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ダンジョンコア 魔宮 日向 Lv.3④

年末くらいは投稿したい……

 深呼吸で不安を和らげる。

 焦ったところで、結局今できることは少ない。侵入者が来たときにまた考えよう。今は、自分がやると決めたことをやっていればいい。


「だいじょうぶ?」

「ああ、大丈夫だ。他にも聞きたいことがあるんだが、いいか?」


 やはりというか、なんというか。ナズナは躊躇うこともなく頷いてくれた。

 そこで俺は一つ確認を取った。『魔物についての知識もあるのか』と。それにもナズナは頷いた。


「全部の魔物を知っているわけではないよ……?」

「大丈夫だ、今聞きたいのはゴブリンについてだ」

「あ、それなら知ってるよっ」


 俺の知っているゴブリンというと、雑魚中の雑魚。ファンタジーの最初の敵。弱いが繁殖力が強く、数が多い。

 そんなところだろうか。実際に召喚し、ここ数日で見てきた限りではイメージと対して違いはない。それでもナズナの知識と違いがないか、もしくは俺のまだ見ていない生態を知りたかった。


「ゴブリンは進化の種類が一番多い種族だよ。繁殖力が強いだけで弱いっていうイメージがあると思うけれど、進化を繰り返したゴブリンはドラゴンでさえも倒せたりするんだよ」


 ハウルのようなホブゴブリン以外にも進化先があるのだろう。ゴブリンメイジとか、ゴブリンキングとか色々と聞いたことのある名前がそのまま進化先なのだろう。

 もしかしたらスライムライダーみたいな、他の種族と融合するタイプの進化もあるかもしれない。


「ゴブリンに限らない話なんだが……魔物も食事を必要とするのか?」

「ええと、ね。魔力があれば生きてはいけるんだけど、食事を取った方が良いみたい」


 白米だけでも腹は膨れるが、野菜や肉も食べたい。そんな話だろうか?


「進化に必要なのは経験値……つまりは魔力なんだけど、生きるために魔力を使うと進化がすごく遅くなっちゃうの」

「食事で経験値は入るのか?」

「何もしてなくても経験値は手に入るんだよ。でも微々たるもので、戦闘で敵を倒すのが一番かな……」


 つまりはあれだろう。レベル1というのは生まれたばかりの赤ん坊くらいしかいなくて、10歳前後になれば普通は2レベ3レベになっているもの……

 つまり俺って10歳児レベル?



 話を戻そう。よく脱線するのは俺の悪い癖だな。


「それじゃあゴブリンってのは、何を食べるんだ? 例えば、スライムとか」

「雑食だから、基本的になんでも食べるよ。スライムとか、コックみたいな魔物。木の実や草葉なんかの植物。石や土なんかの普通食べないもの。……そして、同じゴブリンまで」


 ナズナは、少しだけつらそうな顔をしていた。俺はナズナにお礼を言うと、ウィンドウを展開した。

 食事を行った方が進化が早い、そしてゴブリンは雑食。

 やはり食物連鎖を形成すれば、手間なく戦力が一気に強化できるはずだ。今までのように足りなくなったら補充するというのはやめにして、召喚魔方陣を作ることにする。


 一日の終わりにDPが勝手に吸いとられる代わりに、一定時間毎に決められた魔物を産み出すというダンジョン特有のシステム。

 血統ゴブリンの魔方陣は……1日1体召喚で200DP。

 そして血統スライムは1日1体で50DP、血統コッコは1日1体で300DPだった。

 それぞれ1個ずつ配置……いや、コックだけは2個にしようか。餌だし、進化したり増えたりしたら深層へと送れば良いわけだし。




 改めて確認しよう。

 フィールドは林。草木は何もせずに生え、例え一帯焦土にされようがものの数時間で林へと戻る。林フィールドに設定しているのだからそこから変化することはないらしい。

 ……溶岩とか垂れ流せば燃え続ける林ができるかもしれんな、頭の片隅にメモしておこう。


 そして草木を食べるのはスライムとコックだ。やつらは草食で、たまに虫を食う程度らしい。コックはスライムも食うが。

 そしてゴブリンは何でも食べる。しかし草よりはコックなどの肉を優先して食べるらしい。

 今のところゴブリンを食べるような魔物はオコメくらいだろうか? つまりゴブリンが増えすぎたらボス部屋に放り込めば処分できる。そういうことだな。


 設置する前に……ハウルを含むホブゴブリンに命令を下し、1階層の数ヵ所の壁に穴を開けてもらう。

 ただの横穴ではなく、俺の腰くらいの高さから掘り始めてもらった。つまるところゴブリンが登れない高さに横穴を掘ってもらった。

 そこにナズナ印の──ナズナが召喚した、という意味──藁を敷き詰める。コッコの巣だ。きちんと領域化もしてダンジョンの一部として認めておく。

 コッコは巣に隠れていれば安全だが、下に降りなければ食料がない。しかし下にはゴブリンのような外敵が存在する。

 まあ、一種のリアリティ要素だな。ただただ放置しておくとゴブリンが増えて他の種族が全滅するだけだろうしなぁ。



 その全ての作業が終わった。

 消費DPは1000近くかかったが、必要経費だろう。むしろこれから毎日1000は稼がないといけないわけだが……とりあえずは数ターンの様子見だろうか。

 ダンジョン物はやはりストラテジーや育成ゲームの要素が強くなるな……。これはこれで楽しいものだが。




 額の汗を拭いながら、ステータスを開く。

 1つ、気づいたことがある。抜け穴のような、悪さできそうな仕様の話だ。


 俺はあの、名も知らぬ少女をこの手で絞殺した。そしてレベルアップし、ファンファーレの音を聞いた。自分の手で生き物を殺したのだから、経験値が手に入り、レベルアップするのもある意味当然と言える。

 しかし……それはつまり、ptを使わずにもレベルアップすることができるということだ。


 ウィンドウを開いてみる。ptは780で、詳細な数値を覚えていないものの、殺害分のptが増えていることがわかるだろう。

 結論から言うと『ダンジョン内で、間宮日向が敵を殺したときに限り、二重で経験値を獲得する』ことができるみたいだ。



 これはまた、なんとも……悪さできそうな仕様だ。

 しかし、問題となってくるのが俺の成長の悪さだ。見てほしい、2レベ上がったとは思えない、誤差程度の成長を。

 いや確かに、元々のステータスが低いため倍くらいに増えたように思えるかもしれないが、5レベル相当のナズナにあと2レベで追い付ける気がしないんだが?




 まあ、つまり。

 あの二重経験値獲得は、ハイリスクハイリターンだ。ゴブリンよりも弱く、ダンジョンの心臓である俺が前線で戦うことになるが、その分早く成長する。


 前回のように完全な無抵抗の相手であるならば、勝ち目はあるだろう。どんだけステータス差があっても、首を絞めれば死ぬみたいだから。


 使い分けていくべきなんだろうか?

 このまま安全策で対処する方がいい気がしてくるが、それだと最速クリアーのルールを破ることになってしまう。



 ……ハウル相手に剣術の訓練程度から始めるか

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