1/1
始まり
「あぁ、今日もかっこよかったなぁ…」
ふぅ、と心のなかでため息をつく。
私の名前は木梨悠里。現在中学三年生、元吹奏楽部員。最近引退したばかり。現在片想い中。
気になるであろうそのお相手は、元野球部員、松尾雅樹。学年委員長であり、三年間クラスが同じである。
その片想いは、何がきっかけだったのかわからないまま、始まっていた。
ちょうど二年前の9月のことだった…
体育祭の前日。
『ずっと好きでした。付き合ってください 木梨悠里』
小さく切った紙に、これだけ書いた。それ以外に、もう書くことなんてない。あとは明日、登校して机の中に入れるだけ。
『雅樹君…』
彼のことを考えるだけで、体が熱くなる。
翌朝、彼の机の中へ、その手紙を入れた。しかし、その結果は…返事は返ってこない。しかも、他の男子は、
「おい、松尾があのラブレターを『気持ち悪い』つって捨てたってー!」
ときこえるようにいってくる始末。
それ以来、打ち明けるのが怖くて想いは心の中。
打ち明けられたときのことは…
妄想。
そこからの進展も妄想。
いつ打ち明けよう…
タイムリミットまではあと4ヶ月ちょっと。