3β 3/3
男の娘って、なんかいいよね。
男の娘だろうとなんだろうと、彼らは電子音ジャンキー。
「とりあえず一回やってからかなぁ……行路も来てないんやし」
和馬はFPSゲームの前にいた。
プレイヤーの実際の視界目線で楽しむ射撃ゲームなどを総合して、FPSと称する。
和馬はゲームセンターで楽しむアーケード、家庭用の移植版、どちらも大好きだった。
提げていたカバンの中からゲームセンターで遊ぶ時のための小銭入れを取り出し、十枚で纏めた百円玉の束を二つ取り出す。
(一日で二千円摩るんもなぁ……でも最近こっちではやってなかったし、慣らしも必要やんね)
束の一つの纏めていたのを外し、一枚の百円玉を、筐体へと振り込む。
画面にカウントが現れる。
「さーて、やりますか。……鈍ってないとええけどなぁ」
右手に握っていたもう一枚の百円玉も、投入してしまう。
つまり、二人用のプレイだ。
和馬一人で。
筐体の大画面モニターに、大きくゲームスタートの文字が躍るのを確認して、和馬はバッグからあるものを取りだした。
それは、一昔前の航空機のパイロットが使っていたような、武骨なフライトゴーグルだった。
なんのためらいもなくそれを装着した彼は、備え付けの擬似銃を、片手に一つずつ、両手で二つ掴む。
カウントが、ちょうどゼロになり、画面モニターが明転する。
近未来的な、廃墟と化した都市の映像が現れる。
ゲームが始まった。