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憧れの異世界で冒険者になる。  作者: autumn
第1章 厄災まみれの転生者
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第2話 初戦闘

時雨(しぐれ)VSゴブリン(3体)

心臓の鼓動が激しくなってくるのがわかった。手にもジワリと汗が滲んできていた。その汗をズボンで拭くが拭いても直ぐに滲んできた。


「俺は・・・緊張している。殺らなきゃ殺られるかもしれない・・・できるのか」


生まれてから今まで生き物を殺したことがなかった。そんな平和な国で育ってきた時雨(しぐれ)に生き物を殺すことができるのかは疑問であった。

しかし、相手は待ってはくれなかった。


「ぎゃぎゃぎゃ!」


「ぐぎゃぎゃぎゃ!」


「ぐぐぐぐ!」


奴らは時雨(しぐれ)を視界に捉えると武器を構えた。その表情はニタニタと興奮して擬音を発する奴もいれば、顔を強ばらせ威嚇している奴もいた。


「くそっ!もう来たのか」


時雨(しぐれ)は悪態をつき、覚悟を決め戦うことにした。骨を剣道で使う竹刀に見立て構えた。時雨(しぐれ)は生き物を殺したことはないが、小学校から中学校まで剣道部に所属していたので構えだけは何とかなった。


「少し短いが何とかなるかな・・・あとは神様の武神(小)の加護がどれくらい役に立つのか」


「ぐぎゃー!」


1体のゴブリンが構えたと同時に折れた剣で襲いかかってきた。

咄嗟の事に反応が少し遅れてしまったが、何とか避けることができた。


「危なっ!!お返しだ」


そう言って骨を振りかぶりゴブリンの脳天へ降り下ろした。その降り下ろしは鋭く、ゴブリンの額辺りまで引き裂くこととなり1体のゴブリンは絶命した。


「まじかよ。これが武神(小)の効果なのか」


「ぎゃぎゃぎゃ!?」


「ぐががー!!」


1体のゴブリンが絶命したことに他の2体は驚き、憤りを感じさせる擬音を発していた。

しかし、2体は知能が高いのかはわからないが無闇に襲って来ようとはせずに武器を構えたまま動こうとはしなかった。


「来ないのなら・・・こっちなら行くぞ」


時雨(しぐれ)は1体を倒した勢いに任せて他の2体を倒そうと駆け出した。しかし、そう思うようにもいかずナイフを持ったゴブリンが一歩後ろに下がり反撃に出ようとしていた。勢いのまま駆け出した時雨(しぐれ)はそれに構わず、いまだに動こうとしないゴブリン目掛けて骨をつきだした。


「これでどうだ!」


狙った一撃では無かったが、ゴブリンの喉元に当たり紫色の液体を吐血しながら後ろへ吹き飛んでいった。


「やったか・・・くっ!!」


2体目を倒した事で油断し、一歩後ろに下がっていたゴブリンのナイフでの一撃を腕に食らってしまった。


「ぐぎゃぎゃぎゃぎゃ」


「このヤロウ!!」


一撃を食らわせることができたゴブリンはニタァっと笑って喜んでいた。その姿に苛立ちを覚えた時雨(しぐれ)は骨を水平に横へ振り抜いた。


「くたばりやがれー!!!!」


「ぐぎっ・・・!!」


そう言いながら振り抜いた一撃はゴブリンの頬に当たり、首が変な方向を向いたまま真横に吹き飛んだ。


「はぁ、はぁ、はぁ・・・くそっ」


切られた腕がズキズキとして冷や汗が流れていた。そのままにもできないので簡単な処置をすることにしたが消毒も包帯も何もない状態でどうやって傷口を塞ごうかと考え、仕方がなく着ている服を裂いて巻くことにした。


