第33話 対策
「親善試合向けの対策として、訓練の強度を増やします。」
翌朝、ユーリ先生が僕らに宣言する。
「今まで普通に走ってもらってたけど、より実戦に近い方法でやるよ。」
そう言いながら、
ユーリ先生はバケツを持ち出す。
「またヘンテコなもの出さないでくださいよ。」
「はは、流石に大丈夫だよ。」
「ほんとかしら。」
ジーナがそういいながらバケツを覗くと、
振り返って怪訝な表情をしていた。
僕も覗いてみると、そこには小石が大量にあった。
……何となくだけど、嫌な予感がする。
「今日からはこの小石を避けてもらいます。」
そしてその予感は的中していた。
「ハァ…。ハァ…。ヤバい…、」
「ほらー、リオくーん、足止まってるよー。」
少し遠くからユーリ先生の声がする。
入学時に見た速度よりかは明らかに遅い。
だが、それでもとんでもない速度で飛んでくる小石を
ひたすらにかわし続ける。
反撃してもいいよー。とユーリ先生に言われたが
そんな余裕は一切無かった。
あ、ヤバい。
魔力で覆い少しでもダメージを軽減する。
「痛っ!!」
「ほら、痛くても逃げる。」
ユーリ先生の声に反応して、
とっさにその場から離れる。
ドスドスドスッ
視界の端で弾けるように、小石が地面を抉る。
…僕が知ってる小石の音じゃない…。
「何で体鍛えてるかわかるかい?」
小石を投げながら、ユーリ先生は僕に問いかける。
「何で今聞くんですか!」
ギリギリで避けながら聞き返す。
必死な人間に対してする仕打ちかと憤った。
「んー、暇だったから?」
こいつ、絶望的に先生に向いてない。
「そりゃどうも!」
苦し紛れに〈コウキュウ〉を放つ。
ユーリ先生は軽々とかわしながら、小石を投げてくる。
「まあ、考えてみてよ。色んな事に興味をもつと世界は広がるよー。」
こんなにも時と場所を間違えた言葉は生まれて初めてだった。




