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フリーター探偵と貴族の招待状  作者: ほてぃねこ
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第五話「探偵と警察の推理」後編

あゆみ美麗みれいさんの聴取が終わった為、先輩と俺は残りの5人を順番に

呼び出し聴取を始める。

まず、始めに話やすそうな『ジャン・フォート』から呼び出した。

と言っても、先輩は絞めやすそうな男から潰すとかどうとか言ってるから

それが本音だろう……相変わらず怖い。


----事情聴取:ジャン・フォート----


「では、さっそく聴取を始めます。事件が起きる前まであなたは

 何をされていましたか?」


「俺はコレクのじいさんと庭で酒を飲んで、喧嘩して、

 ハリーの旦那の奥さんと会話していたぜ」


「先輩、その場所には俺も居ましたので確かです」


「なるほど。では、さらにその前は何をされていましたか?」


「さらにその前って言われたら……そうだな、自己紹介が終わってからは、

 ハリーの旦那と奥さん、コレクのじいさんの4人で旦那の作品を見に

 『離れの倉庫』に行ってたな」


「ほう……それは大体何時頃か覚えてますか?」


「そうだな……16時くらいだったかな。その後は庭園の写真を撮ったりして

 テーブル席に戻ってコレクのじいさんと居たな」


「わかりました。聴取は以上です。ありがとうございました」


ジャン・フォートの聴取から俺たちはハリーさんが殺される前まで

完成した氷の作品を見に『離れの倉庫』に行っている事が新たにわかった。

どうやら、鑑識に『離れの倉庫』も念のため調べてもらう必要がありそうだ。

先輩は遺体を確認中の鑑識達に『離れの倉庫』も調べるよう手配をする。


「となると次は、『コレク・ショーン』の聴取が妥当か。

 南野なみの、彼を呼び出してくれ」


----事情聴取:コレク・ショーン----


「では、聴取を始めます。事件が起きる前まであなたは何をされていましたか?」


「私はジャン・フォートと庭で酒を飲んでおりました。

 その後、些細な事で喧嘩してしまいましてね。

 エレナ様が間に入って頂き事が収まったのですが、申し訳なく思っております」


「それは後でエレナさんに謝って下さい。

 それより、その時よりさらに前は何をされていましたか?」


「その時よりさらに前と言われましても……そうですね、自己紹介が終わった後、

 ハリー様とエレナ様、ジャン・フォートの4人でハリー様の作品を拝見しに

 離れの倉庫に行っておりました」


やはり、「ジャン・フォート」と同じ証言しているから嘘ではないようだな……

先輩と俺はお互い目を合わし頷いた。さらに必要なのはその後の行動だろう。


「離れの倉庫に行った後、あなたは何処で何をしていましたか?

