喪失者 白鳥 恵子 Lv.1⑦
連続更新ですげえ短いけど!!!!
あ、前話見逃さないように確認してくださいね。
書 き 初 め
森に足を踏み入れて、最初に出会ったのは、スライムだった。金色に光り、金属光沢を持ちながらプルプルと震えるスライムだ。
ぐにょりと形を変え、人型を形作る。私が槍を構えるが、相手は動じない。
そして金色人型スライムが、ぺこりと紳士的にお辞儀をした。──かと思ったら地面に沈んで消えていった。
まるで、この森に来たことを歓迎するような感じでいて、とても不気味だった。
しばらくの間警戒する……右を見る。森だ。左も森だ。
ゴブリンもいなければスライムも見えない。耳を澄ましてみても……葉の擦れる音が響くばかりだ。
「『試練の森』へようこそ……ってこと?」
答えはどこからも返ってこない。森の奥は、光も差さずに真っ暗だ。
森の奥へと誘われる。左右を見てみても変化は一切ない。槍を構えなが慎重に進むが時間だけが過ぎていく。
「グギャア! ギャア!」「ギャアギャア!」
「第一村人発見、なんてね」
声が聞こえてきたのは左奥、しかも複数の声が聞こえてきた。木の陰に身を隠して、ゆっくりと覗く。
ボロボロの鉄剣を持って跳ね回っているのが1体。他にもこん棒を持ったゴブリンは3体手を叩いて笑っている……まあ、つまりゴブリンが4体いる。
勝てるだろうか、レベル1で。残り時間は17分。ここは……ここは、引こう。リスクが高すぎる……。
さらに奥へと進む。挟み撃ちされることを考えて、真っ直ぐではなく少し斜めにそれるように道なき道を進む。
すると、いきなり前に飛び出してきた影が1つ。ゴブリンだ。
がむしゃらに振るわれたのは、ボロボロの鉄剣。こちらも槍で受け止め、柄の部分で押さえつける。
ここにきてやっとこのゴブリンは、私のことを敵と認めたようだった。さらにゴブリンの後ろから影が2つ、そちらはスライムだった。
さきほどと違って3体、しかもゴブリンは1体だけ。これならいける。
先制は私がとった。
相手の剣を払うと、ゴブリンは体を開く。無防備なそこに槍を差し込み、深追いはせずに抜く。そしてから一歩引き、飛びかかるスライムの2連撃を避ける。
予想以上に、ゴブリンは固い。それに、雑魚とはいえ、スライム2体にも気を使わないといけないみたいだ。
一歩攻め、スライムを警戒して左へと一歩。
間合いコントロールが難しい。しかしそんなもの構わないとばかりにゴブリンが突っ込んできて、袈裟斬り。
執事長と比べると随分と遅いその攻撃を、受け止めようとして、スライムのぷよぷよ体当たりで手元が狂う。肩口に剣を受けるが、切られることはなかった。
ズキズキと痛む肩を押さえると、それを隙と見たのかは知らないがスライムが突撃してくる。
「ウザい! 邪魔!」
放った突きがスライムを貫き、その体の八割を消し飛ばす。
すぐに槍を手放しての右アッパー、スライムが上空へと舞い上がり、ボチャンと水溜まりを作った。
「……これでサシだね」
言葉はきっと理解されなかった。けれど逃げる気は無いということを理解してくれたらしい。
お互いに得物を構え──るわけないでしょ。
相手が両手で剣を握り直す間に全力で肉薄、そのまま左ストレートをフェイントに首投げのようにして引き倒す。
右手で槍をクルリ、回しながら顎先を蹴り上げる。がら空きの首を踏み潰す。
それがとどめになったようで、痙攣しながら光の粒になり始める。
脇腹を押さえる。切れてない。斬られてないけれど、引き倒すときにぶっ叩かれてすごく痛む。
反撃されるとは思わなかった……くっそ……。
そして、ゴブリンの死体が消えた。残ったのは、一本の薬だった。
なにこれ?
次話はなるべく早く更新します。
はやくダンジョン攻略に手を出したいぞ!