「とりあえずこれでいいか。あとは街でも探してちゃんと手当てしよう。しかし、何とかなったな・・・骨にヒビが入ってるし、これはもう使えないな」


先程の一撃で武器として使っていた骨にはヒビが入っていた。この洞窟から出るにしても武器がないのは不安でしかなかったのでゴブリンが使っていた武器を拝借しようと考えた。しかし、使える武器としても錆びているナイフしか見当たらなかった。


「無いよりは・・・いいだろ。他には・・・討伐部位とかあるのか?何にしても金はいるだろうし・・・小説を参考にするとなると、この牙が討伐部位とかになるのか?それとも魔石?」


そんな風に考えながら3体のゴブリンを見ると最後に倒したゴブリンは1本牙が折れていた。そう考えると他2体から折れていない牙を取っていくしかなかった。あとは魔石があるとすればだがゴブリンの心臓があると思われる部分を裂かなければなかった。


「・・・おぇ。これはキツいな・・・」


錆びたナイフをゴブリンの心臓付近に突き刺し、縦に切り裂いた。その部分から紫色の液体が溢れ出てなんとも言えない臭いが漂った。

しかし、心臓付近には魔石らしき物は見当たらなかった。


「魔石とかはないのか?それにしても臭いがキツいな。何度もこの臭いは嗅ぎたくないな」


魔石を探すのは1体だけにし、牙を抜く作業へと切り替えた。だが、牙は簡単には抜けてはくれなかったが何とかナイフを使い5本の牙を抜くことができた。


「やっと終わった・・・あぁー安心したら腹が減ってきたな。街を探しながら食べ物を探すか。それに傷も手当てしなきゃな」


初めての戦闘もケガはしたものの何とか終わることができた。そして、今後の方針も決り洞窟から出ようと考えていた。


「そう言えばステータス確認出来るとか言ってたな。念じればいいのか?」


やはり、このステータス確認も小説で学んだ事を参考に念じてみることにした。それで駄目であれば今度は口に出して唱えてみようと考えるのであった。


『ステータス オープン』


名前:時田 時雨

種族:人族

性別:♂

年齢:30

職業:


[スキル]

武神(小):戦闘時に武器の扱いが得意になる

鑑定(小):レアリティの低い物を鑑定できる


ステータスと念じると簡単ではあるが自分の状態を確認することができた。次に鑑定を試してみる事にした。手元に手に入れた錆びたナイフを持ち鑑定と念じてみた。


[錆びたナイフ]

レア度:D

※手入れされず使われた錆びた解体用のナイフ


これもまた簡単な内容ではあるが鑑定することができた。これで確認することは大体が終わったが、まだ試してないもなが1つあった。神様にもらった飲み薬である。


「そう言えば自動翻訳を得れる飲み薬もらったな。今のうちに飲んどくか」


そう言ってズボンのポケットに入れていた飲み薬を出した。見た目は黄色い錠剤の風邪薬にしか見えなかった。それと一緒に1枚の紙が出てきたが見るのを後回しにした。


「本当にこんなんで覚えられるのかね・・・見た目がパブ○ンなんだけど」


半信半疑で飲んでみた。次の瞬間、体が光に包まれ何かを得る感覚があり何か体に違和感を感じた。


「うん?なんかおかしいな」


『ステータス オープン』


名前:時田 時雨

種族:人族

性別:♂

年齢:30→15

職業:


[スキル]

武神(小):戦闘時に武器の扱いが得意になる

鑑定(小):レアリティの低い物を鑑定できる

自動翻訳


「はっ!年齢が若くなった!なんで!もしかしてさっきの紙に何か説明が!?」


『※注意:副作用として年齢の半分若返ります。服用する際はお気をつけください』


見るのを後回しにした紙にはその様な注意書きが書かれていた。若返って悪いことはないが心の準備くらいは欲しかったと思うのであった。


「よし、これで確認すべき事は全部やったな。そろそろ行くか。危なくなったら逃げればいいだろ」


ここでのやることは全て終わったので外に出るために洞窟の入り口へと進んで行った。そして、時雨(しぐれ)は期待と不安を胸に旅立つのであった。









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