第14話 真面目
「はぁ、全く、やらかしたぁ。」
校庭からすこし離れたベンチで一人落ち込む男がいた。
「どうにも曖昧な表現が難しい。どういえば正解なんだろうか。」
「正解を探しているからダメなんだよ。」
校長が話しかける。
事の顛末を見ていたらしい。
「教育に正解などない。君は昔から真面目過ぎる。正しく言おうとし過ぎなんだよ。」
「正解を探す以外に何があるっていうんですか。一応彼らの時間を貰っているんです。最高効率で目的を完遂しないと。」
「怖い怖い。まったく、いつも君は極端だな。」
「はぁ、だから嫌だったんですよ。」
大げさに引いて見せた校長だったが、
反論も出来ず、適当な返事をしてしまう程度には落ち込んでいた。
「そんな教育初心者の君にアドバイスを上げよう。」
そんな僕を見て校長は何故か嬉しそうに笑って言った。
「……なに笑ってんすか。殴りますよ。」
「おいおい、勘弁してくれ、死んじゃう死んじゃう。」
流石に焦った様子で後ずさる。
「いやなに、君は昔から何でも出来たからね。教えられるのがうれしいのさ。」
…何というか、この人は根っからの教師らしい。
「…教育者を志した覚えは無いのですが…。」
「うるさい。」
ぴしゃりと言い切られる。
理不尽である。
校長は咳払いをして、諭すように話す。
「自分が思っていることを、10倍言葉にしなさい。」
「…何ですかそれは、今さっきそれが災いしてしまったのですが。」
当然の疑問だ。
言い過ぎてしまったと反省をしていた所に校長の助言は適切ではないように思えた。
「確かにそうだね。だが、問題はその後だ。」
校長は眼を据えて、続ける。
「君、場を離れてしまっただろ。失敗したら逃げるのが正しいのか?そういうふうに彼らに育ってほしいのか?」
言われて初めて気がつく。
言葉で多く失敗してきたと思ったが、行動も良くなかったらしい。
教育者としての経験の差を突き付けられた。
「間違えたのなら、場にとどまり言い訳をすれば良い。」
優しく、諭すように続ける。
「君はまだ、何も話していないよ。言い訳を聞かせてくれよ。ユーリ先生。」




