誘ってきた。
「良いよ。でも、珍しいね、ルーナがお酒なんて」
「我も良いぞ。どうしたのじゃ? 突然」
「ルーナちゃんから誘ってくれるなんて嬉しいわ。喜んでお付き合いするわ。どのお酒が飲みたい?」
僕達は快く了承し、母さんが棚から買い置きしてあるお酒を持ってこようとする。
「ありがとう。お酒はこれが良…い」
そう言ってルーナが収納魔法から取り出したのはウォルディンヴァルからずっと西にある小さな島国発祥の米を発酵させて作るお酒、ギンジョーだった。
「ギンジョーか、どうしてそれなのじゃ?」
「…ん、これは、お母さん…が好きだったお酒。お酒をあまり飲め…なかったお父さん…が、1年に1度だ…けお母さんの命日に飲ん…でた。今日は、両親の命日だ…から」
少し昔を懐かしむようにルーナはそう教えてくれた。
その話を聞いた僕達は、それ以上は何も聞かず席に付き、食卓を囲み、黙ってグラスにお酒を注いで静かに飲み始めた。
「ルーナの両親の話を少し聞いてみたいのう。差し支えなければ教えてくれぬか?」
お酒を飲み初めて十数分が経った頃、エリーが口を開く。
「…ん、良い…よ」
ルーナは飲む手を止めると、静かにゆっくりと話を始めた━━
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ルーナの父の名前はナヴァル、母の名前はルーニイ。両親はウォルディンヴァル王国の北のに位置する隣国、フォスキアの出身だ。フォスキアは統治者が無能な為、民は貧困に喘ぎ、治安は悪く酷い状態だった。2人は幼なじみで、そんなフォスキアを一緒に逃げ出し、ロックウェル領の小さな村に移住してきた移民だった。
ルーニイは生まれつき体が弱く病気がちではあったものの、この国に移住してからは栄養の有るものを食し、少しずつ健康な体になっていた。
移住してから3年ほど経ったある日、ルーニイはルーナを身籠る。
体の弱かったルーニイは出産には耐えられない可能性が高いという理由で堕胎を勧められたが、どうしても産みたいと懇願し、無理を押して出産し、生まれた子供は父ナヴァルの意見で、ルーニイとナヴァルの愛の結晶という理由で2人から字を取りルーナと名付けられた。
妊娠中、ルーニイは自分が病弱な分、子供は自分の分まで元気に逞しく育ってほしいと願い続けた。その祈りが通じたのか、ルーナは生まれてから病気1つせず、健康に元気に逞しく育った。
ルーナを生んでからルーニイの体は弱ってしまったが、ルーナが5歳の年の種の季節まで、辛い顔1つ見せず幸せな毎日を過ごしていた。
しかし、その年、村に蔓延した流行り病にかかってしまう。
「ルーナ……大人になるまで育ててあげられなくてごめん……ね。あなた、ずっと苦労ばかり掛けてごめんね」
病床で自分の死を悟ったルーニイは、2人に涙ながらに詫びの言葉を並べる。
「お母さん……泣いたら、めっ、だよ。お父さんが薬持って来てくれたから、大丈夫だよ」
涙を流すルーニイにルーナは幼いながらに、ぐっと、涙をこらえ母を励ます。
「そうだバカ野郎……苦労だなんてちっとも思ってねえ。俺はお前と……ルーニイと一緒に居れて、可愛い娘まで生んでくれて最高に幸せ者だ。だから、そんな弱気な事言うな。病気なんかこいつを飲めば一発でふっ飛んじまわぁ。心配すんな」
目に涙を浮かべたまま、ナヴァルはルーニイをそっと抱き起こし、行商人から買った魔法薬を飲ませた。
しかし、弱りきったルーニイは魔法薬の効果も虚しく、この世を去ってしまう。
