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喪失者VS神

胸糞注意!


今回の描写はエグいぞ!

食事前とか食事中とか食後とかに見ちゃダメだぞ!

「……何しに来たの」


 巨大なライオンに見つめられ、今にも食べられるんじゃないかと恐怖に震えながら、私は言葉を発する。

 このライオンと戦うことになったら、私は死ぬ。もし即死が発動して勝てたとしても、次は神との連戦になって死ぬ。


 なら、私ができるのは戦わないように対話することだけだ……


「ん? 手紙に書いてあったでしょ、遊びに来たんだよ」

「……そのライオンが、書いてた強い魔物?」


 まずは第一段階の、対話をすることに成功。話しかけた瞬間に『こんにちは、死ね!』ってされることを心配したけれど、そんなことはなさそうだ。


「これはペット。君とじゃれたいみたいだから話が終わったら遊んであげてね」

「──ッ」


 そのじゃれあいって、私は生きて帰れるのかな。

 顔に浮かんだ恐怖を見てとったのか、のっぺらぼうの神が肩を震わせて笑い始めた。


 先手をとるべき……?

 戦うことが避けられないのなら、即死にかけてグングニルを──


「おっと、マシューすてい。恵子ちゃんもまだ待ってよーお話しようよー」


 左手に持った槍を、たった数ミリ動かして、準備しようとした。たったそれだけの、注視してても気づかないような動作に反応され、前足で踏み潰されかけた。

 神が話したいという気まぐれを発動させてくれたからマシューと呼ばれたライオンは攻撃をやめた。


 ……先手はどうやっても取れない。つまり良くて引き分けか。分が相当悪い。


「あとマシュー、恵子ちゃんはグングニル・レプリカって必中、確率即死の攻撃を持ってるから、攻撃されかけたら今みたいに投げられる前に殺すんだよ」

「バウッ!」


 犬かお前は。

 というかなんでスキル名とその効果がバレてんの……!? 対策までバッチリとかどうすればいいのこれ。


「なんで、って顔してるね。そりゃ今まで全部見てきたからだよ。ボクが一番乗りしたのは今までの賭けを終えて持ち金が一番多かったから、そのご褒美なんだよ」

「……賭け?」

「そう、賭け。ギャンブルでさぁ、地球から送り込んだ探索者が何レベルで死ぬかって賭け。神様が50人いて、一人一体を選んで連れてくるんだよ」


 探索者なんて呼んでるけど、それじゃ本当にただの実験体だ……。

 私は、コイツらが賭けをしたいからここに連れてこられたの……?


「ボクが連れてきたのは恵子ちゃんが殺した帝くんなんだけどねぇ、いやぁ、レベル15で死ぬと予想してたんだけどそこまで行かずに同郷に殺されるとは思わなかったよあっはっは!」

「……なんで、笑えるの」

「面白そうだから連れてきたら、本当に面白い死に方をしたから?」


 頭に血が上る。勝ち目など1%もないとわかっているけれど、どうやってコイツを殺すかを考えている。

 どうやったらコイツの息の根をとめることができるだろうか。


 手札は2つ。

 グングニル・レプリカと自爆のみ。


「おっ、キレたね? いいよいいよ! もっとキレなよ! 恵子ちゃんは怒ると低い確率を引き当てるっぽいからねぇ、是非とも間近で見てみたい!」

「……貴方が死ぬ前に聞いとくわ。私をこの世界に連れてきたのは誰?」

「二十七人目、ファンティネ。彼女は恵子ちゃんに多大な期待をしてるみたいだったよ?」


 ファンティネって女神も絶対殺す。私に期待しているのなら、あのまま地球にいさせてくれればよかったのに。


 槍を右手に持ち変える。マシューは動かない。


 槍を引き、投擲の構え。マシューは、動かない。


「恵子ちゃんが使おうとしているグングニル・レプリカは必中だけれど、即死確率はたった1%。そしてボクの即死耐性は90%。つまりきみは0.1%に全てを賭けているんだね?」

