第7話 戦う場所
「本当に私がやるんですか。」
「しつこいぞユーリ君、覚悟を決めたまえ、もう言っちゃったんだし。」
校長室には、夕暮れの光だけが差し込んでいた。
その中で、二人の男が話をしている。
「君があの事件について執心しているのもわかる。だが、やることをやってからだ。何年経っていると思っているんだ。」
「……僕らにとっては何年か前の話だったとしても、彼女はまだ戦っているんです。」
沈黙が落ちた。
「…それは君の希望的観測に過ぎない。いい加減、前を向きたまえ。昔の君はもっと苛烈だったのに。」
「……」
ユーリは下を向き、奥歯を噛み締める。
「別に君の邪魔をしようとしているわけではない。彼らから得られる物もきっとある。先にも話した通り、君の力が必要なんだよ。」
校長は、肩を叩いて去っていく。
「待ってください。授業の内容は私が決めて良いんですよね。」
「もちろん。君に一任する。」
ユーリはすこしほっとしていた。
これならまだやりようがある。
「釘を刺してくけど、時間が惜しいからって課題だけ渡して放置してたら本気で怒るからね。」
「さ、流石にそこまで適当しませんよ。」
一瞬浮かんだ案を即座に否定され、ユーリはたじろぐ。
「どうかな。昔の君を見てきたから、どうしても疑り深くなってしまう。」
「そんなに悪いことしてましたか?」
「破天荒だったからね。本来の意味で。」
褒められているのかよくわからない。
「分かりました。行き詰まっていたのは正直なところですし。」
「期待しているよ。ユーリ君」
校長はその“期待”が、何を指すのかは言わなかった。




