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旅人 白鳥 恵子 Lv.6 ①

予約投稿みすってたみたいですね。。。すいませんでした

『現在のレベル6。次のレベルまで1397EXP』

『残り時間5時間59分59秒』


ついに必要経験値が4桁になってしまった。そのくせ残り時間が大幅に伸びているわけではない。……やばい、忘れかけていた焦りが心を焦がす。

『ピィ?』

「……大丈夫、あと6時間だもの、大丈夫」

締め切りが迫り来る感覚は定期テストの時、何度も味わってるから知っている。けれど、今回かかっているのは私の命そのもの。クロノスを置いて死ぬわけにもいかない。だからこそ、焦るな。……大丈夫、落ち着いて。

「ステータス」


────────────

名前:白鳥 恵子

年齢:19歳

性別:女

種族:人間

職業:旅人

レベル:6/99


体力:121/131(182/197)

魔力:49/62(74/93)

攻撃力:38(57)

防御力:89(141)

敏捷:49(74)

精神力:52(78)

幸運:26(39)

所持金:497ロト


装備

右腕:スピアー(攻20)

左腕:

身体:ローブ(防10)

   胸当て(防20)


アイテム

手斧(攻15)


スキル

槍術3

回避3

魔物語1

刺突2

滅槍グングニル1

威圧1

投擲1

隠密1


従魔(ペット)

クロノス▽


固有スキル

流浪▽


称号

頑丈▽

────────────


「魔物、語……?」

きっとそれが翻訳スキルだろう。精度は悪い、でもクロノスと話してるうちに自然と上がっていくことだろう。とりあえずあるだけ良し。

流浪の効果も効いてくるようになったなぁ。ただ、この先『流浪』に頼らないでも敵を倒せるくらいにならないと。レベルが高くなるにつれて、発動条件も厳しくなるんだから。もっと言うならダンジョンの宝箱があるからもう厳しいんだ。

従魔の隣、三角マークを押してみる。新しくウィンドウがポップアップする。


────────────

種族:ベビーファイアドラゴン

名前:クロノス

レベル:3/5(成長限界で進化)


体力:101/121(115/135)

魔力:74/76(81/83)

攻撃力:53(57)

防御力:46(55)

敏捷:71(76)

精神力:66(72)

幸運:1(4)


スキル

下級魔術(火・風・光)1

回避2


固有スキル

ドラゴンブレス1


称号

従魔▽

虐げられし子▽

────────────


なんだ、クロノスのステータスも見れるのね。でも私が呼び出した時はクロノスが見れない、少なくとも目の前には出てこないらしいのでクロノスも自分で『ピィーピッピ!』してステータスを見ていた。

理解できてるのかな?あ、でも会話できるくらい、言語を持つくらいには知性があるなら理解は出来るか。

『ピィ!』

ドアへとぴょこぴょこされながら鳴かれると流石に分かる。

「そうだね、進もっか」



クロノスに導かれ、開けたドアの先に在ったのは、1本の花。サイズがおかしいことからきっと魔物なんだろうけど。

茎をうねうねと動かし、紫色のとげとげした花を私たちに向ける。目があっているような感覚と、感じたのは殺意。

ミノムシから守ったようにして、クロノスを庇う。そんな私目掛けて花びらが飛ばされる。その花はまるで矢のようで、空いている腕で顔を守るのがやっとだった。

『ピィィ!!──ガァァッッッ!』

痛みは……訪れない。普段あるような乙女の柔肌で弾く感覚もない。目を開けてみると、クロノスが私の足元からブレスを吐き出し、花びらを全て焼ききっていた。

「ありがと、クロノス!」

『ピイッ』

「滅槍グングニルッ!」

花はまたうねうねし出した。少しずつ──それでもすごい早さだけど──花びらが再生してきている。次を撃たれる前に倒してしまいたかった。

花びらの一部を消し飛ばす、がそれもすぐに再生していく。塊になってくれればすぐに終わったけれど、これでは時間がかかってしまいそう。

手斧を召喚しつつ、槍を回収するためにも走り出す。クロノスはクロノスで、反対側へとちこちこと走りだした。口元に火が見えるのでまたブレスを撃つつもりだろうか、やってしまえー!と念を送る。

ブレスの火は、こちらまで熱を伝えない。

走りながらだからか、直撃とはいかなかったようだ。それでも根本にある葉っぱを焦がす。

でもその間に私は、槍を回収出来た。ここでまた槍を投げても良いんだけど、回収がめんどくさいなぁ。投げ終わったら手元に戻ってきてくれないかな?

