第8話:路地裏で
キャラが思いっきりかぶっていたら、教えてください
「ふぅ、勇者王の鈴木さんに感謝だな」
鈴木さんは国を興した時に、きちんと下水などの整備もしたらしい。他国だと道や溝に垂れ流しのところも多いらしい。
「よしっ、サヴァ……トは?」
…………
あの野郎どこに消えた!?いや待てよ。どうせあいつのことだ。そこらに隠れているんだろ?
「おーい、サヴァトー。いい加減出てこいよ」
……
「まじか」
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多分サヴァトは他の屋台に行って、そこからまた屋台に…と、転々としていったんだと思う。
「すみません、ここに赤い髪で青い目をした人を見かけませんでした?」
「ん?あぁ、その人ならあっちの方に言ったよ?屋台を転々としながら」
よしっ、ビンゴ!
「ありがとうございます」
あっちは……西か。いや待てよ?あいつのせいで、酢が探せなかったから、いない時がチャンスじゃないか!?
「すみません、酢って知ってますか?」
「ス?なんだいそれは?新しい食材かい?」
「いえ、すっぱい水みたいなもので料理とかに使うんですが」
「すっぱい水?それって腐ってるだけじゃないのかい?」
……
「ありがとうございました」
そうか、この文明度だとそうなるのか。どうしようかな。
「ユートさーん!ユートさーん!」
ん?あっ、こっちに来る。
「すみません、ユートさんですか?」
「あ、あぁ」
「良かったぁ、見つかりました。あっ、私の名前はルンです!サヴァト様から探せと言われていて。ではついて来てください」
ちっ、またあいつか。まぁいいや。
「うん、わかったよ」
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『ルン?視点』
ちょろいちょろい。こんなガキが勇者とか。しかもどんだけ世間知らずなのよ。
まぁ、本当じゃなくても顔は整っているし、黒髪黒目は珍しいからね。大丈夫でしょう。
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『優人視点』
なんだ?どんどん路地裏に入っていくけど、こんなところにいるのか?
「はい!着きました」
えっ?
ルンさんはそう言うと門番的な人に話しかけた。
「連れてきましたよ。ねぇ、あの人に合わせてください」
「無理だ。ボスは今忙しい」
「えー、しょうがないなぁ。じゃあもういいね」
「だから無理だと言っている」
「よし、じゃあ行こっか」
えっ?無理でしょ?
「通って良いぞ」
えー、意味わかんない。取り敢えずついてくか。
建物に入って、二階のある部屋の前で止まった。
「はい、開けて?ここにいるはずだから」
ドアを開けると……
「えっ?」
そこにはムキムキのハゲと、ふさふさの細身の男がいた。
「へへっ、こいつか?」
「うん。この人だよ」
「えっ?ぐはっ」
後ろを向くと、ルンさんに蹴られていた。
「あっ、はっはっは。勇者ってのも馬鹿ねぇ」
意味がわからない。状況が呑み込めない。
「あんたは、変態貴族に男娼として買われるんだよ」
「なっ!?ど、どうして!?」
「はぁっ?私達が生きるために決まってんじゃん。いやぁ、儲かったわぁ。広場で時期公爵様が勇者とか漏らしてくれて。勇者だったら他国に、勇者じゃなかったら顔もまぁまぁで黒髪黒目だから高く売れるんだよ」
あいつのせいかぁぁぁ!
「というわけで血を1滴くださいな?」
「くっ」
どうする?まだ1VS1しか模擬戦してないけど勝てるか?
「ふふっ、じゃあ貰うね?」
そう言いながら、ナイフで切りかかってきたので咄嗟に下がった。だが、出口と窓を塞がれてしまった。
「もう、避けないでよ。サン、シタ、捕まえな」
「へっへっへ、悪く思うなよ、勇者の兄ちゃん」
戦うか。俺は近寄ってきたハゲに殴りかかっていった。
そしてその間を何かが転がっていった。
佐藤優人:17歳
異世界の勇者
適正属性:火、水、風、土、聖、時空、無
得意属性:四元素
苦手属性:時空、無
黒髪黒目の日本には、ありふれた学生。幼馴染みと話している時に召喚された。
この世界をゲームやラノベのように思って生きている。