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旅人 白鳥 恵子 Lv.16 大討伐①

サクッと槍を突き立ててはリザードマンを殺した。

刺突1発で片足を捥ぐと、心臓目掛けて三叉槍を突き立てるだけ。

おおよそこれで6000EXPだと言うんだから楽なもんだ。

17レベルへの必要経験値は88000、つまりリザードマン15体分くらいなもので、逃がしたリザードマンを追えば簡単にレベルアップしそうだ、とつい笑ってしまう。


大討伐、って名前がつけられてることやギルドの迅速な対応から時たまあるんだろうなってことは予想できる。

頭から魔力回復薬を浴びつつ、気合いを入れる。

今回の目標はレベル20到達!リザードマンを狩りまくって、ついでにボスを見つけて経験値にしようと思う。

流石にボスとなると、流浪は必要不可欠だよね。一旦ナチャーロへ戻ってアイテムを部屋に置いてこよう。それにさっき逃したリザードマンたちも殺さないといけないし、ね?




三叉槍を構えたままひた走る。

ステータスによって強化された脚力は軽自動車を越えるだろう速度を可能にする。ビュンビュン景色が流れ去る速度が楽しい。

ガサガサ……と草むらの揺れる音。魔物が現れる定番の演出。全力で走る私の目の前に現れたのは2体のリザードマン。


「あ……ッ」


そして私は槍を構えようとして、このままだとぶつかることに今更ながら気づいた。



車が急に止まれないように。

私も急には止まれない。恵子。



うすぼんやりそんなことを考えながら立ち上がる。

うへぇ……リザードマンと正面衝突するまではまだ分かるけど1トントラック同士がぶつかったような凄まじい音がしたのも意味わかんないし、リザードマンが破裂する意味もわかんない。

リザードマンの血を浴びてベタベタする……臭いし、キモいし……うん、一撃で倒せるとしてももうこの技やらない……タイムリミットが迫ったら異世界転生ごっことして乱用するけど。

そしたらそうか、あのリザードマンは日本に逝ったのか。


「GAA──GYAAA!?」

「三段突き、っと」


その手に持ったカンフーとかでよく見る分厚い刀──青竜刀?──で切りかかってくるのをスキルで突いて殺す。

今のレベルなら刺突と普通攻撃を1回ずつ。もしくは普通攻撃を3回で殺せるって分かってるからね。それにリザードマンの攻撃で私はダメージを負わない。

うん、楽勝らくしょう……。

帰ったらお風呂に入るのも追加ね。早く帰ろう。




「ああああ!!!!なんでこんなにリザードマンが多いの!?」


ボロボロになって、這いずりながらも逃げようとするリザードマンの首に三叉槍を突き立てとどめを刺す。

あれから戦闘回数は5、6回。

それなのにリザードマンとしか会ってない。レベルアップのために効率はいいんだけど、なんというか、味気ない。


戦闘を早く終わらせようとスキルを乱用しているから結構な速さで魔力が減っていく。それでも一回の消費量が少ないからか、7割は残ってるっぽいけど。

うーん。

私って魔力が多い方なのかな……?

敵のステータスを最近見ることは多くなってきたけど見てるのって攻撃力と防御力、それと敏捷程度だし……もっとよく見ておくべきだった。

ちなみにリザードマンと比較しようとしても私が魔力183に対し、魔力40と、とても参考にならない数値だった。


多分。多分ね?

魔物って特化型のステータスだけ、もしくは大半がそうなんだと思う。それでリザードマンは物理攻撃特化型だとすれば、魔力が低いという予想になる。


……あ、良い参考対象がいるじゃん。

ステータスを呼び出し、下へとスクロールする。そして指を止めるは、『従魔』の欄。

アレスの名前を押してみると、『死亡』とだけ書かれていて、生前のステータスさえ見せてくれない。

まあいいもん。クロノスがいるもん。


というわけでクロノスのステータス参照!



────────────

種族:悪魔竜

名前:クロノス

レベル:7/20(成長限界で進化)

経験値:73628/1139063

状態異常:満腹/おひるね


体力:591/591(623/623)

魔力:397/397(416/416)

攻撃力:489(503)

防御力:619(640)

敏捷:573(588)

精神力:427(442)

幸運:1(8)


スキル

爪術4

回避4


体力自動回復3

魔力自動回復3

音楽3

隠密3


魔術・魔法

下級魔術(火)4

下級魔術(光)3

時空間魔法1

重力魔法1

変身魔法2


武技

裂壊3


固有スキル

ドラゴンブレス6

運命破壊


称号

従魔

虐げられし子

彼女だけの勇者

────────────



え……つ、強すぎない?

というかクロノスご飯の後だったのかな?普通は表示されてない状態異常が出てるし内容は異常?って首をかしげるような可愛いものだし……。


というか私なんて言ってたっけ?魔力が多い?レベル半分以下の従魔に幸運以外の能力で倍以上の差つけられてるくせに??

あ、なんかすごい恥ずかしくなってきた。私って調子乗りやすいタイプだったっけ?

……頑張ってレベル上げしよう。お昼寝してるクロノスをお母さんとして守れるようにならないと!


