表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界は魔力でできている  作者: 真瀬 万知久
第一章 入学編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/59

第51話 ヴァレンス連邦

厩舎から、市街に向かって歩いていた。


市街に近づくにつれて、人の声が響いていた。

街全体がざわめいている。そんな印象だった。


「何だか騒がしいな、何かあったのかな。」


「いつも通りよ。ここはこれが普通なのよ。」


市内へ入る門をくぐると…、


「…お祭り?」


「普通よ。」


もう一度ジーナに聞いてみるが、

帰ってくる答えは変わらなかった。


呼び込みの声、値を叩く声、笑い声が重なり合った声が響いていた。

聞き慣れない訛りも混じっている。


露店に目を向けると、並ぶ品は統一感がない。

鉱石、香辛料、保存食、魔導具の部品。


――売れるものなら、何でも集まる。

といった具合だ。


「…住めば都っていう言葉を初めて噓だと思ったよ。」


「え?何?聞こえないわよ。もっと大きな声で!」


意思疎通すら憚られる。


もう帰りたい。


「散策は後でね。先ずは市長に挨拶だよ。」


「…どうしてですか?」


「間借りして親善試合を行うからね。本当は宿に荷物を置いてから、と思ってたんだけど、

先に済ませた方が後が楽だから。一応、失礼のないようにね。」


ユーリ先生からの言葉でハッとする。


「…リオ、もしかして忘れてた?」


「いやいや、まさか。ハハハ。」


色々あって頭の片隅に保管していただけだよ。


…ホントだよ?







ユーリ先生に着いて歩いていると、

とある立派な館の前で足を止めた。


ユーリ先生は迷いなく扉を開け、中に入っていく。


扉をくぐると、

絵画や彫像といった装飾品の数々が、目に飛び込んできた。


金銭的に裕福であるという事が一目で分かった。


見慣れない光景にたじろいでいると、

ユーリ先生は一直線に受付向かい、

受付のお姉さんに声を掛けた。


「カインズ市長に繋いでください。」


「…その、あなたは?」


「ソラリス国から来ました。ユーリが来たとお伝えしていただければ伝わるかと。」


「国外からの方ですか、要件をお聞かせください。

それと、そちらの国は知りませんが、

名乗るなら家名まで名乗るのが礼節だと、ご存知でしょうか?」


高圧的な態度に驚いていると、

ユーリ先生は、ため息をついた。


「そちらこそ、何も知らないようですね。」


「…どういう意味ですか?」


「私たちはソラリス国の代表としてここにいます。

迎えにも来ず、ここまで足を運ばせているという現状に危機感を覚えていない。

その上で、私に不要な家名を名乗ることを強要している。

その態度が、ヴァレンス連邦の総意という理解でよろしいでしょうか?」


先ほどまでのユーリ先生からは想像がつかないような高圧な様子だ。

相手にダメージを与え、制圧するためだけに紡がれている言葉。

冷たい視線、いかにも不機嫌という態度。


正直、怖い。


受付のお姉さんもただ事ではない状況と理解した様子で、

少し震えていた。


「もう一度だけ言います。カインズ市長に繋いでください。」


丁寧にお願いをしているのに、背筋が凍る。


「いやいや、申し訳ございません。代わって私がお詫び申し上げます。」


階段の上から声がした。

目を向けると、市長と呼ぶには若く、

小奇麗な装飾品に身を包んだ人物がそこに立っていた。


「…あなたは?」


「初めまして、タリスキと申します。カインズ市長は先日退任されました。

現在は私が市長をしております。」


「…そうですか、道中の検問官にもお伝えしましたが?」


「それは申し訳ございません。私も急な就任で確認が遅れてしまいまして。

厩舎へ迎えは行ってもらったのですが、入れ違いになってしまったようです。

大変申し訳ないのですが、ここは私の顔を立てていただけないでしょうか。」


そう言いながら、こちらに目を向ける。

値踏みするようなその視線に反射的に顔がこわばった。


「…そういうことなら、分かりました。」


ユーリ先生は納得した様子で矛を納めた。


終始圧倒される状況に、

もはや何が起きているのか、僕には分からなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