「黙れ。死ね」

「ふぅむ。賭けの内容を明文化しようじゃないか! 恵子ちゃんが0.1%の即死を発動させられたらマシュー含む他の神々の束縛から解放しよう。しかしその一投で即死が発動しなければ、死よりも厳しい罰ゲームを受けてもらう」

「勝手に決めないで」

「なら恵子ちゃんが投擲する前にマシューに殺させる。ここでボクを殺したいなら、受けるしかないと思うんだけどなー?」


 マシューは重心を落とし、いつでも飛びかかれるように構えた。

 それと同時に、私の背後に控えていた電気で形成された矢が消えた。

 もし神の発言を最後まで待たずに投擲しようとしたら、投げる前に殺されていた。つまりここまでしてようやく、殺す機会を与えられた。


「一投じゃないわ、マシューから先に殺すから二投よ」

「──ぷ。あはははは! さすが恵子ちゃんだ! 即死を2連続で発動させるって言うのかい!?」


 もううんざりなんだ。神の決めたルールで、神の良いように扱われるのは。

 どれだけ厳しいのかはわかってる。けれど、引き際なんてとっくに通り越してる以上、私にできるのは倍プッシュだけだ。


 根拠なんてなくても、信じるしかない。私なら、確実にコイツらを殺せる。


「ならボクの即死耐性を外そう! ……む? なるほどそういうことか、マシューを殺せたならボクにかかってる即死を外そう。危うく罠に引っ掛かるところだった」


 変に勘のいい奴め。

 だけどそれは警戒しなくていい。自分の決めたルールくらい、きちんと守る。


「さーて、恵子ちゃんにどんな罰ゲームをさせようかなぁ。恵子ちゃんは女の子だし、彼氏くんもいたから……そうだなぁ、100人切りでもさせようかな」


「────」


「なーに恐怖してるの? あ、もしかして負ける気? 自分で釣り上げた賭けに今更怖じ気づくとかだっさ~」


「────」


「汚れきった恵子ちゃんを、彼氏くんは受け入れてくれるのかなぁ? 楽しみだなぁ!」



 強く握りすぎたのか、耐久値もなく壊れることのないはずのスピアーが凹んだ。

 コイツら神は、人間のことを玩具としか考えてない。遊んで壊れても捨てる。飽きてきても捨てる。

 ただただ自分のやりたいように、暇を潰せるようにってことしか考えてない!

 そんなに暇潰ししたいならもう暇を感じないようにしてやる……!


 私に力を寄越せ、ありったけの力でコイツを殺せ!


「グングニル────レプリカァァァァァ!!!!」


 私は、渾身の力を込めて。ありったけの殺意と狂気を込めて、投擲した。









 私の投げた槍はマシューに当たり、確かに黒い靄を噴き出した。










「う~ん、おしい! まさか! まさか2とはねぇ! ここで妖怪1足りないが来るかって感じだよねぇ!! 2の位が00って出たときはまさかと思ったものだけど、残念! 2じゃ即死は発動しないんだな~」


 黒い靄の晴れたその先で、マシューは悠然と立っていた。


 くわえていた私の槍を捨てるようにして返してくる。


 カランカランと、虚しく金属音が響き渡り、後頭部を掴まれた。



「さて、行こうか恵子ちゃん。残り時間は4時間50分。100人と性交するには、時間が足りないから早くしないとね」

「────や……」



「んー?」

「──殺してやる。殺してやる、殺してやる殺してやる殺してやる……ッ」


「むーりむり。君は賭けに負けた、ボクはなーんもズルしてない。約束はきちんと守ろうね~? 『契約魔法』恵子ちゃんの自殺を禁じる」

「自爆しろ! しろォォォ! 殺せ! こいつを殺せ! 殺させろ!」

「ふぅ、危ない危ない。恵子ちゃんは本当に無理だと悟らないと自爆を選ばないよねぇ。その時にはもう遅いっていうのにさ~」


「死ね! 死ねよァ!」



「殺してやる! お前ら絶対殺す! 離せぇぇぇぇぇぇぇ──ッ!」




「いやッ いやああああああ!!!」


サンプル番号27 白鳥 恵子

死因:時間切れ



はい、ゲロ吐きそうな作者です。

あと妖怪1足りないを絶対許さないマンです。


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