第19話 『呪われた23期』
「行方不明?」
「そう、23期の人間が全員。行方不明ってのも、希望的観測だけどね。」
ジーナは答える。
行方不明か、そんな大事件があったなんて知らなかった。
「なんでまた。というか、そんな大事件なら一般公開されてそうだが。」
「原因はわからないわ。幸い、と言っていいのかわからないけど、被害者が王権貴族だけだったから、隠匿したの。他国に隙を見せないために。」
「王権貴族だけだったから隠匿って、……何というか、もっと傲慢なイメージだったんだが。」
「そんなの物語だけよ。清く正しく、滅私奉公。だからこそ私たちは胸を張れるのよ。」
誇らしげにジーナは語った。
僕自身、生まれの違いを恨んだことは無いとは言えない。
貴族に生まれていれば…、王族に生まれていれば…。
そんな中で、子供が行方不明になった事実を、いまだに隠している貴族がいる。
僕はまだ、何も知らないようだ。
「で、その中に王族もいたのよ。名前はリディア・ソラリス。」
「…知らないな。」
「まあ、それはそうね。王女は多いし。でも、彼女は特別だったの。私にとっても。」
「というと?」
知り合い。
…にしては距離感が少し遠い感じがする。
「人呼んで『氷の魔女』!、全ての魔法を凍結させて無力化してしまう最強の魔女なの!」
少し興奮した様子で語っている。
なるほど、ジーナにとってリディア・ソラリスは目標の一人でもあったのか。
「一度だけ魔法祭に出たのを見たのよ!もう圧倒的だったわ!攻撃されても全て凍結させて、相手が降伏するのをただ待つ、何の戦術も戦略も無くただ圧倒的に!最っ高!」
……興奮を重ねている。
そろそろ本題に戻さねば、
「それで!、そのリディア・ソラリスとその同期は行方不明なんだよな。」
「え、ええ。そうね。3年遠征の最中にね。」
……と、ここでようやくジーナは息をついた。
自由に研究している王立魔法学校では同期という意識は薄い。
だが入学してから3年の年に同じ時期の入学者、全員で遠征に行く。
別の専門家と交流して刺激をもらうのが目的とか言っていたな。
「なるほど、それで全員なのか。」
「そう、でも生き残りがいたなんて。」
王族のジーナですら全滅ということになっているのに、
ミレーヌ先生はユーリ先生が生き残りと知っている。
これはどういうことだろう。
「これ以上は、ミレーヌ先生に聞くしかないみたいだな。」
「そうね。俄然、ユーリ先生に興味が湧いてきたわ。洗いざらい吐いてもらうわよ!」
「やめなさい、はしたない。」
ジーナを窘めながら、ミレーヌ先生の元へ向かった。




