第56話 決めること
「それで、もう半分は?」
民芸品店『ツクリテ』で気に入った商品を購入し、ご機嫌なジーナに尋ねる。
「もう半分はね、家族へのお土産。」
「…喜ぶのか?」
王権貴族の住まいが、実はどこかの部族人形で埋め尽くされていたら…。
少しどころか、かなり驚く。
「喜んでくれるわよ、失礼ね。そりゃ全員じゃないけど。」
「そうなのか。よかったな。」
「ええ、じゃあ次はリオの番ね。どこに行きたい?」
「僕はいいよ。少し散策したかっただけだし。」
「遠慮しないでよ、ほら孤児院のみんなにとか。」
「まあ、それも考えたんだけど、食べ物じゃないと、あまり良くないんだ。」
孤児院は公的機関だ。
そのため、各地の施設に大きな差が出ると、不満が出てしまう。
それに孤児院のみんなと言っても、今後人は入れ替わっていく。
いつまでも僕が未練がましく残るようなものを残していくのは、よくないだろう。
「そんなの関係ないじゃない。あなたの家族なのよ?」
「そう言う訳にもいかない。そのせいで迷惑がかかるかも知れないんだ。」
「…みんな喜ぶわよ。」
「だからこそだよ。それに公の人に言われたくないんだが…。」
「何よ、その言い方。」
「…事実だろ。」
後になって考えてみると、この時は少し冷静じゃなかった。
おそらくだが、家族のことを簡単に扱われたことに苛立ちを覚えてしまったようだ。
「私が決めたんじゃないし…、だから買いなさいよ。」
「そうだな、ジーナが決めることじゃない。だから買わない。」
それで話は終わった、はずだった。
ジーナの方を見ると、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
「…先に戻る。」
居た堪れなくなり、足早に宿に戻った。
…僕は一体、どうしたかったんだろうか。




