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旅人 白鳥 恵子 Lv.17 ????③

/*隠しパラメータに空腹ゲージ、睡眠ゲージの追加*/

/*全体的に魔物のステータス上昇*/

/*敵ステータスは、あくまでめやすとして、敵全てが固定ではない。というように変更*/


/*お詫びの品「呪いのお酒(必中。相手に投げつけると相手の空腹ゲージを0にする)」*/


 実際に安全地帯なのかはわからないし、確かめる方法もない。

 しかたないのでこの部屋にある扉に近づき、書いてある文様を見ることにした。ここにこの部屋のことが書いてあるかもしれないからね。



 火を吐くドラゴンと、剣を持ち果敢に挑む人。


 後光の差す人? 神? に向かって祈る人々。


 たくさんの人が倒れ、その死体? から魂を抜き取る魔女の絵。



 そんな絵が描かれている。そんな文様の中に、日本語ではないのに何故か読める文字も、一行だけ、彫られていた。

『守護者の間』なんて、読み取れる。


「ふぅー……他の場所に出口があるといいんだけど……」


『直感』スキルが出口は守護者の間の先だと訴えてくるけれど黙殺。

 私は都合のいいように物事を解釈する人は嫌いだけど、いまはちょっと現実を見たくないかな。


 守護者の間に入ってから、逃げ出すことが可能なのかはわからないし、もし不可能だった場合、魔力の続く限り即死攻撃をすることになるだろう。

 なら、今のうちに魔力を回復させるべきじゃないかな。


 ポケットから取り出すのは、今まで使って、壊れてしまった矢。

 なにかに使えるかも? と壊れてしまっても回収し、ポケットに突っ込んでおいた。

 その数は十本ぴったし。


 壁によりかかるようにして座り、周りにできるだけ均等になるようにして矢をばら撒く。これで魔物が近づいてきたとき、矢を踏んだら音がするよね。

 ……空中に浮いてる敵? 矢を飛び越える知性のある敵?


 まあ、その時はなるようになるよ。


「魔力が回復したら、ボス戦かな……」


 寝ないように、寝ないように。

 自分に言い聞かせながら、目を瞑り、身体を休める。少しでも魔力が回復してくれますように……







「本気でアホじゃないのかな、自分。ほんとうに安全地帯だったみたいだから、よかったものの」


 小部屋の入り口にリザードマンがいる。そいつは安全地帯の結界に向かって刀を叩きつけていて、ガギンガキンと、結構な騒音が響いている。

 あの音で起きた。


 懐中時計を取り出してみると、11時50分。

 入る前が夜になるところだったから、ちょうど日付の変わる頃。えっと寝てたのは……だいたい4時間かな?

 流石に16時間寝てたってことは無いだろうし。いや、それにしてもこんなところで4時間も寝てたの? ほんとに?

 何回か確認してみるけど、懐中時計は12時を指してる。


 ……残り時間も10時間19分32秒、とおおよそ4時間経過していた。


「はぁ…… 魔力が回復したから良しとしよう……」


 自分の無用心さに呆れながら、立ち上がる。

 槍はポケットにしまってあるけれど、ただのリザードマンなら素手でも倒せる。それに体術の訓練にもなるし。



 ふぅ、と一息。戦闘へと気持ちを切り替える。


 ……安全地帯から出た瞬間、攻撃食らうのは嫌だなぁ。それがダメージにならないとしても。


 ならどうするか。

 安全地帯から攻撃すればいいんじゃない?


 呼吸を整えたら、たったった。私は助走をつけるべく駆け出す。

 リザードマンは小部屋の前で、結界に阻まれて立ち往生していた。それでも、私が向かってくると刀を構えた。


 たったったったっ……たんっ。


 疾走し、スピードが乗った瞬間を見極め、踏み切って跳ぶ。

 地球だととても怖くてできなかったであろう、ドロップキック。

 この世界に来てから、地球とは比べ物にならないほど精密に、身体を動かせるからこそ、思いきって跳べる。



 私の渾身の一撃は────味方のはずの結界に阻まれた。



「もしかして、攻撃全てを通さない? ……いや、悪意とか、敵意とかを阻むのかな」


 足がジンジンと痺れている。それくらいの威力が出るようにやったのだから仕方のないことだけれど、予想外のことに驚いて、受け身も取らずに地面に叩きつけられたのは失敗だった。

 うんでもまあ、そうだよね。安全地帯の中から一方的に攻撃なんて、できるはずもないよね……はは……


 はぁ。


 切り替えよう。

 私は少し不貞腐れながらも歩いて、安全地帯の外に出る。腕を伸ばせば触れられるほどの距離にリザードマンがいて、目の前には刀を振りかぶるリザードマンの首が見える。


 その首に両手を伸ばし、触れる。

 私の手のひらから、赤いオーラみたいなものが立ち込めている。少し不気味に見えるし、いますぐ飛びのくべきなんだろうけれど、私はそのままリザードマンの首を、両手で、絞めた。