んー、とりあえずは手斧投げとくか。

地面からぼこぉっ!と出てきた蔓が手斧を叩き落とした。……2度目は通じないってこと?そのまま蔓がクロノスの方へとしなる。

「クロノス避けて!」

『ピィ!?──ガァァァ!!!』

驚いたように鳴いたクロノスは避けることなく、ブレスする目標を本体から蔓へと変えることで焼きり攻撃を防いだ。あれ、もしかしてクロノスって植物と相性良い?

「刺突!」

クロノスがブレスで牽制、もしくは攻撃して。私が肉盾と近接をする。クロノスが仲間になってまだ片手で数えられるくらいしか戦っていないのに、もう連携がとれる。従魔ペットだから何か特別なパスでも繋がったのだろうか?

『ィィィィィィッッッ!!!!!』

植物の断末魔。耳が痛くなるようなそんな甲高い音。ギチィ、と花が私に向く。この距離でショットガンのようにばらまかれる花びらは、避けきれない。


まあ、避けきれないからって乙女の柔肌は傷つけられないけどね。


近距離で放たれた花びらが全て金属音とともに弾かれる。流石にちょっと衝撃が残って押されるけど、それも数ミリだけ。

「さよなら」

私の振るう槍が植物の茎をへし折る。断末魔をあげることもなく、絶命した魔物は、死体だけ見ると大きいだけの踏まれた花みたいだった。


『てーてれてっ『てーてれてってってってーっ』


……2回鳴った?

しかもこのファンファーレは私のじゃないからクロノスのだよね?目が合う。首をかしげられる。かわいい。

『ピィーピッピ!』

私の目の前にはステータスは出て……出てこない。あれ?もしかして、最初だけだったのかな?

『……ピ、ピィ』

「ん、どうしたの、クロノス?」

『ピッピイッ』

クロノスが何事かを呟くと私の前にウィンドウが浮かび上がる。



────────────

ベビーファイアドラゴン『クロノス』は成長限界です。

進化先を選んでください


【ベビーファイアドラゴン】▽

【ファイアドラゴンキッズ】▽

【エンジェルドラゴン】▽

────────────



クロノスは私をまっすぐに見上げている。

……選んでくれってことだよね?

私は汚れてしまいそうだったけれど、地面に座ると、膝の上にクロノスを呼んだ。ぴょこっとクロノスが来たので後ろから抱きしめる。

「クロノス、一緒に決めよう?」

『……ピィ!』

何て言ってるのかは分からないけれど、嬉しそうな気配があるから、きっと間違えてはないんだよね。


【ベビーファイアドラゴン】

レベルを1にしてもう一度鍛え直す道。能力値は大幅に下がるものの、一度目に比べると高い。また、進化の可能性を広げる道でもある。


【ファイアドラゴンキッズ】

多くのドラゴンが通る道。ドラゴンとしてまだまだ未熟ながら、人間や魔物から畏れられる存在。


【エンジェルドラゴン】

心優しきドラゴンが、人を、自分を、物を、全てを癒す力を手に入れる。そのための一歩を歩む存在。



……クロノスの頭を撫でる。この子の未来は、やっぱり私ではなく自分で決めるべきだと思う。この子をペットとして飼うつもりはあるけれど、それはけして家畜等ではなく、家族として、だ。

クロノスが私から離れて、自分の里や群。そんな仲間たちの元へ返ると言うのならば、笑顔で送ってあげようと思う。

言い訳かな。

可愛いからという理由もあったけれど、私が一人で戦うよりもはるかに楽できるから味方に引き込んだ。そんな子の、未来まで縛るのを嫌っただけなのかもしれない。もうすでに縛りつけているというのに。

『ピィ……』

「クロノスは、どうしたい?」

翼が選択肢の上で滑り、滑り……選ぶことなく力なく引っ込んだ。ドラゴンとして、この子にも産みの親や友達はいただろう。その子たち同じ道を進むのか。それともこの子よりも早くに死んでしまうだろう私と共に同じ道を歩むか。