死の間際、ルーニイは言葉を発する力も殆ど失い、力なく何かを呟く。しかし殆どの言葉は聞き取る事が出来ず。最後の最後に、ただ一言聞き取れた言葉は「ありがとう」だった。
━━ルーニイの死からもう直ぐ3年。父の支えもあり、明るく元気に育ったルーナが、8才になった種の季節。
「おーしっ! ルーナ、そっちに行ったぞ!」
「うん、任せて!」
村近くの小さな山の中。獲物を追い詰める父娘の声が木霊していた。
ボサボサの髪の無精髭を生やした男ナヴァルに追い立てられ、木々の間を走り抜ける一匹の獣の前に飛び出し、脳天に斧を振り下ろす金髪の美少女ルーナ。
ドカッと、鈍い音と共に頭蓋を貫き深々と斧が突き刺さる。
「やったよ。お父さん」
「おっしゃあ、今日は大量だな。しかし……ロックシープの頭蓋を一撃とは……だんだん逞しさが増していくな、ルーナは」
ロックシープ。頭が岩の様に硬い羊のモンスター。草食だが縄張り意識が高く、縄張りに一本入った途端に襲ってくるが、自身より強いと判断した場合、見切りも早く逃げに徹する。
「えへへ、ずっとお父さんに鍛えられてるからね」
「ルーニイに似て美人なのに……すまねぇな、女の子らしく育てられなくて……俺ぁ、ルーニイみたいに器用じゃねぇから、狩りとか鞣し革作りとかそんなんしか教えられねぇ」
「大丈夫だよ。お母さんも言ってたでしょ? 元気に逞しく育ってほしいって」
ルーナは母の願い通り。いや、それ以上に逞しく元気に育っていた。
「いや……確かにそうだけどよ? なんか違わねぇか? 方向性ってかよ?」
「気にしない気にしない、早く処理しないと食べられなくなるよ?」
ルーナにそう言われた父はルーナが仕留めたロックシープを解体し、必要部位だけ背負っていた収納用魔法鞄に納め、残りは軽く地面を掘って埋める。
こうしておく事によって、肉食の獣等が勝手に掘り出して食い尽くしてくれるのだ。
この日の収穫はロックシープ1匹、ハンターカウ1匹、マウントベア1匹の計3匹だ。この季節の狩人の1日の収穫としては上々といったところだろう。
ルーニイの死後、ルーナを1人家に残しておくのが心配だったナヴァルは、狩りに連れていくようになり、初めはルーナを安全な木の上等に座らせ、ナヴァル1人で狩りをしていたのだが、6才になり半年ほど経ったある日、ルーナが足元の石を拾って、逃げる獣を殴り倒したのを切っ掛けに、狩りを手伝うようになったのだ。
ルーナと父ナヴァルは、こうして得た肉や革等を行商人に売って、お金を稼ぎ生活をしていた。
━━ルーニイの3度目の命日を向かえた日。
この日は夕方頃から、普段酒を飲まないナヴァルはルーニイがいつも身に付けていた、ナヴァルがルーニイに初めてプレゼントした首飾りをテーブルに置き、ルーニイが生前好んで飲んでいた酒を飲んでいた。
「ルーニイ、ルーナもすっかりお前に似て美人になったぞ。見せてやりたかったな……大きくなったルーナを」
目の前に置いた首飾りを手に取り、懐かしむように語りかけながら、ゆっくりギンジョーを口に運ぶナヴァル。
「お父さん、私もそれ飲んでみたい」
年に1度ナヴァルが口にするそれを、毎年ルーナは興味深く見ながら同じ言葉を発するのだが━━
「ルーナが大人になったらな。そうしたら一緒に飲もうな」
━━父は決まってこの言葉を返す。
そして、ルーナはつまらなそうに父が酒のつまみに作った料理を口に運ぶ。
例年であればこのまま、父が酔っ払い。早々に布団に直行するのだが、この日は違った。
ドンドンドン!
