次期侵攻作戦と総統の本気?
相も変わらずグダグダですねwすいません
同年9月21日―――
エリカはヒトラーと国防軍最高司令部の一室で話していた・・・
「報告?やっとイギリスに攻め込むのか?」
まだこのバカはそんな絵空事を言っているのか。しかも何だかとても楽しそうだ。目が子供のようにキラキラと輝いて見える。まったく、女――この場合はベルナデットだろう――にしか興味がないような奴の目が子供のようとは我ながらなんとしっくりこない喩えだろうか。そう思いながらエリカは口を開いた。
「まだ無理なのです。我が軍の航空機ではいくら頑張ってもロンドンはおろか、グレートブリテン島にすら届くかどうかというとこなのです。だから新型機の開発を急がせているのは総統も知っているはずです」
確かこの間そんなことを言ったはずだ。しかしこのバk…偉大なる総統閣下は覚えてないようだ。
「ん~?・・・あー…そういえばそうだった、かな?うん、そうだな!そんな事を聞いた気がするぞ!で、もう試作機ぐらいはできてるのか?なんなら総統命令で24時間働かせるぞ?」
「そんなことをしたら国民が怒るです。人と資源と領土がなければ戦争はできないのです。それと、新型機の完成はまだ時間がかかりそうなのです。」
エリカはこのバカに出来るだけ分かりやすく報告するためにきているのだ。決して漫才をするためではない。
「じゃあなんだ?フランスが降伏したのか?」
こいつは喧嘩を売っているのか。仮にも一国の指導者という立場の人間を殴るのはさすがに気が引けるのでここはぐっとこらえて言葉を発した。
「降伏どころか攻め込んですらいないのです。開戦と前後して計画を開始していた4号戦車の1号車ができたのです。これを西部戦線に配備するために量産を開始したいのでその許可をもらいに来たのです」
そう、開戦からわずか3カ月ですでに新たな主力戦車を完成させたのである。これでようやく西部戦線の防御も安定する。エリカやその部下は4号戦車の完成にしばらく拭えなかったフランスとの国境線の防衛問題が一気に解決すると考え安堵した。実際のところ、戦車の性能こそそれなりにあるとはいえ、肝心の戦車兵の慣熟訓練が終わっていなかったフランス軍としては4号であろうが3号であろうが勝てそうにないと考えており、事実その通りだったためにこの心配は杞憂に過ぎなかったのだが。
「新型戦車?あぁ、そういやそんな指示だしたんだっけなぁ。いーよいーよ、それで世界中の女が手に入るなら好きにやっちゃって」
ほんとに女のことしか考えない奴である。それに指示したのは私なのです。
「分かったのです。それと、次に侵攻する国はラトビアとユーゴスラビアにしたいのです。その作戦の許可も」
あとでまた来るのも面倒だし先に許可だけもらっておこう。そういうわけでラトビアへの北進およびユーゴスラビアへの南進作戦の許可を取ろうとした。エリカはこれも簡単に取れるだろうと思った、が
「ん?ラトビアとユーゴスラビアは正反対じゃないのか?同時進行すると兵力が分散されるんじゃないのか?」
な・・・!?そ、総統が、あの無能で女好きで救いようがなくてバカで二回ぐらいは死んでしまったほうがいいんじゃないかと思えるようなあの総統が、真面目な返答をした!?驚きを隠せないエリカの様子に気付いたらしいヒトラーは
「なんだエリカ、わしはもういっちょ前の大人なのだぞ。それくらいのことは学生の時に勉強したわ」
・・・冷静に考えてみればその通りだ。普通の人間なられくらい誰でも気づくことだ。しかしながら、あの無能で女好きで救いようがなくてバカで二十回ぐらいは死んでしまったほうがいいんじゃないかと思えるようなあの総統がそんなことを言うとは思ってもみなかったエリカにとっては、さながら黒船を引き連れて現れたペリーを見た江戸幕府の役人のような驚きであったのだ。
「で?どうなんだ?二正面作戦なんか取って本当に大丈夫なんだろうな?」
しょうがない、ここは真面目に答えよう。