「もう一度鍛え直すとしたら、私もレベル上げは手伝うよ!」

『ピィ』

「そのまま進化するのでも良いと思う、回復魔法を覚えるのも強みになるよ」

『……ピィ』

そうだよね、私のは何の参考にもならないよね。でも、きっと、私がどんな進化先を選んでも見捨てないとは伝わったはず。

……伝わってくれてるといいな。

『……ピィ?』

「うん、いいよ。選んで」

『……ピュイ』

その翼は、ベビーファイアドラゴンを。

やり直し、自分を鍛え上げる道を選んだ。

少なくとも私は、その道を肯定しようと思う。



クロノスが光に包まれる。

ぴょこぴょこと私の膝から降りると数歩進んだところで止まる。くるくると渦を巻く光の粒は、殺して消えていった死体を飲み込んでいるようにも見えて、残酷で、とても綺麗だった。

……光が晴れる。

クロノスの姿は変わることなく、そのまま元気に立っていた。進化したところもなければ退化したところも無い。あるのだとしても絶対に見落としてしまうほどの軽微なものだろう。

『ピュイ』

「もう行くの?」

『ピィ』

「ステータスは?」

『ピィ~』

「少し位休んでも……」

『ピュイっ!ピぃ~イ!』

「うん、分かったよ。進もっか」

クロノスはステータスを確認することも無く、私の背中を押す。それははやくレベルアップしたいということなのか、私がレベルアップしたいと……死にたくないと思っていることがバレたのか。それは分からない。

あぁ、でも。この寿命のこと。クロノスにもきちんと言わないと。いきなり死ぬのは戦場だから仕方ないとしても、それでもきちんと話しておきたい。

ね、クロノス。その時君はどんな声で鳴くのかな。私のために、泣いてくれるのかな。もし、私が地球へ帰るとしたら、クロノスはついてくるのかな。



ドアを開けると、そこにはさっき倒したばかりの紫色の花が咲いていた。確か、シスルだっけ?

うねうねと動き私たちに花弁を向ける前に、私はすでに槍を投げる姿勢になっている。……もう、手慣れてきた。魔物を殺すための警戒の仕方も、その殺し方も、完全に理解できてないけれど少なくとも取っ掛かりは掴めている。

「滅槍グングニル」

地面から現れた蔓を貫通し、槍は茎へと突き刺さるがへし折るには至らなかった。更に蔓の数は増え、茎へと刺さったままの槍を弾き飛ばした。ちょうど私のいる方へ飛ばすとは、ありがたいことだね。

「クロノス」

『ピィ!──ガァァァ!!』

その火が蔓を焼き払い、花弁を焦がす。

武器が燃えるのを嫌ったのだろうか、狙いもろくに定めていないまま花弁を撃ちだし私に穴を開けようとするが、当たらないし当たっても痛くないし……。

私が刺突を放つ。もう蔓もない花弁も生えてきてない、それでも私の攻撃力では殺しきれなかった。シスルの断末魔を聞きながら後ろへと下がる。食らってもダメージは無いけれど、クロノスだって主にブレスを吐いたりできないはずだから。

そこで不幸が起きた。

クロノスがブレスを溜めて吐き出すときに先ほどの花弁が天井の一部を壊し、そこから崩れてきた瓦礫に巻き込まれた。

瓦礫ごと火に包まれるクロノス。

驚いた私を隙とみたらしいシスルがその頭で頭突き?なのかな。を放ってきたが、逆に槍を叩きつけてへし折ってやる。……それがとどめになったみたいだ。


『てーてれてっ『てーてれてってってってーっ』


またクロノスのレベルが2上がった。最初だから仕方ない気もするんだけど、良いよね。私なんて最初からレベル上げに苦労してるのに。

『ピィピ』

「あれ、もう行くの?」

クロノスはステータスを確認することなく次の扉へと翼を向ける。……なんでステータスを見ないんだろう?

そこにいたのはバッタだった。大きくて気持ち悪いので即座にグングニルで投げつける。

……あ、黒い靄を纏ってる。槍はまっすぐに飛び、こちらに側面を向けていたバッタへと突き刺さり、その身体を黒い靄が覆い隠した。今回は骨を折り砕くというよりも飴玉を噛み砕くような音とご飯を咀嚼するようなくちゃくちゃねちゃねちゃした音だった。

そんな音が止むと、靄も晴れ……バッタの塊?が生まれた。


『てーてれてってってってーっ』


またクロノスのファンファーレ……って!?

