第75話 目的
いい加減に、向き合わないとな。
二階に上がり、
ジーナの部屋に向かう。
部屋に近づくにつれて、足取りが重くなっていく。
こんなにも足取りが重いのは初めてだ。
こんなことなら、ユーリ先生にしごかれている方がよっぽどましだ。
扉の前に立つ、
…もうなるようになれだ。
コッコッコッ
意を決して扉をノックする。
「はーい。」
ジーナの声が響く。
「えっと、その、リオだけど、今いいかな。」
…沈黙が流れる。
「…うん。どうぞ。」
了承を頂いたので、
扉を開ける。
ジーナはベットに座っていた。
傍らに本が置いてあり、栞が挟んでいる。
何か読んでいたようだ。
「あ、その、ありがとう。時間くれて。」
「いいわよ、全然。そこに座って。」
ジーナに促されるまま、椅子に座る。
「それで、どうしたの?」
ジーナに聞かれる。
思いの外優しい声色に、少し安心した。
「その…」
…なんていえばいいんだ。
いきなり「飲んだくれて寝てました。」なんて言っても、
意味が分からない。
かと言って謝るのも違うみたいだ。
結局何も言い出せず、口ごもっていると、
「…リオ、リオは今、何がしたいの?
それだけ教えてくれないかしら?」
ジーナは神妙な面持ちで
僕の顔を覗く。
…何がしたい…か…
「ジーナと仲直りがしたい。」
「プッ…フフフッ。」
笑われてしまった。
まあ実際、
親善試合なんて、勝とうが負けようがどうでもいい。
でも、尊敬する彼女に嫌われたままなのは耐えられない。
「真面目な顔で、何子供みたいなこと言ってるのよ。フフフッ」
「仕方ないだろ、これが本心なんだから。」
気恥ずかしさから、顔を背ける。
もし拒絶されたらどうしようという恐怖は、まだ胸の奥に残っている。
だが、これが自分の気持ちなのだと思う。
…返事がない。嫌な間が続く。
視線を恐る恐る戻す。
「…そうね、私も!」
そこには、以前と同じ、
太陽のような笑顔があった。
その笑顔を見た瞬間、胸の奥の重りがようやく外れた気がした。




