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第70話 代償?
痛っ。
頭の奥が、鈍く重い。
…あれ、なんだ。
何があった。
いつの間にか寝ていたようだ。
体を起こし、周りを見渡す。
…ここ、どこだ?
見たところ、
どこかの道の端のようだ。
先ほどまでの記憶を探る。
思いの外エールは口に馴染み、
追加で飲み進めていた。
少し気分が良くなっていた。
そこまでは覚えている。
…そこまでだが。
「あー、何だっけ?ザイードは…居ないか。まあいいや。」
一旦宿に戻るか。
意を決して立ち上がる。
服が少し汚れていた。
……金、減ってないよな。
ポケットを確認するが、変化はない。
ザイードは普通に奢ってくれたようだ。
重い体を引きずりながら、
宿への道を探す。
「マジでどこだ。」
そういえば、昨日は訓練を少ししていた。
そこから〈ノミナ〉までは近かったはずだ。
そして訓練場所は、宿にも近い。
忘れかけていた記憶を繋ぎなおし、
歩みを進める。
少し遠回りしたが、見覚えのある道を見つけ、
宿へ着いた。
「やっと見つけた。」
扉を開き、階段を上がり、
鍵を開け、ベッドに身を投げ出した。
何はともあれ、疲れた。
目を閉じると、
また直ぐに意識が遠のいていくのを感じた。
――どこかで、誰かが笑った気がした。