「クロノス待って!」

『……ピィ』

急に走り出したクロノスに声をかけるといかにも未練たらたらですという顔をされた。バッタの塊を拾うと、予想以上に固い……まるで石のようだ、けど緑だったり茶色がかってたりするこれは……やっぱり気持ち悪いかな。製造元を知ってるからかな。

一応ポケットに仕舞うと『ローカストの塊』と表示された。あのバッタはローカストと言うらしい。長いのでこれからもバッタと呼ぶことにする。

「食べたいの?」

『ピィ!』

「……どうしても?」

『ピィィ!』

むむむ……少し迷うけど、ポケットの中に入れておくのも流浪が切れそうで怖いし、使い道が分からないからなぁ。

「はいどうぞ」

ひょいぱく。となんの躊躇もなく食べれるクロノスはすごいと思うの。え、ああ、はいはい次ね。もう、なんでそんなに焦ってるの?


おお、ドアの先には宝箱。近づいてみるけどー見える限りは異常なしかな?いざ!オープンTHEプライス。

「回復薬と……弓?」

とりあえずその2つを取り出すと、宝箱は泥になって崩れた。返品は禁止みたい。私は何回かスキルを使ったから魔力を回復したいなぁ。ポケットに一時収納。ステータスを開くと『回復薬(体20)』と『短弓(攻撃20)』とあった。あーそしてまた流浪が切れちゃう。

「クロノス、体力回復いる?」

『ピィ』

いらないみたい。それじゃあ私が飲んじゃおう。

体力が満タンまで回復した。けど魔力は43/62でおおよそ3割減っている。回復する方法、無いかなぁ。や、その方法が今宝箱にあればよかったんだけどね。

『ピィ?』

「あ、うん。行こっか」

クロノスに急かされて次の扉へ。下の階に進むのはいつになるのかな。もう最悪落とし穴に落ちれば行けるんだけどさ。


がちゃ。あ、噴水だ。水をぐびーっと飲む。クロノスも喉が渇いてたみたいでごくごくと飲んでいた。


次の部屋。トンボがいる。私が槍で突き刺すがやっぱり穂先が滑り致命傷まで届かない。クロノスがブレスを吐くが素早い動きで避けられた。そのまま私に噛みついてくるけど乙女の柔肌に止められる。もう一度私が槍で攻撃し、クロノスが炙る。……トンボはまだ息があるようだけど、飛ぶほどの体力が無いのか地面でピクピクするだけになった。

『ピピィピーピ?』

え、なに?分からない。

「どうしたの、クロノス?」

クロノスはまだばたばたしてるトンボに噛みついた。とどめでも刺すつもりかな。クロノスもレベル上げしたいんだよね、きっと。どんな感じに分配されてるのか分からないけど。

「ん、それじゃあお願い」

『ピィ』

バリバリ、ムシャムシャ。……むしゃむしゃ?えっ?

クロノスがトンボを美味しくいただいていた。私はすぐさま目を反らして何も見てないと暗示をかける。

そうだよねぇ、ドラゴンなんだから魔物くらい食べるよね……?

つ、次行こう!クロノスの口元が緑の体液で濡れてる気がするけど気にしない!


ドアの先は噴水だった。でもその噴水の水の色が赤みがかっている。無臭だから血って感じではないし、毒とかでもなさそう?とりあえずクロノスの口元を洗うだけでスルーしよう。

1戦くらいじゃ喉も渇いてないしね?


次のドアの先には──何もいないし何もない。こんな部屋もあるんだ……?

あー、はいはい、早く次に行きたいのね。本当に何を焦ってるの、クロノス?


ドアを開ける。

今までにない殺気を感じた。目を惹かれる。槍でいつでも攻撃を防げるように……防御の構えを取る。

クロノスも、口元から火が漏れている。きっといつでも吐き出せるように構えてるんだ。

部屋は広い、他の部屋は十メートルの立方体だったのに、ここは一辺三十メートルくらいだろうか?そして、私たちが入ったドアは、やっぱり消えた。でも、向こう側の壁には、地下への階段がある。

番人が、大きい曲刀を地面に叩きつけた。

『GYAAAAAAAA!!!!!!!』

その番人はリザードマン、だろうか。

二足歩行をしているその人型の蜥蜴が耳障りな咆哮を上げて、私たちに襲いかかってきた──

何をミスったかと聞かれるとクロノスの必要経験値数。

いや、ドラゴンが他人に寄生してレベル上げするとか誰も思わないでしょ。



さて、予定を変更して次回更新は2日後22日の午前中となります。

それは次の話が短いからです。

理由?ははっ、推奨レベル10のリザードマンさんに挑むとかなんなの?ボク言ったよね?推奨レベル10は見かけたら逃げろって言ったよね?

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