激しく家のドアを叩く音と共に慌てふためく村の男の声が響く
「ナヴァルさん! 大変だ、盗賊が攻めて来やがった!」
小さな村ではそう珍しい話しではない。盗賊はめぼしい村を発見しては襲い、金目の物や女を拐って行くのだ。
この村も数年に1度ほどの頻度で盗賊やモンスターの群れに襲われていた。ナヴァルはこの村で1番戦闘に長けているため、こういった事態が起こった時には村人達から頼られるのだ。
「ちっ! 今日はゆっくりルーニイと語りたかったのによぉ。ルーナ、直ぐ戻って来るからちょっとだけ待っててくれ」
「私も行く」
ナヴァルが険しい表情で立ち上がり斧を持って家を出ようとすると、ルーナも後を追いかけてきた。
「ダメだ、お前は家で待ってろ。なに、直ぐに追っ払って戻って来るからよぉ。心配すんな」
「でも……」
ナヴァルの強さはルーナも充分に理解していた。しかし、この日ばかりは嫌な予感が働いたのだ。
父の服の裾を強く掴んで離さないルーナ。
「仕方ねぇな。遠くで見るだけだぞ? 絶対に近寄るなよ?」
「うん」
押し問答をしている暇はなく、しぶしぶだがナヴァルはルーナの同行を許可した。
村人に先導され村の門まで走るナヴァルとルーナ。
門の辺りでは、今日の門番に当たっていた村人や村の男達が、押し入る盗賊を通すまいと、必死に抗っていた。
「ルーナはここで待ってろよ」
「うん、気を付けてね」
そう言葉を交わすとナヴァルは全速力で村人の元へ加勢に駆け出した。
「うおぉりやあぁーーー!!」
村人の頭上を飛び越え、押し入ろうとする盗賊に斧を振り下ろし1人を一刀両断にする。
続け様に辺りに居た盗賊を2人切り裂き、1人の胸ぐらを掴むと、そのまま片手で振り回し盗賊を押し返すナヴァル。
「なんだこいつ!? 化け物か?」
たった1人の参戦で一気に形成が逆転し門の外へと追いやられた盗賊が怖じ気づき二の足を踏む。
「今の内だ! 門を閉めて固めろ!」
ナヴァルの指示で村人達は、壊され開かれた門を閉じ、そこへ木箱や土嚢等を積み上げ固め、門の外にはナヴァル1人と盗賊が二十数人残された。
「さあーて、これでお前らは村に入れなくなった訳だが、まだやるか?」
「馬鹿かてめえは? こっちが何人居ると思ってやがる! てめえ1人倒しゃ、あとは雑魚だけだ!」
門を背に斧を構えるナヴァルに対し盗賊のリーダーらしき男が威嚇する。
この時盗賊は弓矢等の飛び道具を装備しておらず、手にはショートソードやダガーのみしか持っていなかった。
ナヴァルはそれを見越して門を背にすれば1度に相手するのは精々4人、相手の実力からして1人で対応出来ると判断したのだ。
村人達はこういった状況の場合下手に加勢して邪魔にならないように門の上から状況を見守る。
「やっちまぇ!」
リーダーの掛け声と共に盗賊達が一斉に襲い掛かってきた。
ナヴァルの目論見通り、1度に掛かって来られるのは4人が限界、それも隣の者が邪魔で動きが制限され、思うように攻撃が出来ない。
7人ほどを切り裂いた時だった。突然ナヴァルの足が縺れバランスを崩してしまう。
ナヴァルは自身が酒を飲んでいることを失念していた。まだ飲み始めで少量しか飲んでいなかった事で、あまり酔いを感じていなかったのが災いしたのだ。
元々、あまり酒に強い体質ではないナヴァル。激しく動いた事により酔いが回り、頭ははっきりしていたが足の力が一瞬抜け、ナヴァルの動きを阻害してしまった。
その一瞬出来た隙が命取りになり、盗賊達のショートソードやダガーがナヴァルの胸や腹を貫いた。
「ぐはっ!」
「「「ナヴァルさん!」」」
