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魔律界境 ―世界は魔力で出来ている―  作者: 真瀬 万知久
第二章 親善試合編

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第92話 姿勢

「じゃ、帰りましょうか。」


「あ、ああ。そうだね。」


ジーナと宿への帰路についた。


「そういえば、明日はどうすれば良いのかしら?」


「…というと?」


「エーテル・コロシアムに行くにしても、

いつ行くのかとかわからないじゃない?」


確かに、どうすれば良いのだろうか。


「まあ、その辺は戻ってからユーリ先生に聞こうか。」


「そうね……。」


…沈黙が僕らを包んだ。


先ほどのこともあり、

自分が少し緊張しているのがわかった。


恋人でもないのに、

女子の膝に長居してしまい、恥をかかせてしまった。


「…ねえ、今日のことなんだけど…。」


来たか、

名誉毀損による損害賠償。


魔法学校の補助金から賄えるだろうか。


そもそも、補助金で賄って良いのか。


退学、損害賠償、借金。


…もはや出せる手札はこれしかない。


立ち止まり、衣服を整える。


「…どうしたの?」


ジーナは怪訝そうな顔をした。


僕はジーナの方へ向き直る。


そして静かに膝をつき、

両手を地面につける。


そのまま額を地面に押し付けた。


「何卒ご容赦願えますと。」


誠心誠意の謝罪。


そう、土下座だ。


「…本当にどうしたの?」


ジーナの声色が暗くなっていた。


くっ、これでも足りないと言うのか、

さすが王族。


「私が聞きたいのは模擬戦のことよ。」


「え?」


驚いて、顔を上げる。


「え、って何考えてたのよ。」


「い、いや。違うなら良いんだ。少し勘違いしてた。」


すっと立ち上がり、衣服を再度整える。


「何をどう勘違いしたらそうなるのよ…。」


「まあまあ、で。模擬戦だっけ?」


どうせなら、

このまま忘れてもらった方が良い。


話を急かすように言葉を紡いだ。


「…まあいいわ。」


ジーナは少し間を置いて言った。


「さっきの戦い方だけど、続ける気なの?」


「あ、ああ。もちろん。」


折角自分なりのスタイルを手に入れたんだし。


最初から分かっていれば、

ジーナともう少し戦えていたかもしれない。


「…そう。」


ジーナは短くそう言うと、

僕を置いてスタスタと歩き始めてしまった。


…どうしたんだろうか。


少しだけ、

機嫌が悪そうに見えた。

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