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虚飾の空  作者: 古村
灰色の序章
12/17

4α 1/2

超展開。

水面下の平静は打ち破られる。



 音のない雑踏に、凄まじい音が響き渡る。

 なにかが壊れるような音に引き続いて、繁華街の一角がもくもくと煙る。

 煙が張れた時、そこには誰の想像にもあり得ない光景が広がっていた。

 そこは交差点だった。

 その交差点の中央に、幾つもの、工事に使われるような武骨な鉄骨が突き刺さっている。よくよく見ればその鉄骨に混ざって信号機や電信柱もあるようだ。

 路装のアスファルトを食い破って複雑に交差した骨の群れの一番高いところには、何もなかったかのような顔をした秋風が立っている。

「やぁれやれ、酷いことするんだなぁ。僕が人間なら死んでたよ、まったくさあ――」

 そんな彼の琥珀の瞳が、生き血のような赤い光を帯びる。

「――死なないから、いいけどね」

 その一瞬の後、彼の姿が、路上に突き立った鉄の骨の群れ共々消え失せる。

 直後、そこに今度は、一本の巨大なビルが突き立てられた。

 先ほどの崩壊の音を軽々と越えた、地鳴りや地響きをも引き起こす音が響く。

 そのあたり一帯が、現実ではありえないほどに陥没する。まるで特撮映画を見ているようだ。

 ビルの屋上にあたる部分には、先ほどのホロンという女性の姿がある。

「死ねよ、お前。不愉快だし」

 

 消えたはずの秋風の姿は、そんなホロンの、ちょうど真上にあった。

「ホロン・ウィンスター――」

 彼女のちょうど真上、およそ五メートルの所に。

「どうせなら、君が死んでよ」

 先ほど秋風と共に消えた鉄骨の群れが、彼の周囲に現れる。

 ホロンが、目を見開くのがよくわかる。

 戦闘の開始と同時に彼女が秋風へと叩き込んだのは、彼女の異能『高念動力』によって手も触れずに操られた鉄骨の群れ。

 秋風は当然のようにそれを『複写』していて、今度はそれを『転写』する。

 空中に浮遊していた鉄骨や信号機の群れが、目にも留まらないような速度で、ホロンへと、何の滞りもなく降り注いでゆく。まるでそれは、赤茶けた雨のようである。


「鉄骨の雨あられってね」


 だが、その雨が、唐突に消え失せた。

 瞬間に開けた視界には、ホロンを庇うようにして立ちふさがるメローネの姿。

(自分だって物飛ばしできるんじゃん。まぁ、あの人ができなきゃ僕にはできないんだけどさ)

 なぜなら、彼の『複写転写』は、対象の異能を、異能者自身の能力の練度もろともに複写するから。

 つまり、相手がその能力を必死で突き詰めた、そのもっともおいしい状態で映し取ることができるのだ。

 冒涜的である。



説明は後々。

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