ナヴァルは血を吐き、門の上からその様子を見ていた村の若い男数人が声をあげる。
「クソがぁ! こんな所で死んでられねぇんだ! ルーナが、ルーナが待ってんだ!」
血を吐きながらも、剣が刺さったまま斧を振り回し盗賊を倒していくナヴァル。見ていた村人達も門から飛び降りナヴァルに加勢した。
体を貫かれても怯まず仲間を次々と切り裂くナヴァルの姿に恐怖した盗賊達。残り数人になった所で慌てて逃げ出した。
「門を開けろ! 早くナヴァルさんの治療を!」
門の外から若い村人が呼び掛け、大急ぎで邪魔な木箱や土嚢が取り除かれる。
「お父さん!」
門が開くと同時にルーナが飛び出し体にショートソードやダガーが突き刺さったまま、膝をつくナヴァルに駆け寄った。
「お父さん! お父さん!」
「なーに、心配すん……な、大丈夫だ。こんなん、かすり傷だ……唾つけときゃ治る」
泣き叫ぶルーナにナヴァルは笑顔を見せて強がりを言う。
誰が見ても致命傷だ。ナヴァルもそれは理解していた。しかし、絶対に死なないと、強い意思のみで耐えているのだ。
村の治療士が駆けつけるも、ナヴァルの傷は深く、もう手遅れだった。
何も出来ずただ立ち竦むだけだった治療士。
ナヴァルはルーナの頭を撫で「心配すんな大丈夫だ」と、何度も呟きながら次第に意識を失い事切れた。
母の命日に父までも失ったルーナ。
翌日、ナヴァルを始めとする。襲撃の被害者数人の葬儀が行われた。
ルーナの目に光はなく、涙も渇れ果て、ただ冷たく変わり果てた父の手を握っていた。
村の教会の神父の聖光の術でナヴァル達が送られ、葬儀が終わりを向かえた時だった。
「お前の一家が呪われてる所為だ……」
父を失った1人の少年が呟きルーナを睨んでいた。
「お前の一家が呪われてる所為で俺の父ちゃんが死んだんだ!」
少年は涙を流しながらルーナに詰め寄った。
「馬鹿な事を言うなボーデ、ナヴァルさんが居たからこそこれだけの被害ですんだんだぞ?」
村長は2人の間に割って入りボーデを諌める。
「だって……母ちゃんが言ってたんだ。母親の命日に父親が死ぬなんて呪われてる所為だって……きっとこいつも同じ日に誰かを巻き込んで死ぬんだって……」
ボーデは泣きながら村長に説明した。
この言葉を聞いた村長はボーデの母に厳しい視線を送る。するとボーデの母はうつむき目をそらした。
ボーデの母も本当は解っている。だが悲しみあまり、感情のやり場をそういった妄想に向け、口にしてしまっただけだったのだ。しかし、子供は純粋だ。純粋が故に、親の口から漏れたその言葉を盲目的に信じてしまったのだ。
村長はその場に居た全員に、ナヴァルが村に来てからどれだけ多くの外敵から村を守ってきたのか、どれ程の命が救われたのかを説明した。
多くの者は言われずとも理解しているし、殆どの者は命を掛けて村を守ってくれたナヴァルに感謝をしていた。
村長の言葉でその場は解散した。
━━ナヴァルが死んで3日が過ぎた。ルーナはあの日以来家から一歩も出ずルーニイの首飾りとナヴァルの斧を抱いたまま、ただじっとしていた。
「呪い子は出て行け!」
そんなルーナの家には毎日の様に石が投げ込まれる。
あの日の村長の話しも虚しく。1度、負の感情に囚われた子供の考えは変わらなかったのだ。
最初にルーナに詰め寄った子供ボーデから始まり、日毎に石を投げ込む子供が増えていく。
その度に大人が叱責するのだが、全く効果がない。
そんなルーナの下を毎日のように村長が食事を持って訪ね「皆ナヴァルやお前達には感謝しているんだ。バカないたずらもその内に止む、今は耐えてくれすまない」と、ルーナに声を掛ける。
