第39話 勉強
魔法学校に戻り、寮で荷解きをした。
時計を見ると、まだ時間があるようだ。
少し調べたいことがあったため、図書館へ向かった。
図書館の扉を開けると、
「お、また来たね。」
休日にもかかわらず、
そこには車輪のついた椅子に座ったジル・ソラリスがいた。
「こんにちは。ジルさん。」
「こんにちは。リオ君、相変わらず調べ物かな?」
「はい、引き続き魔力制御について。」
相変わらず、ジーナの魔力操作は上達しなかった。
そのため何か文献が無いか、先日から調べにきていた。
「あれから僕も少し調べたけど、ラッセルの文献が良かったよ。理論寄りだけどね。あの棚にある。」
「ありがとうございます。」
「いいってことよ。」
いつも通り王子とは思えない軽快な態度で話を進める。
いや、むしろこの親しみやすさが王族足らしめているのかもしれない。
ジーナも似たようなものだし。
「というか、魔力制御についてなら、ユーリ先生に聞けば良いんじゃないか。」
そんなことを思いながら、ふと思った事を口にする。
何千というレベルで魔法を駆使しているなら
僕よりも適任ではないか。
「あー、それは無理なんだ。」
ジルさんは頭を搔きながら答える。
「ユーリは魔法が体内に依存し過ぎていてね。魔力を出すことに関して言えば、簡単な魔法ですら使えないんだ。」
「え、そんなことあるんですか?」
遠距離の魔法は使えないとは言っていたが、
そこまで致命的なレベルとは思わなかった。
「ユーリ自身が言っていたことだよ。体外の魔力操作については何も出来ないって。体内循環率が高いとか何とか。」
ユーリ先生の魔法はそれだけ代償が大きいようだ。
「魔力を飛ばすとか、放出系の魔法は使えない。ということですか?」
「ああ、でもあまり気にしていないようだよ。走った方が早いから。」
……代償が機能していない。
「まあ、だから自分で調べるのがおすすめだね。僕もあまり得意じゃないから…。ごめんね。」
「いえいえ、助言、ありがとうございます。こちらも調べがいがあります。」
そう言って礼をし、
ジルさんに教えて貰ったラッセルの文献を探しに向かった。
周りを見渡すと、図書館というのに意外と人の声が響いている。
先生に教えてもらうのが難しい為、学生同士で教えあっているようだ。
少なくともここでは教えあうのが普通らしい。
入学時、教えてもらえるか不安に思っていたことを思い出す。
そんな不安が吹き飛ぶほど僕は教えて貰っている。
校長はああ言っていたが、
研究者育成の学校としては成功しているように僕には思えた。