っと、そんなことしてたらお客さんだ。

リザードマンが弾丸のように吹き飛ばされてくるので、打ち返す。気分は4番バッター。


ふぅ、さて。

自ら飛びかかってきたそれじゃない、捨て身の一撃。

打ち返されたリザードマンの死体を軽々と避けたその存在は、上空から私を見下ろしている。

やっとリザードマン以外の敵と戦えるんだね。


リザードマンに羽が生えたような存在。

違う点といえば武装だろうか?

リザードマンは大きな刀を持っていて、叩ききろうと突っ込んでくるが、そいつは槍と盾を持っている。

しかもその槍、私が持っているランスによく似ている……下手すれば同じものかもしれない。


「GEEAAAA!!!」


羽の生えたリザードマンが奇妙な鳴き声をあげた。すると近くにいたリザードマンたちが私のほうへと寄ってきたのが分かった。

……もしかして、こいつが大討伐のボス?仲間呼び寄せて従えてるとかコルァも持ってたスキルだもんね。

ああ、そっか。魔物って進化すると羽が生えるのか……ゴブリン然り、リザードマン然り。

よく覚えておこう。羽が生えてる魔物を倒しとけばなんとかなるんだって。


「GEEAA!」

「しと……っ!」


詠唱停止。スキルは、使わない。

刺突は攻撃強化スキルだけど、その代わりに命中が下がる……と思う。いつか検証してみないと。

まずは一撃。

そう、まずは慎重に当ててみることが大切だ。そしたらステータスなんて見なくても読み取れる。


羽付きリザードマン……ゴブリンに羽が生えたら羽リンだったし、こいつは羽マンかな!

羽マンはぶれるほどの敏捷値で私に迫る。一瞬の瞬きの間に距離を大きく詰められ、眼前に広がるのは鋼鉄の盾。

バックステップで被害を最小に軽減しながら、槍を突き出す。穂先が肉を抉る感覚。

初手は相打ち、かな?



わかったことを纏めようか。

まず、私は無傷だ。受け流しが上手く決まったからというのもあるんだろうけれど、乙女の柔肌を突破できる攻撃力がなかったみたいだ。

盾を気にする必要がなくなったってのは、楽だね。


そして、スキルや能力値。

攻撃力、低め。

防御力、普通。

敏捷、速い。

盾スキル、高め。

回避スキル、低め。


こうじゃないかなって思う。直感スキルも織り混ぜた結果だし間違いはないと思う。


……あれ?てことはさ。

スキルって能力値を乗算するのかな?


ええと。命中率が敏捷×スキルってことかな。

それなら敏捷が高い羽マンに私が攻撃を当てれた理由になるんじゃないかな?

でも、なんか、違う気がする。というか足りない気がする。要検証、ってことで放置。


意識を戦闘に戻す。

今はお互いに数歩の距離で出方を伺っている。いわゆる膠着状態になった。

攻めないわけにもいかないよね。羽マンの周りにはリザードマンが4体、かな?

格上相手に5体1だ。長引かせるわけにはいかない。

ああ、範囲攻撃スキルがほしい!


飛びかかってきた血の気の多いリザードマンAは、うん?

他の奴より体格が一回りくらい大きいかな?それに武器が厚い刀じゃなくすらりと細く鋭い日本刀のようなものだった。

まさかネームドモンスター?

あ、羽マンもカバーするように飛びかかってきた。

私の刺突と羽マンの刺突とリザードマンの居合いが交差する。


「ぐっ……」


膝をつくことはないけれど、大きく飛び退いたのは私。

……正直、すごく怖かった。


刀を納刀したままだったから素手でくると思った飛びかかり。

それに油断し対処を後回しにして羽マンへと刺突を放った瞬間、目の前に日本刀の刃。


こいつも、速い。


そのせいで瞬きさえしてないのにいきなり刃が眼球を切り裂こうとして来て、咄嗟に左腕で庇った。

深呼吸。深呼吸……。

私ってなんでこう何度も失敗しちゃうかな。油断しちゃダメって思ってるのに防御力に救われる場面が多い。と、いうか防御力が高いせいで動きが雑になってるんだよね。

もういっそ防御力に頼りきった、攻めのみの構えでも編み出そうかな。あ、でもそれって双槍になるんじゃ……?


羽マンへ突撃し刺突を放つと、即座に方向転換して離脱。

左肩がピリッと痺れたけどとりあえず気にせずに距離をとった。

……どうやら、居合いで切られたらしい。いつ切られたのか分かんなかった。

あと数センチ上だったら、首が切られていたんだろう。


羽マンもまだピンピンしている。リザードマンも数が減らない。私は傷が少しずつ増えて、追い込まれていく。


『流浪』を発動できたら。


そんな考えが浮かび、やっぱり頼りすぎだなぁと苦笑する。

うん、笑えるだけまだ余裕がある。まだ戦える。


次の瞬間。





──居合いリザードマンが逃げ出した。

恵子ちゃん考えて、描写して、また考えて、描写してって器用だね。


ホントにリプレイ設定したほうがいい気もするぞ?



あ、最後の羽マンの奇行は作者も予想外です。次の話どうしよう……?

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