第15話 会話
昼休みになったので、ジルにお礼を言い、食堂「ツクリタテ」へ行く。
食事は一食5ドーカで提供され、日替わりでメニューは代わるが、一種類だ。
より美味しいものが食べたければ、高額だが「デキタテ」という食堂もある。
基本的にどちらを選んでも良いが、
庶民は「ツクリタテ」、貴族は「デキタテ」というのが暗黙の了解らしい。
階級のいざこざを避けるためにも自然に分かれているのだろう。
実は貴族出身が多いので、「ツクリタテ」のほうが空いているとのことだ。
食事を受け取って席を見渡していたら、
こちらに向かってジーナが手を振っていた。
「なんでいるんだよ。」
向かいの席に座りながら問いかける。
ジーナから気品のようなものが漂ってしまっているせいなのだろう。
周りからは少し浮いていた。
「何よ、いちゃ悪いわけ?」
あっけらかんとジーナは答える。
「いや、てっきり「デキタテ」に行くものかと。」
「嫌よ、人混み嫌いなの。それに今日はカーレよ!これで5ドーカは最高ね!」
何というか、やはり王女様らしくないと思ってしまう。
そんなことを思いながら、カーレにありつく。
…美味い。流石に国立魔法学校といったところだ。
「…ありがとうね。」
「なんだよ。突然。」
少しの間、食べ進めていたところに突然お礼を言われる。
「少し浮いてたみたいだったから、あなたがいてくれてよかったわ。」
改めて周囲を見てみると、僕との会話で異物となっていた空気は薄まり、
他の人達もこちらを見ること無く、各々食事を楽しんでいた。
「…お褒めの言葉、有難く頂戴します。」
「ちょっと、やめてよ。せっかく庶民感を褒めたのに。」
「おい、それはそれで失礼だろ。」
こんな些細なやり取りを繰り返しながら、食事を進める。
意外と居心地が良く、楽しいと思う。
心の栄養というか、こういう会話も必要なのかもしれない。
「それでユーリ先生のことなんだけど、何か進展あった?」
「…やっぱりそれが聞きたくてここにいたのか。」
「否定はしないけど、人混みが嫌いなのは嘘じゃないわよ。だからあんまりしょげないで。」
「べ、別にしょげてねーし。」
別に今まで会話という会話が孤児院のみんなだけだったとか無いし、
話の通じる同年代との会話に飢えているとかそんなんじゃないよ。絶対。
「あなたと話がしたくてここに来たの。だから教えて?」
そんな心の内を見破ってか、ジーナは笑顔で問いかける。
「へいへい。」
少し気恥ずかしくなって、つい適当な返事になってしまった。
彼女を見ると楽しそうに笑っていた。




