第90話 強い力
「……。」
「どう思う?嬢ちゃん。」
考え込んでいるジーナに
ザイードは隣に座って、声をかけた。
回復したリオは少し離れたところで、
確かめるように体を動かしていた。
拳を握り、開き、
足を踏み込む。
少し、楽しそうに。
「そうですね、リオの言うことは間違っていないかと思います。」
「そうじゃねぇ。」
ザイードは首を振った。
「それでいいのかって話だ。」
ザイードの言葉に、
ジーナは、先の戦闘を思い返していた。
〈エンソウ〉が体に刺さりながら、
リオがこちらに向かって来た時、
私は怖かった。
決して勝たなきゃ行けないような状況じゃない。
本来のリオであれば、あっさり引き下がるような状況だった。
ただ仮説を確かめるために、
魔法に自ら身を投じてしまえる。
その強さに、
人としての一線を越えかけている気がした。
「…でも、今に始まった事じゃないわよ。会った時からそうだったし。」
「ほお?」
「王族の私に人類平等を説いていたし。」
ザイードは驚いていた。
「…王族だったのか。」
どうやら、そっちに驚いたらしい。
「…名乗ってはなかったわね。ジーナ・ソラリスよ。」
「ソラリスってことは隣のソラリス国か。なんでリオといるんだ?」
「同じ学科にいるから、私とリオ、2人だけの。」
「そうかよ。親善試合といい、よくわからんな。お前ら。」
本当、どんな因果でこうなったんだか。
私にもよくわからない。
「その辺はいいでしょ。」
「そうだな。ジーナはどうして欲しいんだ?」
ザイードに言われ、ジーナは答える。
「そりゃ…。辞めてほしいわよ。」
きっと、いや必ず、
今よりも無茶な使い方をしてしまう。
そんな気がするから…。
「でも、どうすればいいのか…。リオ、楽しそうだし。」
向こうのほうで、
リオはまだ体を動かしていた。
「ま、新しい力を手に入れたら試したくなるもんだな。ガキだからな。」
ザイードはそういいながら、
立ち上がった。
「リオは違うでしょ。そんな単純な人じゃないと思うけど。」
「言動に惑わされんなよ?リオはまだガキなんだからな。」
そういって、ザイードは楽しそうに笑った。




