終局
暗がりから声がしたので青年は見やる。
ぼんやりと瞳を開いていたが、次第にはっとしたように目を丸くする。暗い瞳には年端もいかない少年が認められた。
「さて、お願いしますにゃ。ボクとしてはさくっと終わらせたいんだって! 待たせないでよ?」
長い髪をした肌の白い少年である。口調の割に少女かもしれなかった。
「お前、誰だっけ!?」
「?? ボクはレイちゃん?」
「訳わっかんね! 俺、見覚えあんよなあ!」
青年は狂気を纏って突進する。酔いが回っていたか千鳥足であったが少年のか細い体はすぐに捉えられた。怒りと錯乱に任せて突き飛ばしていた。
調度良い具合に保健室であった。少年はベッドに押し込められる。少年は安心した笑みをこぼす。毛布の柔らかさが少年の肌を擦った。
「さあ、やろっか!」
青年はこたえるように覆い被さった。そして『行為』は繰り返さる。そこにあるのは野蛮な奉仕。次に血の分前。次に記憶の狭間。次に夢現のメルト。そして、終わった。
報酬を期待する少年に青年は口から血をしたたらせて「金欠なんだ」と言った。
「はあ? なんで? お兄さんいっつも百万くらいくれてたじゃん?!」
青年は「ああ、だからだよ」としか言えなかったが、とにかく渇きは癒やされた訳だった。
校舎の懐かしい香りと共に鼻を掠める冷たい空気はこう言っていた気がする。裏切りに抗議を立てる少年のきーきーした声に紛れて。
ーーなんで生きているのだろうか?




