第65話 証明
「…この辺りかな。」
ニールスさんに紹介してもらったルートを辿って行くと、
少し開けた場所についた。
手頃な広場といった具合だ。
色々試すには好都合だった。
「といっても、やることないんだけどね。」
いつも通り、50mを計った。
少し体をほぐしてから、全力で走った。
「ハァハァ、フー。」
初めは忌々しかった肉体の悲鳴も
いつの間にか、いつも通りを教えてくれる安心感に変わっていた。
「いい走りだな。」
呼吸を整えていると、少し離れた所から声がした。
声のする方を向くと、
腰に剣をぶら下げた男が、そこに立っていた。
剣士のようだ。
…どこかで見たことがある気がする。
「はあ、ありがとうございます。」
何となくお礼を言う。
「何度も繰り返し走っているのが分かる。何のためにだ?」
剣士は訝しげに問う。
「何のためにって、」
「走りが速くて得するのは泥棒って相場が決まってんだよ。」
剣士に疑いの目が濃くなる。
剣の鞘に手をかけた。
何だか知らないが、何もしてないのに泥棒扱いされている。
とんでもない誤解だ。
少し面倒になってきたが、ここは素直に答えるとしよう。
「何のためか、ですか。強くなるためですかね。」
「ほお、じゃあ何で剣を振らねぇ?買う金もないのか?」
「僕は魔法使いなので。」
そう言うと、剣士は鼻で笑った。
「んなわけないだろ、魔法使いは体を鍛えない。ガキでも知ってるわ。
それに魔法使いは王権貴族がほとんどだ。お前どう見ても孤児院出身だろうが。」
……やっぱり、分かるのか。
どれだけ取り繕っても、孤児院育ちは隠せないらしい。
「ガキが泥棒の上に噓つきとは。世も末だな。」
「信じるかどうかはお任せします。僕にはあなたを説得する意味が無いので。」
「んだと?」
あ、しまった。
少し感情的になり過ぎた。
剣士はゆっくりと剣を抜きながら、
こちらに近づいてきた。
「じゃあ、証明してもらおうか!?魔法使い!」




