第4話 時を越えて・・・。
「あれっ、ここは何処?」
京太は、辺りを見まわした。
それに、裕一は答えた。
「お前こそ、何処から入ってきた?そして、なんで、こんなところにいるんだ。」
それは、京太にも分からないことだった。
そして、二人は、黙り込んでしまった。
「そういえば、お前の名前を聞いてなかったな。」
裕一は、京太に名前を尋ねた。
「俺は、影森京太。」
「ほう。俺は、三峰裕一だ。」
二人は、お互い自己紹介をし終えた。そのとき、京太は、前の晩のことを思い出した。
「そういえば、俺、公園で寝てたんだよな・・・。」
京太は不意に口走った。
「公園に寝ていた?」
裕一は、聞き返した。
「そう。」
裕一はある噂を思い出した。
それは、裕一が小学生の時、同級生だった熊谷から聞いた話だった。
熊谷の話によれば、今、つまり、2020年に発達しているネットワーク空間には、いくつかの謎があり、その中に人を過去や未来から連れて行く謎のプログラムがあるというのだ。
そのときは、裕一は信じていなかった。
しかし、今、このような少年がここに立っていることを証明できるのは、その方法しかなかった。
大体、家の鍵は閉まっていたはずだ。
しかも、誰かが、家の中に入ってきて、倒れていることなんて、泥棒でもない限り、ありえない。
しかし、この少年にはそのような気が感じられなかった。
そして、裕一は、京太に訊いた。
「京太。まさか、過去から来てないか・・・。」
それに京太は驚いた。
「何、SFみたいなことを訊くんだよ。俺は、2006年にいるに決まっているじゃないか。」
「違う、ここは、2020年だぞ。」
京太は、裕一が嘘でもついていると思った。
しかし、壁にかかっているカレンダーを見た瞬間、京太は自分が未来に来ていることを知ることとなった。
「どうしたら、いいんだ。過去に戻りたい・・・。」
京太は急に落ち込んだ。