第79話 目標
「それってどういう意味ですか?」
ニールスさんとは少ししか話していないが、
年齢的にはザイードの方が上だろう。
「お、気になるか?じゃあ、また飲みに行こう。」
「…気にならないのでいいです。」
「何だよ、つまんねえな。」
まあ、よく考えなくても、
ニールスさんの方が大人っぽい。
それに、昨日の二の舞はごめんだ。
川から上がり、タオルで体を拭く。
もう少し浸かっていたかったが、
ジーナを待たせるわけにもいかない。
「意外といい筋肉してんじゃねえか。まだまだ発展途上だけどな。」
「…ありがとうございます。」
サッと服を着て、
ジーナの所へ戻る。
ザイードは後ろを付いてきた。
「リオは冒険者になりたいのか?」
「いえ、特には。」
「じゃあ、何になりたいんだ?」
「…いえ、特には。」
「目的もなく鍛えてるのか?魔法使いなのに?変な奴だな。」
「…そりゃ、どうも。」
本当にどこに向かっているのだろうか。
「ま、強いに越したことはないからな。
目標があるやつが偉いわけでもねぇし。
俺も最初に剣を握ったときは、ただ魔物をぶっ殺したいだけだったしな。」
「そうなんですね。」
そんな話をしながら、
茂みを掻き分けて進むと、視界が開け、
先ほどの広場に出た。
辺りを見渡すと、ジーナの姿が目に入った。
指先に集めた魔力を、小さな球のように浮かべている。
魔力操作の訓練をしているようだ。
「ザイードさん。少し待っていましょう。
ジーナは集中力がいる訓練をしているので、」
「あいよ。それとザイードでいい。昨日も言ったろ?」
「あ、はい。」
…昨日は本当に何があったんだろうか。
知りたいような。忘れていたいような。
相反する気持ちが押し寄せていた。




