第37話 信用
皆が寝静まった頃、何となく眠れず、外に出ていた。
孤児院の裏手にある、少し小高い丘を登る。
そこからは孤児院を上から見渡せた。
昔、眠れない時によく登っていた場所だった。
「どうしたの?こんな所で。」
シスターが声をかけてきた。
「…奇遇ですね。」
「そうね。」
いつもの笑顔に少しだけ得意気な感情があるように見えた。
ばれていたらしい。
「リオは他の子より賢いけど、思っているより単純だからね。トーラスと兄弟だし。」
「失礼な。あれと一緒にしないでください。それに一緒に預けられただけで、血縁はわからないでしょう。」
「そんなこと関係ない。それはあなたがよく知っているでしょう?」
「……。」
「あなたは賢い。けどね、やっぱり心配なのよ。その、魔力、下がっているでしょ。」
…言葉が出てこなかった。
いつもより誇張して放出していたが、
何もかもお見通しというわけだ。
「ばれてましたか。」
「もちろん、シスターですから。」
誇らしげにシスターは笑った。
だが、すぐに顔色が暗くなる。
「魔力が下がっているのに、戦争だなんて。本当に大丈夫なの?」
「んー、どうだろう。」
それに対する明確な答えは持ち合わせていない。
「ユーリ先生って言うんだ。僕の先生。無茶苦茶で言葉足らずなんだけど…、でも、先生が言う事は信用できる。そんな感じがするんだ。」
考えながら答えるがやはり明確に答えられない。
確信はない。けれど先生は、誰よりも考えている。
それも僕らだけじゃない。全てを良くするために。
「そうなの。よかったわ。」
「……いいのかよ。」
「いいのよ。昔は、何も言わなかったから。よくわからないこともあったけど…。レオがおしゃべりになってくれて嬉しいわ。いい先生に出会ったのね。」
シスターは、少しだけ目を細めて笑っていた。




