第26話 疑念
その日から通常通りカリキュラムが行われる。
午前は訓練、午後から授業といったサイクルだ。
訓練は先日と同じく50m走の繰り返し。
もちろん先日の装置は無いが、
とにかく速く走れと要求された。
あれから酷い筋肉痛も無く、それなりに速く走れるようになった。
授業に関してはいわゆる普通の授業といった具合だった。
成績は悪かったが、先生やジーナから教えてもらい、
何とか食らいつく。
これが日常と呼べる程度には
生活に順応していった。
特に異常も無い。
生徒が僕とジーナの二人だけになってしまったのを除けば。だが
「……やっぱり魔力が落ちてるな。」
隣にいたジーナに話しかける。
「やだ、あんまり見ないでよ。」
身を隠す仕草をされる。
心外だ。
「ジーナのじゃなくて、僕のだよ。出力が落ちてる。」
「どっちでも一緒よ。はーあ、やっぱり喪失感があるわね。」
辛い思いを重ねるほど、魔力が減っていく。
その事実を現実のものとして実感していた。
最初の訓練の後、クラスメイトはごっそり減ったが、それでも四、五人はいた。
だが、日に日に減っていく魔力に耐えられずに、
一人、また一人と姿を消していき、
終いには二人だけになってしまった。
「……強くなっているのかしら。」
「まあ、少なくとも速く走れるようになったか。」
「それじゃ圧倒的じゃないじゃない。なんか思ってたのと違う…。」
ジーナはそう言って、芝生の上で寝転んだ。
ユーリ先生は忙しそうに研究資料を読み漁っており、
『呪われた23期』についても分からずじまいだった。
「まあ、とりあえず。敵から逃げるということは必要だしな。運動補助魔法を覚えるより簡単だし。」
「はあ、仕方ないわね。」
目的地の無い列車に乗っている気分だった。




