第78話 川辺にて
「ごめんジーナ、僕も体を流してくるよ。」
「ええ、行ってらっしゃい。」
ジーナに断りをいれて、
ザイードの後を追う。
茂みを掻き分けて進むと、
川にたどり着いた。
流れは穏やかで、川面は太陽の光を受けて揺れ、
細かな波紋が絶えず岸へと押し寄せていた。
水が石を撫でるような、さらさらという音が静かに響いている。
そんな神秘的な情景の中、
「お?どうした?」
ザイードは全裸で川に浸っていた。
…まあ、目的は一緒だから文句も言えない。
「昨日から何もしてないので、
先に水で流したいんですよ。」
「なるほど、
まあ、嬢ちゃん待たせるわけにもいかないからな、
早めに出ろよ。」
そう言いながら、ザイードは体を起こし、
川から出てきた。
ザイードの肉体が目に入った。
その鍛え上げられた肉体には、歴戦を思わせる無数の傷が刻まれていた。
どれも浅いものではない。死線を越えてきた者の傷だ。
「…。」
気になるところではあるが、
ザイードの言う通り、ジーナを待たせるわけにはいかない。
手早く服を脱いで、川に浸かる。
思ったよりも温度は低くなく、心地が良い。
「はぁ~。」
全身の力が抜けていく。
「いいだろ?ここ、結構穴場なんだぜ。」
「そうなんですね。」
確かにいい景色で、流れも穏やかだ。
僕ら以外、誰もいないのが少し不思議だ。
「そういや、リオ達は何でここに来たんだ?知ってる奴は少ないはずだが。」
「ニールスさんからの紹介で。」
「ニールスか…まだ生きていたとは。」
「知ってるんですか?ニールスさんは他人行儀な感じがしましたけど。」
「…あいつは大人だからな。」
ザイードを見ると、
懐かしむように空を見上げていた。




