第6話:勇者と護衛、城下町へ抜け出す
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『優人視点』
俺は今、あのクソ野郎、サヴァトと一緒に城下町を巡っている。
「おい、勇…ト、次はあの食べ物だ」
「わかったから待ってくれ。もうヘトヘトだ」
俺達はあさから城下町をね服やアクセサリーや魔法具、珍しい食べ物を売っている屋台などを巡っている。俺の最初の目的は全然違ったんだけど。
何故城下町を巡ることになったかというと……
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『城内食堂にて』
この世界にはマヨネーズとかソースが出てこなかったからまずはシルヴィアの胃袋を掴もうと思う。
「それで勇者様、このような場所に何の御用ですか?」
この方は宮廷料理人のヘイド・テイライクさんで、今回俺の面倒を見てくれる人だ。
爵位は子爵で、先祖がその類まれなる料理の才で、宮廷料理人になって名誉男爵を貰って、そのあとも代々続いて何人も宮廷料理人を輩出して子爵に上がったそうだ。
「それじゃあヘイドさん、食用の油と卵と酢を持ってきてください」
「酢ってなんですか?」
「えっ?」
酢って、酢だよね?酢としか言いようが無いでしょ。
「酢っていうのは、すっぱい水みたいな液で料理とかに使う…」
あれ?あれって材料、何だっけ?
「すっぱい液体?そんなものは王宮では使用してませんよ?」
えっ?酢って無いの?
「ちょっと待ってて!街に行って探してくるよ」
そうと決まればとっとと行くか!
「えっ?勇者様って城下町に行けたっけ?」
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『城内文官執務室前廊下にて』
「はぁ〜」
どうしよう、こんなことは簡単に想像できたのに。
自信満々に探してくるって言った割には迷うって無いわ〜。
メイドさんも執事も見当たらないし、もう本当にどうし…
『ガンッ』
「ギャンッ!?」
痛ってぇ〜。ドア?ドアが思いっきり開いて当たったのか!?
「じゃあよろしく頼む。むっ?おい勇者、そんなところに座って何してるんだ?」
「お」
「お?」
「お前のせいだボケェー!お前ふざけんなよ!てめえがいきなりドアを開くから当たったんだよ!鼻と体と右足に!」
「だからそんなことはどうでもいいから、ここでなにをしているって聞いてるんだ」
そんなことって!酷すぎだろ!
「まず謝れよ!常識だろ?」
「何を言っている?ここはここに用がある奴か、そういう奴の使いで一緒に来る従者しかいないぞ?用もない奴がいたらそいつは他国のスパイか、売国奴だ」
だからメイドさんとかを見かけないのか!
「で、お前は何をしている?」
「お、俺は…み…迷…」
「ふっ、くっ、くくくっ。こんなところで笑わせてくれるな!」
笑われるから言いたくなかったのに。それにどんだけ耳良いんだよ。
「城下町に行きたいんだけど、どうやって行くんだ?」
「ん?俺も抜け出そうとしていたところだ。ちょうどいい、ついて来い」
えっ?一緒に行くの決定なの?
「おっとその前に、キュア」
えっ?
「よしっ、では行こうか」
「ま、待て!」
「むっ?何だ」
「詠唱はどうした!?」
「詠唱?メルナに教えて貰っただろ」
「いや、教えて貰ってない!」
メルナさん詠唱のことは全然触れてくれなかったけど!?
「ふむ、では簡単に説明しよう。詠唱短縮や詠唱破棄をすると、消費魔力が上がり、威力や効果が下がるが戦闘中の前衛は、ほぼこれだ」
えっ!?じゃあ、あんな中二の恥ずかしいこと言わなくて良かったの!?
「魔法に対して才能があれば威力が下がらないが魔法具を使い始めた奴は威力や効果がめちゃくちゃ下がるのは当たり前だが、発動しないこともある」
えっ?じゃあ今の俺はまだ羞恥心と戦わないといけないのか。
「もういいな、では行くぞ」
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『噂のメルナ・アンマリド伯爵視点』
「クシュンッ」
「風邪ですか?」
「いえ、未来の王子さまが噂でもしているんでしょう?」
「そ、そうですか」
はぁ、この侍女既婚者か。未来の王子さまが私を噂しているはずです!絶対に私の王子さまは、いるはずです!
メルナ・アンマリド:20歳
アンマリド伯爵家:現当主
適正属性:火、水、風、土、無
得意属性:水、風、土
苦手属性:火
紺髪青目の美女。母親は生まれてすぐに亡くなり、父親に溺愛されてきた。その影響で行き遅れ、父も死んでしまったので当主に。
意外と王子様願望が強い。さらに、行き遅r……ギャァァァ!