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世界は魔力でできている  作者: 真瀬 万知久
第一章 入学編

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第35話 人たらし

それからの訓練は、ひたすら避けることと、50mを走ることの二つになった。


毎日死にかけて、〈ツクリタテ〉に入る様は、

他所の人間からは訝しげに見られていた。


だが、そんなことを気にしていられるほど、

僕のお腹は、空腹に耐えられるほど優秀ではなかった。


目の前の食事にかぶりつく。


「うめぇ、」


依然より増して、食事がおいしく感じる。

疲労が最高のスパイスとはよく言ったものだ。


「ちょっと、下品よ。少しはマナーを守りなさい。」


ジーナに窘められる。

そういう彼女も前までなら澄ました顔で食事をしていたが、

自然と顔がほころんでいる。

喜びを隠しきれてはいない様子だった。


素直じゃないやつめ。


「へいへい。それにしても、また筋肉痛になったみたいだ。痛い痛い。」


「そうね。でもそれもまた慣れてきて、更に強度を上げられるんじゃないかしら。」


魔力と違い、肉体の成長には痛みを伴うようだ。


「はあ、しんどいな。」


「それは、体のことかしら?それとも指摘されたことかしら?」


「両方だよ。」


「確かにあなたお人好しだから、辛いところよね。」


「え、どこが?」


「え?」


お人好しという評価をされたのは生まれて初めてだった。

思わず聞き返すと、ジーナはジーナでキョトンとしている。


「無自覚でそうなのね。前言撤回、人たらしだわ。」


「何でそうなるんだよ、久しぶりに褒められたのに…。」


「孤児院ではお兄ちゃんなんでしょ?人たらしじゃないと務まらないわ。」


「そうなのか。」


「そうなのよ。」


確かに孤児院ではお兄ちゃんだったが、

単に魔法が使えて、それなりに頭が回るからだと思っていた。


だが、トーラスたちにも、そんな風に見てもらえていたのなら、

ありがたいことだ。


「何ニヤニヤしてるのよ。ちょっと変よ。」


「いや、ありがとうな。ジーナ。」


「やだ、もっと変になったわ。ホントに大丈夫?」


余計なお世話だ。

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