第45話 遠征
そして一週間後、
遠征当日。
「それじゃ、出発だ。馬車があるから。こっちね。」
ユーリ先生の引率の元、
馬車のある場所へ向かう。
「親善試合ってどこであるんですか?」
ジーナがユーリ先生に訊ねる。
そういえば、聞いてなかったな。
「ミトレス国との中間にある、ヴァレンス連邦だ。」
ユーリ先生は答える。
「ヴァレンス連邦と言ったら、ミトレス国との中間ですね。」
「色々警戒しなきゃいけないからね。そこに頼んだらしい。」
「ヴァレンス連邦は何があるんですか?」
僕は名前しか知らなかった為、聞いてみる。
「基本的には商業が盛んね。
ソラリス国は海岸沿いで海の幸や食物が豊富、ミトレス国は鉱物資源が豊富、
ヴァレンス連邦はその仲介を主にしているわ。」
ジーナが答える。
流石王女、交易の知識も豊富なようだ。
「なるほど、いかにも中立っぽい感じですね。」
「ああ、だが、彼らも世界の情勢を危惧している。公式には残らない程度には二枚舌だろう。」
ユーリ先生がそう告げる。
「…どうしたんだい?」
少し驚き、口を噤んでいると、
先生が不思議に思ったのか、僕に問いかけてきた。
「いえ。何というか、意外でしたので、先生が外交を気にされているのが。」
「それもそうね。研究ばっかりで俗世離れしてる人、って印象だったわ。」
ジーナも同じだったのか、同調して答えた。
ユーリ先生は少し不服そうに答える。
「そこまで常識知らずじゃないよ。
むしろ世界情勢は研究者にとって必修項目でもある。」
「どうしてですか?」
ただ研究をしていれば良いといったイメージだったが。
「研究者の使命の一つは、問題を解決することでもある。
世界情勢を知らなきゃ、何が求められているのかも分からない。
目的があるから研究になるし、予算も降りる。
……まあ、正直面倒ではあるけどね。」
頭を掻きながら先生は答える。
ただ楽しく研究をしているわけではないらしい。
意外と大変そうだな。
「なるほど、そういうもんなんですね。」
「ああ。」
「…先生の研究って何ですか?」
先日のジーナとの会話を少し思い出し、
先にユーリ先生に聞いてみることにした。
「無生物の魔力制御方法の確立だね。」




