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虚飾の空  作者: 古村
灰色の序章
10/17

3β 2/3

格ゲーはとかく、ジャンキーになるとコイン残量の摩耗が半端じゃない。

強くなりたい、そんな電子音ジャンキー。


 そのブースとはまた別の一角。

 ここは、アーケード格闘ゲームブースだった。

 ある意味では最もゲームセンターらしい区域。それがここ、格ゲーブースだ。


 北島右京は、自他共に認める格ゲーマニアである。

「さて、今日はストレンジャー・ファイターズでもやるか。たしかツーの復刻版が……」

 財布の中に秘蔵しているバイトの給料のうち、二人の野口さんを投入して二十枚の百円玉を入手、財布とは別の、制服の右ポケットに入れてある小銭入れへと滑り込ませる。

 小銭の弾むジャラジャラという音が、どうにも、彼の汚染された感性を沸き立てる。

 手近な復刻版ストツーに目をつけ、嬉々として百円玉を投入するのだった。

(あとで行路のヤツも誘うかな。どうせ今はあのアニメのプライズに忙しいだろうし)


 そんなことを考える片手間で、愛用のキャラクターを選択する。

 復刻版になった際に、システムとの兼ね合いの都合などでこのキャラクターは少し弱化したのだが、それがまた、右京のゲーマー精神には心地よかった。

 本人はマゾヒストというわけではないのだが。このあたりは、ゲーマー個人の嗜好の領域だ。

「さて、軽くウォームアップしますかね」

 そんな彼の画面に、ある表記が、安っぽいエフェクトと共に踊った。

「挑戦者か」

 挑戦者システムとは言わずもがな、同じ種類のゲームをやっている他人と対戦できるという、この種のゲームのある種の醍醐味ともいえるシステムのことだ。

 彼の画面に、挑戦を受けるか受けないかの選択肢が揺れている。

 彼に言わせればこの瞬間の、体中に廻っていく闘志と高揚感がこの手のゲームを止められない理由なのだそうだ。

 

 迷わずに、受けるを選択していた。


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