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世界は魔力でできている  作者: 真瀬 万知久
第一章 入学編

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第44話 隠し事

とある場所にて、二人の人影が話をしていた。


「お、お久しぶりです。」


「ああ、」


男は黒い壁に手を添える。


「何か変化はあったか?」


「依然として、特に変化は起こっていないです。」


「そうか…。」


男は安心したような。

落胆したような様子だった。


「来週から遠征になった。少し離れるが、何かあったら首尾通り合図を頼む。」


「それはぜひに。正直何とか出来る気がしませんので。10秒も持ちませんよ…。」


「3秒で来る。」


「相変わらず冗談に聞こえない所が凄いです。頼りにしてます。」


「ああ。」


男は変わらず、黒い壁に手を添え続けていた。

何かを確かめるように、はたまた祈るように。




しばらく時間がたった後、ようやく手を放した。


「じゃあ、後は頼んだ。」


そう言って男は立ち去った。











「怪しいと思うのよね。あの手袋。」


食堂〈ツクリタテ〉にて、ムオライスを食べていた所、

ジーナからそんな話を聞かされる。


「なんだよ、突然。」


「ユーリ先生のことよ、もうすぐ夏よ?暑いのに、ずっと手袋してるじゃない。」


「…寒がりなだけじゃないか?」


「いえ、にしては一度も外してるの見たことないのよ、戦闘中もよ?」


「戦闘中は余計に必要だろ。」



……答えが返って来なかったので、ジーナの方を見てみると、

むすっとした表情をしていた。


「まあ、紅茶を飲むときもつけっぱなしだったな。確かにおかしい。」


少し適当に返事をし過ぎていたようだ。

フォローしつつ自分も変だと思う部分を指摘してみる。


…どうだ?


「…そうでしょ?」


ギリギリセーフだったようだ。


「ジル兄と〈クルマイス〉を作ってたみたいだし、

何かしらそういう武器を作っててもおかしくないと思うのよね。」


「……〈クルマイス〉ってのはあの車輪のついた椅子のことか?」


「そうよ。というか知らなかったの?」


「名前は聞いてなかったな。」


やはりユーリ先生とジルさんの合作のようだ。

あの二人がタッグなら、きっと何でも成し遂げられるだろう。


「興味あったら、今度ジル兄に聞いてあげて?」


「いいけど、なんで?身体的な問題だから、スルーしていたんだけど。」


「…はぁ、ジル兄が可哀想だわ。」


何かがっかりされている。

僕にしてはデリケートな問題を華麗にスルーしたというのに。


「あのね、研究者は自分の発見を自慢したい生き物なのよ。しかも歴史上初めての大傑作。

聞いたら満面の笑みで、よだれたらしながら教えてくれるわよ。」


…個人的にそんなジルさんは見たくないが…。


「分かった。機会があれば聞いてみるよ。」

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