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ダンジョンコア 間宮日向 Lv.4⑩

ハプニングは突然に。

ついにラッキースケベイベントが起きてしまった。



「日向くんっ! 侵入者がきたよ!」

「………………きゃ~」


ナズナが脱衣場の扉を開け放ちながら侵入者が来たことを告げた。俺は速攻でウィンドウを開き、入り口の様子を確認すると、確かに二人組の侵入者が来ていた。

彼らは入り口あたりで警戒しているみたいだ。


俺はふざける余裕があることを確認したので、ようやく晒していた肌を隠すことにした。おざなりの悲鳴もあげておく。

ナズナは少し申し訳なさそうにしながら脱衣場の扉をしめーーコンコン、ノックした。


「すぐ向かうから先にコアルームで待っててくれ」

「う、うん、わかった」



決闘が終わり、住居エリアへと戻ってきた俺とナズナだったが、いつまでもゴブリンの返り血で汚れてる訳にもいかないからお風呂に入ることにした。

生き物を殺したことで精神的にも疲れていたため汚れてなくても風呂には入っていたかもしれないが。


俺とは違い汚れることが無かったナズナが、暇そうにしていたのでダンジョンの監視を任せることにした。

現状見せられないのは3階層……血統種という生殖能力を持ったゴブリンに侵入者の女を与えている部分だけだ。1、2、4階層の閲覧を許可して監視してもらっていた。


俺が風呂から上がり、体を拭き終わったのでパンツとズボンを履いたあたりのタイミングで、ナズナが飛び込んできた。

つまり俺は上裸で、濡れた髪を乾かそうとしていたタイミングだった。俺はおちおち風呂に入ることもできないらしい。




「待たせたな」

「うんう、全然待ってないよっ それよりもノックもしないで、ごめんね?」

「ああ、別に上裸くらい気にしないさ。それより防衛だ」


侵入者を観察する。

さっきも見た通り、二人組……それも優男と美少女のペアだ。


『リィル様、敵はこのあたりにはいないようです』

『うん、とりあえず警戒しながら進んでみようか』

『はい!』


リィル様と呼びれた優男は、身の丈ほどもあるドでかいバックパックを背負っていて、杖を持っているが、刃物は持っていないように見える。

魔法使い兼荷物持ち、だろうか……? いや、でも様付けする人に荷物持ちさせるか、普通?


美少女の方を見てみる。

ブロンドのロングヘアだが、頭頂部は黒髪になりつつある、いわゆるプリン状態になっていた。瞳の色は確認できない。

しかしその顔立ちは美少女と形容するのが最も正しく感じる幼さと美しさを持っていた。日本人顔ではないな、西洋寄りか……?

その美少女は、下手すると刺せそうなほどトゲトゲした刺激的なフォルムの弓を持っていた。矢筒の数は3つ、腰に2つに左の太ももに1つ。

そこに剣の類いは見られない。


弓兵と魔術兵の後衛タッグ……?

しかも様付けするような地位の男が、荷物持ち……?


いびつ、としか言い表せないパーティだ。心のなかで警戒心をワンランク引き上げ、観察を続ける。

次は戦闘能力を見させてもらうことにしよう。

とりあえずゴブリンを、3体向かわせる。召喚や転移を使うことなく、1階層にいた最寄りのゴブリンに『命令』を飛ばす。




『リィル様、敵です』

『みたいだね。数は3匹、任せたよ』

『はい!』


弓使いは腰につけていた矢筒のひとつから二本の矢を取り出した、そのうち一本は口でくわえ、もう一本をつがえる。

右利きらしいし、構えもテレビで見るような綺麗な型だが……なーんか違和感があるんだよなぁ。


弓使いは通路をバタバタと亜人走りして向かってくるゴブリンへと矢を放つ。

ーーが、放たれた矢は僅かにゴブリンの頭頂部をかすった程度で、ダメージを与えることはなかった。

女弓使いは怪訝な顔をしたものの、くわえていた矢を即座に構え、第二射を放つ。今度は綺麗に眉間に吸い込まれ、ゴブリンを絶命させる。


『……湿気は少ないです』

『あと二体、いけそうかい?』

『お任せください、やります』


弓使いは左手で構えていた弓を右手に持ち変えた。

……両利きなのか? にしてはなんで持ち変えるんだ、そのまま射っていればいいはずだが。


その女弓使いは、右手でゴブリンを殴った。弓を持ったまま。

ギザギザの刺激的なフォルムをしていた弓は、当然ゴブリンの皮膚を貫き、甚大なダメージを与えた。どうして女が持つのにそんな悪趣味な武器なんだろうと思っていたら、そういうことか……

ゴブリンBは即死ではない、みたいだが、虫の息のまま床に転がされた。トドメさえ刺すつもりもないらしい。あとで回収できそうならしておこう。


『テト、後ろ!』

『ッ!』


女弓使いはテトちゃんというらしい。捕まえたら戦い方を教える師匠役として説得してみよう、可愛いし。

まあ、無理そうなら、ハウルにあげようかな。


テトちゃんは左ふとももについている矢筒から矢を二本取り出すと、同時につがえ、ゴブリンCへとゼロ距離で放った。

喉元と胸元に刺さった矢を、テトちゃんは即座に引っ張る。先端の返しの部分がゴブリンの肉を抉り、致命傷を与える、がゴブリンも死に際に一発こん棒を叩きつけていた。


テトちゃんの首筋が少し赤くなっている。その程度のダメージしか与えられてない、のか……

これは、リザードマンあたりじゃないと太刀打ちできないかもしれないな。



に、しても。様付けされて荷物持ちしてる優男は、なにもしてないな。強いて言うなら指示だしくらいか。


『テト、おいで』

『は、はい、リィル様……』


優男はテトちゃんの首筋に触れると回復魔法? を唱えた。ぼんやりと手が光り、テトちゃんの赤みが引いている。

優男はそのまま右手でテトちゃんを撫でる。まるで忠犬をあやすかのような仕草だが、撫でられている本人が幸せそうに頬を赤らめている。

……こいつら、恋人か?


様付けってことは、貴族と冒険者の身分違いの恋とか?


ダンジョンの中だとどうしても娯楽がなくなってしまうから、こういう侵入者の昼ドラチックな人間関係は興味がある。

どうやって攻略するか、それかどうやって捕まえようか。


ゴブリンの死体を解体しているテトちゃんの後ろ姿を眺めながら、脳内シミュレーションを繰り返す。

勝てる可能性は、低そうだが。

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