第58話 エーテル・コロッセオ
翌朝、宿を出ると、ジーナが立っていた。
「おはよ。」
「あ、ああ。おはよう。」
…沈黙が僕らを包んだ。
謝れば良いのかも知れないが、自分が悪いとも思えない。
正しい行動が分からないまま、時間だけが過ぎていく。
それに、そこまで僕は大人になれなかった。
「おはよー、ってどうしたの?なんか暗くないか?」
振り返ると、そこにはニールスさんがいた。
「いえ、別に、なんでもないですよ。」
「そうなの?まあ、なんにせよ仲良くね。チームメイトなんだし。」
そんなこんなしていると、ユーリ先生がやってきた。
「お待たせ。じゃあ、向かおうか。」
いつも通りな先生を見ていると、些かホッとする。
「エーテル・コロッセオですよね、どんなところなんですか?」
「この国一番の闘技場だ。通常なら、各所の闘技場を勝ち抜いた選手が出場する場所だ。」
「なるほど、実力と人気がある人しか出られない場所ということですね。」
「ああ、ルールについては至極単純だが興行がメインだから、暗黙のルールもある。その辺は後で伝える。」
「なんで詳しいんですか?もしかして出てました?」
「ああ」
…もはや驚かなくなってきた。
「カインズ前市長との賭けでね。おかげで色々融通して貰えて助かった。」
「そういえば、会えたんですか?そのカインズ前市長とは。昨日用事があるっておっしゃっていましたよね。」
ユーリ先生は少し間を置いて、答えた。
「いや、見つからなかった。まあ、自由な人ではあるから、そのうち会えるだろう。」




