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魔律界境 ―世界は魔力で出来ている―  作者: 真瀬 万知久
第二章 親善試合編

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第97話 隊長

「お待たせ!川魚とトマトのスープね!」


「あ、ありがとうございます。」


…机に置かれた料理を眺める。

美味しそうな香りに食欲をそそられる。


「ふふっ。」


声のする方を見ると、

ジーナが笑っていた。


「…なんだよ。」


「ふふっ、ごめんなさい、

さっきまでキリッとしていたのに、

料理が来たら急に顔が緩んでいたからっ。」


美味しそうな料理を前に、表情が変化していたようだ。


人間、食欲には勝てないと言うことだな。


小さく「いただきます。」

と言って、食事にありつく。


ジーナはまだおかしいようで

まだ、笑っていた。




「それで、どんな話だったか聞いても?」


「あー、うん。でも、内密にね。」


そう言ってジーナにトーラスさんから聞いた話をした。




「嘘でしょ…。」


やはり信じられないと言った表情だ。


「ニールスさん、隊長なんだ…。」


「そこかよ。」


まあ、気持ちはわからないでもないが、

驚きは僕以上のようだった。


「ジーナは隊長って何か知ってるのか?」


「えーと、基本的に冒険者っていうのはパーティを組んで仕事をするわよね?

でも、前線基地の規模じゃそうはいかない。人数が多いから、

だから隊長が起用されているんだけど、基本言うこと聞かないらしいのよ。」


「そうなの?」


「うん、まあ冒険者という特性上、仕方ない部分は多いけど。」


冒険者。

聞こえはいいが、資格があるわけでもない。

名乗ればなれる。だから、荒くれ者も多い。


魔物を倒すという目的が一致していても、

それらを束ねるのは、簡単な話じゃなさそうだ。


「だから隊長は、現場からの圧倒的な支持と、

現場指揮の能力を持った人しかなれないのよ。

隊長が死んだ部隊は、そのまま壊滅するって言われてるの。」


「そうなのか。」


「一応その上にも総監がいるけど、名前だけの飾りね。

ソラリス国のどっかの貴族だったはず。

だから実質的な指揮はほとんど隊長が取り仕切っているわ。」


そうなると、ニールスさんにとってもザイードの話は、

他人事じゃないのかもしれない。


…そりゃ、あの雰囲気にもなるか。


「それにしても、そんな人がこんなとこ居て良いのか?」


「んー、ユーリ先生と仲が良かったみたいだし、

色々あるんじゃない?」


「謎は深まるばかりって感じだな。」


「そうね。今度聞いてみようかしら。」


ジーナは少しご機嫌な様子で、

スープを口に運んだ。


ジーナは、ザイードよりニールスさんの方が気になるようだ。


…何だかザイードが気の毒になってきた。


…まあいい、

とりあえずザイードには、少しだけ優しくしてやろう。

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