表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/142

旅人 白鳥 恵子 Lv.17 大討伐⑦

キリが良かったので短いですが。

リザードマンが起きるまでの間に、私は弓術の練習をすることにした。もっと上げたいスキルはあるけれど、その大半が魔力を消費してしまうから。

気絶しているリザードマンは、自己再生のスキルで回復しているみたいだ。5まで削った体力がものの数分で30まで回復しているのだから驚きと同時に、そのスキルが欲しくなる。


「あったら、さらに回復薬の必要性が薄くなるね」


息を止めて狙いを定め、ふっ、と息を吐くと同時に矢を放つ。

『無音』の効果で音も立てずに飛んだ矢は、そのまま音も立てずに木に刺さった。狙いはそこそこって感じかな。


あと2射してから、近づいてみる。

狙っていた木には三叉槍を使って傷をつけ、簡易的な的を書いていた。穂先でただ突いただけの、小指の爪よりも小さいまん中と、半径15センチ大の円。

どうやらまん中には当たらなかったけれど、全部円の中に入っていたみたい。次狙う時に邪魔になるから、矢を引き抜いてまた先程の位置まで戻る。

抜いた矢を見てみると、木にぶつかった衝撃か、少し曲がってしまっていた。それも3本の内、2本も。


「魔力は使わないけど、矢が尽きちゃいそう」


ステータスから、ポケットの中身を確認すると、矢は残り49本。さっきの2本は『壊れた矢』としてカウントされていた。……焚き火の燃料として、一応持っておこう。


息を止めて狙う。息を吐きながら放つ。たったそれだけのことが難しい。

カツン、カツン、カツン……と、連続して放った3本は、木には当たったものの、円の中には入っていなかった。

才能のなさに嫌になりながら、戦闘中によくやっていた速射をしてみた。それも結構適当に。


「え、ど真ん中!?」


吸い込まれるように円の真芯に突き刺さった矢を見て、呆然とする…… いや、まぐれかもしれない。もう一度やってみよう。


先程と同じように。矢をつがえるけれど、弦を引いてはいない。ふぅ……と息を吐いた瞬間に弓を構え、狙い、放つ。

やっぱりまぐれ当たりだったのだろうか、矢は木に当たることもなくどこかへ飛んでいった。

2射目……ギリギリ木に当たったけれど、掠めるような形で、実戦ではダメージにもならないだろう。

3射目……思いの外コツが掴めたのか、的に当てることができた。少し右上だったので、気持ち左を狙って4射目。また的に当たった。横へのブレがほぼ調整できたから次は縦へのブレかな?


横はさっきと同じ感じで……縦は気持ち下……ここかな? カツン、と当たった矢は右下だった。

諦めずにもう一射。んー……んー……この辺?

カツン、と当たった矢は見事に中心を捉えていた。イエイッ。



ガッツポーズしていたら、リザードマンが意識を取り戻したのがわかった。私は木に刺さったままの矢を全て回収し……あ、結構使えなくなってる……。

弓も矢も、ポケットに仕舞うと、リザードマンに触れる。結構体力が回復したみたいだけど、一応回復魔法を使っておく。その方が遠慮なく殴れるし。


「ヒール」


塞がりきっていなかった傷口が塞がっていく。リザードマンは怪訝な顔をしながらも、立ち上がった。……全快ってわけでは、なさそう。

先手を譲ったわけではないけれど、リザードマンが突撃してきた。右のジャブを首を傾けて避ける。そのあとの回し蹴りを──違う本命は尻尾!?

上体を反らして避けようとしていたけれど、尻尾が当たってしまう距離だった。これが狙いならよく考えたものだけど、回避6を舐めないでほしい。そのまま背中から倒れるようにして避けきる。

バク転のようにして地面に手を付き、跳ねる。なんとか立ち上がり、再び突撃してくるリザードマンのパンチを避ける。

うーん、回避の練習じゃ、ないはずなんだけどなぁ。



私が肉薄し、拳を突き出す。リザードマンはそれを避けることなく──ん? リザードマンが動かなくなった。


嫌な気配を感じて、数歩下がって様子を見る。リザードマンは息絶えたというわけではなさそうで、時たま痙攣を起こしているようだった。

そして急に魔力が高まったのを感じた。ささっと倒してしまうべきか、それともこのまま様子を見るべきか。あれだけ痛めつけた後ならば、何をされても対処できる気がした。また油断した。

だから、私は黙ってリザードマンの進化を見ていた。



「グォォォォ!!!!!」


大きく痙攣したリザードマンが、空に向かって咆哮する。

びっくりした…… 咄嗟に耳を塞いだのに、頭がぐわんぐわんする……。


見た目からして変わっている。

まずわかりやすいのは体皮の色。羽マンやリザードマンが緑色だったのに対して、目の前のソイツは緑よりも濃く、青に近い色をしていた。

そしてソイツは羽がなく、むしろ足腰がガッシリしていた。あとは……拳、だろうか。ボクシンググローブのように一回り、二回り肥大化した拳は骨ばっているものの、そこまでのダメージは期待できそうにない。

……と、思ったらその拳から、牙を連想させる、尖った骨(?)が飛び出た。私ね、あれによく似たの知ってる。ハガレ○だ! なんたらの錬金術師だ!


「……か、鑑定」



────────────

種族:ハイドデイロン

名前:フィビオ


体力:235/370

魔力:87/87

攻撃力:203

防御力:198

敏捷:170

精神力:156

幸運:69


装備

角指(攻撃80)


スキル

体術5

回避5

隠密3

自己再生4


五段突き1

目潰し1

────────────



特に抵抗された様子もなく、ステータスを見ることができた。リザードマン、もといハイドデイロン(?)は私がステータスを見終わったのを確認してから、再び咆哮した。

あれ……もしかして、いじめすぎた……?


次回更新は予定通りの9月27日!

……さて、ここからどうしよう

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