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世界は魔力でできている  作者: 真瀬 万知久
第一章 入学編

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第42話 思考品

――僕の主観が答え、か。

そんなことを学者が言うとは、少し面食らってしまった。


誰にも研究されていない領域ではある。

だから文献にも何も残っていない。


ジルさんは、期待しているのかもしれない。

学ぶ者として、新しい解釈に。


「…少し気になっていたことがあるんです。」


そんな期待に応えられるかわからないが、

前から引っかかっていた問いを、ぶつけてみよう。


「ほう?」


「確かに僕は魔力が低下しました。そのはずです。ですが、僕自身に何も変化がないんです。」


「ん?すまない、どういうことだ?」


――本当に、何を言っているんだ僕は。


「すみません、思ったままを言い過ぎました。整理します。」


「全然いいよー。そうだね、少し紅茶取ってくるよ。」


そう言って、ジルさんは車輪のついた椅子を転がして、紅茶を取りに行った。

そういえばあの変な椅子は親友と作ったと言っていたな。

…ユーリ先生なのだろうか。


いやいや、

気を遣わせて席を外してくれたジルさんに、

自分の思っていることをちゃんと説明しなければ。




…少し時間が経ち、ジルさんが戻ってくる。


「はい、紅茶。使用人が入れてないから、味の保証は出来ないけど。」


「あ、ありがとうございます。」


本当は作法などあるのかもしれないが、

もはや適当に答えるという失礼をしているので、

気にせずに口に運ぶ。


「…美味しい。」


「ふふん、ありがとう。で、どうだったかな?」


「はい、ジルさんもそうだと思うのですが、魔法を使えば疲れますよね?」


「それはもちろん。疲れるし、何となく気持ち悪くもなる。」


「魔力を使えば低下する。であれば僕はなぜ平気なのでしょうか、魔力が低下しているのにも関わらず、です。」


「……確かに。」


「鍛えること以外で魔力が低下する例として、有力なのは加齢です。

ですがそれは、生物として、明確な不調が現れます。」


「ああ、でも君は不調など感じておらず、むしろ身体能力は向上している。」


「…はい。」


先ほどまでのジルさんとは打って変わって、

真剣な表情になっていた。


先輩として、王族として、

今まで自分より上の人だと思わされてきた人が、

自分の問いに真剣に考えている。


ようやく、ほんの少しだけ近づくことが出来たような気がした。

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