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魔律界境 ―世界は魔力で出来ている―  作者: 真瀬 万知久
第二章 親善試合編

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第87話 普通の

…何となく背中に圧力を感じる。


頭の下には、少し高めの枕。


だが、肌に感じる風が

ここが外であることを告げていた。


ぼんやりした意識の中、考える。


…僕は何をしていたんだっけ?


…もしかしてまたエールを飲んでしまったのか?


いやいや、流石にそこまで愚かではないはず…。


…そうだよね?多分…きっと…。


…まあ、あれこれ考えても仕方がない。


目を開けようとしたが、

眩しさに目がくらんだ。


赤く染まりかけた空が一瞬目に入る。

どうやら夕刻が近いみたいだ。


「あ、起きた。」


眩しさに慣らすようにゆっくり、もう一度目を開ける。

すると視界の横からジーナが顔を覗かせていた。


…この角度、

そして外にも関わらず枕があることから推察するに、


「…何で膝枕?」


努めて冷静に、ジーナに問う。


思春期の少年には刺激が強い。


心臓は早鐘を打ち始めていた。


「魔法使いはこうした方が回復が早いのよ。」


何だその民間療法。


「…それ、誰に聞いたんだ?」


「ザイードさん。」


頭を動かしてザイードの姿を探す。


少し離れた向こうの方で、

ザイードはこちらを見てニヤニヤしていた。


…あの野郎。


「…ザイードが魔法使いの療養方法なんて知ってるわけないだろ。」


「え!?」


ジーナも気が付いたようで、ザイードに視線を向けた。


「……まあ、もういいよ。ありがと。」


体を起こそうとするが、力が入らない。


どうやら魔力が切れたようだ。


「悪い、体が動かないから足どかしてくれ。

その辺に寝るから。」


「…いいわ、このままで。魔力切れの人を放って置けない。」


了承されてしまった。


…沈黙が流れる。


先ほどより頭は冴えてきているはずなのに、

何も考えられない。


「…何見てるのよ。」


ふと、ジーナを見てみると、

顔が、夕焼けと同じ色に染まっていた。

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