「大丈夫なのです。幸いラトビアは隣国、エリトリアに侵攻したソ連軍に気を取られているのです。同じようにユーゴスラビアはハンガリーやルーマニア、ギリシャを警戒してスロベニア近辺は警戒が緩いのです。ラトビアにはポーランドに駐留している部隊の三分の一を、ユーゴスラビアにはおなじくポーランド駐留部隊の三分の一と本国からロンメル将軍の戦車軍団を投入するのです。これで兵力は十分なのです。ただ、ユーゴスラビアに侵攻する部隊には航空支援ができないので多少の損害はあると思われるです。これが今作戦、黒作戦の概要なのです」
「ふむ・・・。まぁエリカが言うのならばそれが一番いいんだろう。いいぞ、作戦の発令を許可する。わしもさっさと勝てるほうがいいしな」
「分かったのです。それじゃあ失礼するのです」
今日は驚嘆するようなこともあったけど滞りなく済んでよかったのです。さて、早速作戦の内容を詰めなければいけないのです。まったく、ちょっとは休みたいのです。そう思いながらエリカは部屋を退室した。
4日後・・・
「エリカ!エリカ!」
司令部にバカの声が響く。
「なんなのです?今ちょうど報告に向かおうとしていたところなのです」
「おう、そうか。いや何、そろそろ黒作戦発動かなと思ってな」
妙な所で鋭い男なのです。
「その通りなのです。それで、兵の士気高揚のために総統自ら将兵へ激励の言葉をかけてほしいのです」
エリカは人の心理をよく理解している。一国の権力者が自分を励ましてくれる。それだけで兵たちの士気はかなり上がるだろう。そう考え、しぶしぶこのバカに頼んだ。
「おう、いいぞいいぞ。それくらいいくらでもやってやる」
エリカはヒトラーのこういうところが指導者に向いているのだなと思った。まぁ、指導者にしては足りないものが多すぎるが。
「では今日の午後2時、あと3時間後に宿営地で演説をお願いするのです」
三時間後――――
兵士たちが直立したまま目の前にある壇上を見つめている。と、そこに一人の男が現れた。ヒトラーである。兵士たちは一斉に「「「「ハイル!」」」」と声を上げた。
ヒトラーが返礼するとまた兵たちは直立不動の姿勢に戻った。
ヒトラーは兵士一人一人を見るかのように周囲を見渡し、話し始めた。
「諸君。諸君らは偉大なる祖国のためにこれから南方へと出征する。諸君らは今まで過酷な訓練を乗り越えてきたつわものばかりだ。戦場は訓練とは違う。されど、諸君の力は戦場でも思う存分発揮できるだろう。諸君らの強みは、個人の強さと、仲間を思い、祖国を思い、家族を思う強靭な心である。その心を忘れなければ、諸君はたとえどんな死地へ向っても、必ずや生きて帰ってくるであろう。私は君たちの中の一人でも欠けることは望んでいない。私は諸君らが一人も欠けずまた生きて母国の土を踏めることを祈っている。最後に一言、諸君に進言しておこう。今回君たちの指揮官となるエルヴィン・ロンメル少将は実に優秀な指揮官である。彼の指示の通りに動いた軍が訓練で負けたことがないのは諸君もよく知っているだろう。今回の作戦では私が非力なばかりに航続距離の長い航空機がなく、航空機による増援が出せないのだ。諸君へのせめてものわびとしてロンメル少将に作戦の指揮をとってもらうこととした。安心してくれたまえ、先に述べたように彼の指揮する軍は負けなしなだけでなく、部下のことを何よりも優先的に考える、我がドイツ帝国の未来の英雄だ。彼がいる限り諸君は無敵の軍隊である。必ずや諸君に勝利を」
ヒトラーはこれで演説を終えた。壇上から降り、乗ってきた航空機へとヒトラーが戻って行く中、将兵たちは地鳴りのような歓声を上げた---―
「大成功なのです」
エリカは航空機に戻ってきたヒトラーに紅茶を出しながらそう声をかけた。
「みたいだな」
ヒトラーはそういうと目を細めた。どうやら彼も満足したようだ。
「これで将兵の士気も格段に上昇、作戦の成功は間違いないのです」
こうして『ラトビア・ユーゴスラビア侵攻作戦、通称黒作戦』は翌26日に発動されることとなる
次回はたぶん新キャラが出ると思います。というか思いたいです。
誤字脱字、感想などお待ちしています
次回「黒作戦発動」気長にお待ちください
3/7 誤字修正