旅立ち
「シキ君、シキ君起きて。」
「ん~。まだ・・・・」
「まだじゃなくて。もう朝だよ。起きて。」
「わかったよ。ってエリー!?どうして?」
「どうしてじゃないでしょ。昨日からずっとここで騒いでたんでしょ。」
「ああ、そうか。そうだった。」
「ほらはやく支度して自分の宿に帰らないと。」
「ふぁ~。そうだな。」
怠い体を動かし朝食を食べ支度を進める。
「シキ君もう行くよ。」
「ああ。」
「シキ様、エリス様このあとは?」
「いったん宿に戻って準備してからこの町を出ます。」
「そうですか。そのときは町一同でお見送りいたします。」
「ありがとうございます。」
「そんじゃ行くか。町長あとでな。」
俺たちは外に出て歩き出す。
「エリーは準備したのか?」
「もうしたよ。」
「いつのまに。」
「シキ君が気持ちよさそうに寝てる時だよ。」
「それじゃエリーはこのあとどうするんだ?」
「そうだな。とりあえずこの町を出るまでは一緒でいい?」
「もちろん。出るまでじゃなくて一緒にゴールを目指さないか?」
「それはどうしようかな。うーん、もうちょっと考えるよ。」
「わかった。」
二人で話してる間に俺が泊まってる宿に着いた。
自室の前に行きドアを開けようとした。
ここで俺は恐ろしいことに気づいてしまった。
「あ、あ、あ・・・・。」
「どうしたの?シキ君大丈夫?」
「やってしまったかもしれない。」
「なにがあったの?もしかしてあいつが?」
「鍵かけるの忘れてた。」
「え、か、鍵!?そんなことで大丈夫だよ。さあ入ろう。」
「「あ」」
ドアを開けた俺たちが見たものは荒らされた部屋だった。
「うわあああ」
「え、あ、ほ、ほら散らかっただけだよ。ちゃんと探せばあるよ。」
そこから10分間探したが何も残ってなかった。
「さ、最悪だ。どうしよう。」
「だ、大丈夫だよ。お金はどのくらい持ってるの?」
「・・・・500ゼニー。」
「そ、そっか。大丈夫だよ。きっと・・・・」
「もうダメだ。終わった。」
「大丈夫だよ。・・・・うん、大丈夫。私が面倒見よう。」
「え?」
「一緒に旅しよう。そしてゴールを見つけよう。」
「いいのか?さっきよく考えるって。」
「うん。今よく考えた。シキ君強いしそういうところでは大丈夫そうだけど、なんか頼りないし私も行く。」
「おお。エリーがいれば安心だな。」
「でしょ。一緒にゴール見つけようね。」
「おう。」
荒れた部屋を二人で片づけチェックアウトした。
「でもお金ないし地図もないしごめん。」
「いいよ。お金はなんとかなると思うし、地図は私も持ってるから。大丈夫。」
「そうか。ありがとエリー。」
「あ、町長さんたちが見えたよ。おーい。」
「おーい。」
エリーにつられ俺も大声で呼ぶ。
こちらに気づいたのか何人かも手を振ってくれる。
「もう行くんですね。」
寂しそうに町長はつぶやく。
「はい。」
「少ないですけど食料とお金です。」
おばさんたちが美味しそうな食べ物を手渡す。
「いいのか?」
「はい。町を助けてもらったお礼です。」
「ありがとうございます。こんなにたくさん。」
「いいんですよ。それではこのゲートをおくぐりになってください。」
「これをくぐればどこかに行けるのか?」
「はい。本来手形でどこに行くかを示すのですが、ない場合は無作為にどこかとつながります。」
「おお。おもしろそうだな。」
「おもしろがらないで。どこに行くか分からないのよ。」
「大丈夫だって。敵が来たら俺が殴る。それで大丈夫だろ。」
「わかった。シキ君を信じるわ。」
「決心はついたようですね。それでは旅のご無事をお祈りしております。」
「ああ。それじゃ・・・・」
「「行ってきます。」」
大声で旅立ちを宣言しまだ見ぬ次の場所へ走り出した。