第62話 感想
エーテル・コロッセオの外に出ると、
ニールスさんがお出迎えをしてくれた。
「どうだったんですか?あのザイード・クレストが出場してたんですよね?見たかったなぁ。」
ニールスさんは試合の内容が気になるようで、
ユーリ先生に問いかける。
「魔法使いの勝ちだよ。ロドリック・ヴァルトとかいってたかな。」
「あー、最近出てきた魔法使いですね。
強いんだけど、何というか、覇気がないんですよね。」
「そうでもないさ。最後自分から近づいて魔法を使っていたし。将来有望な魔法使いだ。」
「彼は囚人ですよ。お先真っ暗でしょ。」
ニールスさんとユーリ先生がいつも通り会話を繰り返す。
先ほどまでの非日常から日常へ戻ってきたようで、
少し安心した。
「ユーリ先生。この試合を私たちに見せて、どんな意味があったんですか?」
それまでずっと無言だったジーナが質問をする。
「色々あるけど、現場馴れしてほしかったのが一番かな。」
ユーリ先生が答える。
「…そうですか、ありがとうございます。」
ジーナは伏し目がちに礼を言い、
すぐに引き下がった。
…明らかに様子がおかしい。
だが、やはり先日の事がある為、なんて声をかければいいのか。
僕には分からなかった。
「それじゃ、親善試合の当日まで自由行動で。聞きたいことがあればニールスに聞いてくれ。」
そう言ってユーリ先生はまた、街中に消えていった。
結構放置されるな。
「あの、ニールスさん。」
「ん?どうしたリオ君。」
「宿舎の近くで訓練出来る場所ってありますか?」
「あー、それならいい場所があるよ。」
そう言ってニールスさんは地図を広げた。
「ここが宿舎で、近くにこの川があるから、
川沿いに少し北上すると、この場所に広場があるから。
ここなら誰も来ないし大丈夫。」
「ありがとうございます。行ってみます。」
今の状態で、ジーナと二人っきりは避けたかった為、
そのままの流れで、僕はすぐに向かった。
逃げているのは分かっていた。
声をかけるべきだとは思った。
だが、その一歩がどうしても踏み出せなかった。




