第86話 異質
「ちょっと!大丈夫!?」
突如として倒れたリオに、
ジーナは駆け寄った。
「待て、俺が見る。」
明らかに動揺しているジーナに対して、
ザイードは冷静だった。
リオを観察、触診を始める。
「脈は…ある、呼吸も、問題ない。」
ザイードは手慣れた様子で、確認を続ける。
「ひとまず大丈夫だ。」
ジーナはホッと、胸をなでおろした。
反面、ザイードは自分で言って恐怖を覚えていた。
何で問題ないんだ…と。
ジーナの魔法によって貫かれたリオの体は傷一つ無かった。
「…魔法使い的にはどう見る?」
ザイードは魔法の知識が無いため、
ジーナに問う。
「魔法使いには、魔力抗体があるので、
魔法に貫かれたからといって貫通しているわけじゃありません。
もちろん、魔力を持たない普通の人間は貫いてしまいますが…。」
先ほどより少し冷静になったジーナは答えた。
なるほどな。
見た目ほどのダメージは
入らないってことか。
「でも火傷一つ無いのは…。はっきり言って異常です。」
ジーナの様子を見る限り、
まともな事態じゃないらしい。
「だが、リオは確信してたみたいだぜ。」
だからこそ、
降参じゃなく前に出たんだろうしな。
「それは…分かりません…。」
ジーナはリオを見て落ち込んでいた。
分からないことではない。
自分の魔法で
リオを倒してしまったのだから。
「…本人に聞くしかないようだな。」
…さっさと目を覚ませよ。馬鹿が。