 出来れば大体の時間を教えて頂きたい」


「ハリー様の『書斎室』で私の美術館に作品を展示させて頂く

 お話をしておりました。時間は……17時を過ぎていたと思いますが」


「その時、書斎室では二人だけで会話されていたということですね?」


「仰る通りです。その後は始めにお話しした通り、

 書斎室を出て庭のテーブル席に向かい酒を飲んでおりました」


「わかりました。聴取は以上です。ありがとうございました」


コレク・ショーンの聴取から『書斎室』で二人で会話をしていることが分かった。

だが、これだけでは彼がハリーを殺害できる場面に居たとは考えられなかった。

まぁ、後の女性二人と『グラース』からは17時以降の行動を中心に聞くとこまでは

絞れたから、聴取はやり易くなっただろう。


「次は今までの聴取の中で名前が出てこなかった『グラース』が気になる。

 彼を呼んできてくれ」


----事情聴取:グラース----


「では、聴取を始めます。さっそく要点だけ絞り聞きますが、

 17時から事件が起きるまでの間、あなたは何処で何をされていましたか?」


「私は17時には厨房で皆様に配る紅茶を淹れておりました。

 その場には『ペティー』様も居ましたので、紅茶を淹れるお手伝いをして

 頂きました」


「ほう、『ペティー』さんがその場に居たのですか……

 その後はどうされましたか?」


「淹れた紅茶を配るため皆様の居る庭のテーブル席に向かいました。

 その後は南野なみの様とお話をしておりましたよ」


「先輩、彼の証言は確かです。あの時頂いた紅茶は美味しかったですからね」


「……事件を解決したら1杯下さい、その時間は大体何時頃か覚えていますか?」


「17時30分頃だったと思います、その時はあゆみ様が泥酔状態、

 ジャン様とコレク様の喧嘩が始まったりと大変でしたので」


「ですね……エレナさんが来てくれなかったら、あゆみをホテルに引きずりながら

 帰るところでしたよ」


「恥知らずの後輩め……大体内容はわかりました。聴取は以上です。

 ありがとうございました」


グラースの聴取から17時頃『厨房』で『ペティー』と居たことがわかった。

彼の証言を確証させるためにも、次は彼女を聴取する必要がでてきた。


「よし、次は彼女だ。『ペティー』を呼んできてくれ」


----事情聴取:ペティー----


「では、聴取を始めます。さっそく要点だけ絞り聞きますが、

 17時から事件が起きるまでの間、あなたは何処で何をされていましたか?」


「わ、わたしは17時くらいは厨房で『グラース』さんと紅茶を淹れていました」


やはり、予想通りの回答が返ってきたな。

この時点でグラースさんの証言は確証した。


「それはグラースさんから聞いていましたので認識しています。

 その後はどうされましたか?」


「その後は……ハリー様に来月の展覧会のポスターデザイン案の話をするために

 『書斎室』に向かいました。けど……声をかけても返事がなかったので

 『寝室』に声をかけたら」


『すまない。今、大事な『作品の展示』の話をしているんだ、

 後にしてくれないか?』


「……と言われたので、私はまた後で寝室に伺おうと思いその場から離れて庭園で

 スケッチをしていました」


「本当ですか!?それは何時頃か覚えていますか?」


「えっと……17時30分頃だったと思います……

 まさか、その後に寝室に伺ったら、こ、殺されてしまうなんて……」


「これ以上の聴取は現場を再び思い出させてしまうな……わかりました。

 聴取はここまでにしましょう」


「ただ、気になることがありまして……」


「何でしょうか?些細な事でも今はお話をお聞きしたいところなので

 お願いはしますが」


「声が……どこか機械を通したような声でした。

 変声機を使った様な声ではなくて……ハリー様の声であって機械の様な

 感じでした」


「な、成程……わかりました。聴取は以上にします。ありがとうございます」


ペティーさんの精神状態を考えると殺された現場を思い出すような聴取を

避けなければならないところだ。


被害者ハリーの声であって機械の様な声か……どういうことなんだ」


先輩が悩むのも無理もない内容だよな。

被害者の声であって機械の様な感じに聞こえるか……


もし、彼女の証言が本当だとしたら、彼女に言った被害者ハリーの証言に

時間のズレ、矛盾(矛盾)があることがわかる。

そして、被害者ハリーの声であって機械の様な声、そんな変な現象を起こさせる

原因となる事象に一つだけ俺は閃いた。

恐らく彼女が感じたのは『これ』だろう、そう考えると彼女の証言を嘘だとは

思えなくなった。


「わかりました!先輩、それは……録音した声では!?」


「そういうことか!ならば、被害者ハリーの証言。いや、『録音音声』の矛盾が

 説明できる」


この唯一の矛盾が犯人を特定する手掛かりになればいいのだが。


最後の聴取はエレナさんのみになった。

後は彼女からどこまで聞き出すことができるかだな。


「これで最後の聴取だな。『エレナ』を呼んできてくれ」


----事情聴取:エレナ・ローラン----


「では、聴取を始めます。さっそく要点だけ絞り聞きますが、

 17時から事件が起きるまでの間、あなたは何処で何をされていましたか?」


「私は夫とコレクさんが『作品の展示』の話をすると聞いていたので、

 その場から席を外しあゆみちゃんに会いに庭園のテーブル席に向かったわね」


「そうですか、その後はあゆみを横で介抱して頂いていたのですね?」


「そうです。あゆみちゃんを『寝室』まで連れて行って、また庭園のテーブル席に

 戻りましたわ」


「それは何時頃か覚えていますか?」


「そうねぇ……『寝室』には17時30分くらいでしたわね。

 あゆみちゃんを寝かせて席に戻った頃は18時くらいかしら」


17時30分頃ということは、ペティーさんの証言と重なる時間帯だな。

先輩はもう少し踏み込んで質問をする。


あゆみを寝室に連れていった時、部屋には誰かいませんでしたか?」


「部屋にはハリーがおりましたわ。展示会の書類をまとめているようでしたので、

 ついでにあゆみちゃんを見守ってもらうようお願いしていたの」


「そうですか。最後に、18時から事件が起きる19時頃まではずっとテーブル席に居たということですね?」


「ええ、そうですわ。ジャンさんにコレクさん、グラースも傍に居たので

 お聞きくださいな」


「その点は既に聞いていましたので、確認だけさせて頂きました。

 ありがとうございました。聴取は以上になります」


これで全員の聴取が終わった。後は特に聴取から出てきた

『離れの倉庫』、『録音音声』、犯人を特定をする為の『証拠』、『殺害方法』の

調査と推理が残っているな。

丁度そのタイミングに鑑識から遺体と『離れの倉庫』の調査結果がくるのだった。



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