 ……手のひらにグッと、ググッと力を込める。

 案外あっけなく首の骨は折れてしまった。うるさい金属音を立てて、刀は地面に落ちた。


 手を離すと、リザードマンはグチャリと音をたてて地面に落ちた。

 けれど、死んだわけではないのだろう。微かにだけれど、まだ動こうと言う意味が見て取れた。


 私はポケットから赤い、三叉槍を取り出すと、リザードマンの胸部へと突き刺した。

 血が溢れ出る光景を見て、気持ち悪く思いながらも、随分と慣れてしまったものだとぼんやりと思う。地球にいた頃は、切り傷を見るだけでも嫌な気持ちになってたんだけどなぁ。


 死体が消えるのを待ちながら干し肉を食べる。


 干し肉は残り一個。早々に街に戻らないと、食料がなくて餓死してしまう。いや、その前に寿命が来るのかもしれない。

 ……けれど、焦りすぎて突撃すると守護者に殺されて死ぬ。


 前にも後にも死が迫ってきているが、その感覚にさえ、慣れてしまった。深呼吸一つで、乱れてもない呼吸を整える。

 さあ、守護者の部屋にでも行ってみようかな。



 ────────────

 現在のレベル17

 残り時間10時間15分59秒

 現在時刻、23時45分

 ────────────



 今まで対して確認もしなかった残り時間をよく見ておく。地下……なのかはわかんないけど、ずっと洞窟の中にいたら時間感覚がなくなっちゃうから、しっかり確認するようにしないと。


 懐中時計をポケットに入れているおかげか、現在時刻まで表示されてるのは嬉しい誤算だね。今度からはこっちで確認しようかな。



「……出れなくなるか、賭けだね」


 もちろん私は『出入り自由』に命を賭けるよ。

 もし賭けに負けても、負けるつもりなんて皆無だしね。


 重い、青銅のような扉を、押す。

 最初こそ動く気配もなかったのだけれど、体に魔力のような何かが流れ込んできたと思ったら、すぐに抜けていき、扉が独りでに開き始めた。


 中は薄暗い。

 三叉槍を構え、クルリと火の粉を舞わせながら、進む。


 無音だ。

 私の鼓動がやけに大きく聞こえ、足音と聞き間違えてしまいそうだ。


 後ろを振り返ってみる。

 肩越しに、扉が閉じないことを、すぐに逃げられることを確認し──眼球のない空洞の目と、目があった。


「ひっ」


 悲鳴をあげるなッ! それより先にやることがあるでしょ! 殺るべき相手がいるでしょ!?


 跳ねそうになる肩を気合いで押さえつける。

 落としかけた槍を持ち直し、切り上げのように振り上げる。

 硬直しかける体を、恐怖する心を、狂気で上塗りして動く。



 コイツを殺せ、それができないならおとなしく死ね、さもなくば殺す。



 流石に、相手もすぐさま反撃されるとは思ってもみなかったのだろう。私の振り上げた石突きは、相手の顔を、顎、頬、目と順になぞるように抉った。

 しかし、視界が黒に染まり──衝撃──続けて視界は赤く染まった。


 何が起きたの……?


 衝撃で吹き飛ばされ、距離が空いたことで全て判明した。

 まず、相手は人型。盾と槍を持っていて、その盾に血がついていることからそれで殴られたのだろうと検討をつける。

 ぬるりとした、気持ち悪い感触を、手で拭う。……やはりというか、なんというか。結構な量の出血だ。

 傷口を押さえ、回復魔法で塞ぐ。応急手当程度しかさせてくれないみたいだけど、ないよりはマシ!


 槍が突き出される。

 自分も良くする、槍のリーチを活かした戦い方。だからこそ、回避に専念すれば、なんとかかわすことができる。


 顔を傾ける最小の動きで回避しようとして、すぐさま地面を転がって大きく回避行動。

 そこまで大きく回避したのに、私の頬を掠めた穂先は、いまだに私を狙っている。


 逆手に持ち、まるで槍投げでもするのかという構えのボスは、穂先を私の視線の高さで固定し、威圧してくる。

 攻撃しようにも盾が全てを防ぐ。

 回避しようにも的確な間合いコントロールにより、反撃が狙えない。

 ジリ貧だ。


「鑑定」


 打開策を探すためにも。少しでも情報を手に入れようと、鑑定を起動し、情報を読み取ったことを知る。

 心が折れかける。

 長々としたステータスを読みとかなくてもこんなの無理だって、倒せないって理解できてしまう。



 ────────────

 種族:武装船団長


 体力:2000/2000

 魔力:400/400


 ────────────



 ……こんなの、かてっこないよね

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