しかし、ルーナにはその言葉は届かなかった。石を投げ込まれようと、村長に優しく声を掛けられようと今はどうでもよかった。
だだ毎日、両親の事だけを思いだし悲しみに暮れていた。
ルーナの飲まず食わずが5日目に入り、とうとうルーナの体力にも限界が近付いた時、薄れ行く意識の中で、ルーナの耳にふと、懐かしい声が聞こえてきた。
『ルーナ……元気に逞しく育ってね……』
3年前にこの世を去った母の声だった……
「……お母……さん? ……お母さん!」
聞こえる筈もないその声にルーナは意識を取り戻し、力の入らない体を無理やり起こし立ち上がり叫んだ。
辺りをキョロキョロと見回すが母の姿はない。しかし、ルーナは思い出した。楽しかったあの頃を、体が辛くともいつも笑顔で優しかった母の姿を、辛い時にも心配すんな大丈夫と笑いかけてくれた強い父の姿を、元気に逞しく育ってほしいと言った両親の言葉を。ルーナは前を向く。
両親の想いを無にしてはいけない、生きなければいけない。
父に教わった生きる術を思い出す。
母に教わった挫けない心を思い出す。
ルーナは正気を取り戻し、弱った体を戻すべく行動に移った。
飲ます食わずで弱った内臓に負担をかけないように湯を沸かし、ぬるま湯をゆっくり染み込ませるように飲み、体を拭き、柔らかく煮込んだご飯を食べた。
それから5日を掛けて少しずつ体力を取り戻す。
その間にも石を投げ込まれたがルーナは気にもしない、村長も様子を見に来たが「大丈夫、心配しないで」と、父が口癖の様に繰り返していた言葉を村長に言った。
まだ笑顔を取り戻すことは出来ないが、ルーナは元の元気な体を取り戻した。
そして、生きる気力を取り戻して5日目の夜、食卓に村長への感謝の手紙を残し、ルーナは村を出た。
持てるだけの荷物をマジックバッグに詰め込み。母の首飾りを着け、父の斧を背負い。生前、母が元気になったら行こうと皆で話していた色々な町や場所を目指して━━
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ルーナさんの話が終わった時、僕は溢れる涙を抑えきれず。ぎゅっと、ルーナを抱き締めた。
掛けられる言葉は思い付かなかった。涙と鼻水で酷い顔をしていたと思う。でもただ今はルーナを抱き締めてあげたかった。
「心配しない…でアステル。もう昔の事、大丈夫だ…よ」
「ルーナちゃん、ずっとここに居て良いんだからね。私達はここに居るから」
「…ん、ありがと…う。アステルや皆と出会えて私は幸…せ」
「ルーナ、僕はずっと生きて一緒に居るから」
僕が涙をぬぐい、力強くそう口にすると━━
「お主がそれを言うか……いつも無茶ばかりして真っ先に死にそうなのじゃが?」
━━エリーが呆れたように鋭い突っ込みを入れてきた。
「うっ! それはぁ……以後気を付けます」
僕はそれしか言えなかった。
「大丈夫だ…よ。アステルは私が守る…から」
しかも、ルーナに僕の台詞を取られてしまう。
「しかし、ここまで聞くとルーナが旅に出てから我らと出会うまでの話が気になるのう」
「エリー、あんまり詮索しちゃダメだよ。人には話したくない事もあるんだから」
「…ん、問題ない…よ。」
「おおっ、ならば話してくれるかのう?」
「…ん」
この話、目標にしているほのぼのコメディ冒険ファンタジーからは、だいぶ離れた話しになりましたが、ルーナの過去話はずっと書きたかった話なので、書けて良かったと思ってます。
暫くルーナの物語を書く予定なので、気長にお付き合い下さい。




